世阿弥の「風姿花伝」が意外と面白かった

日本史を学んだ人なら名前くらいは聞いたことある「世阿弥」。能楽を完成させたと言われる彼が跡継ぎのために記した『風姿花伝』がなかなか面白かったので、ざっとかいつまんでためになった内容を残しておきます。


①若い時の大ブレイクは本当の実力ではない

若さゆえに、優れた先輩よりも名声を得る人がたまにいますね。そこで実力以上に思い上がってしまうと、いずれ年をとったときに何もなくなるぞ、と教えてくれています。室町時代も現代も変わらず大切なことですね。


②開演前に客席を見ろ

この本では昼公演と夜公演の会場の雰囲気の違いや、演目の順番のこだわり、踊りの立ち居振る舞いにまで詳しく言及しています。これは演劇に限ったことでは?と思うかもしれませんが、人間関係にも言えることなのです。要は「相手の求めていることを察知しろ」ということ。「相手を楽しませることが第一」この基本が何度も強調されています。


③上手は下手の手本、下手は上手の手本

例えば職場で、自分よりも立場が上の人の失敗を見つけたらどうしますか?「上手な人ですらこうなのだから、自分はもっと欠点があるのだろう」と考えることができたら技術は上がるはず、と世阿弥は言います。逆に技術のない者にも見所を感じたなら、立場が上の者であろうと素直にまねしなさい、とも。本気でスキルアップしたいならプライドは捨てろ、という事ですね。


④自己流に固執するな。他人の意見を聞け。

これもさっきの話と近いのですが、上手な人ほど自惚れて自分の短所に気づかず、下手な人ほど自分の長所にすら気づけない。自分をもっと客観視しなさい、ということ。


⑤曲は歌詞の上に咲いた花だ。咲かせ方がいろいろある。

ぺこぱの松陰寺太勇みたいなこと言いますね。これに関しては他所で聞いた「上手い役者ほど台本どおりの台詞を演じる。下手な役者は台詞ごと変えてしまう」という話と重なる部分がありました。言うべき言葉、伝えるべき内容が決まっていても見せ方次第で全く違うものになる。これはプレゼンやディスカッションにも通ずる所がある気がします。


⑥安定感を求めるなら、新鮮さを加えろ。

鋭い表現ですね。一見矛盾しているようですが、オリエンタルラジオの中田敦彦さんも自身のYouTubeで「とりあえず挑戦したほうがリスクは少ない」と述べていました。長く支持を得るためには時代の流れに合わせなければいけないという教訓です。


⑦どんなに頑張っても、いい時もあれば悪い時もある。

これは運の話。運気の上がり下がりはコロコロ変わるから、我慢して待っていればいい事があるとも述べています。歴史に名を残す世阿弥でもうまく行かないときがあったんですねえ。



ここまで見て頂いたのは『風姿花伝』のほんの一部です。他にもこんな事を言ってました

・大酒、女遊び、ギャンブルはNG!

・自分にできないことをしている人を嫌う のは、実力不足ゆえの頑なさに過ぎない

・本当の名人は見る目のない客も楽しませる

・初心忘れるべからず

なかなかいいこと言うでしょ?気になったらみなさんも読んでみてくださいね!



〈参考文献〉今こそ名著風姿花伝(道添進)

おしりんまるwwwww