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この社説が気になる(2024.8.30)

朝日と産経がそれぞれ一本ずつの、5紙8本の社説。
話題の重なりが多かった。

開会式が行われたパリパラリンピックには、前日の日経に続き読売、毎日、産経が触れた。発祥そして現状が戦争と切り離せないこと、選手たちや国際パラリンピック委員会の会長が発した「競い合い、勝利するために来た」という趣旨の言葉など、各紙が採り上げたトピックを読み比べたい。

AIを用いた兵器について、日経と毎日が触れた。日経は今起こっている紛争で実用化していることに触れ、毎日は日本での使用方針に関する言及。

政治資金規正法と公職選挙法の違反での略式命令を受けての議員辞職には読売と日経が触れた。問題が発覚してから議員バッヂを外すまでの期間が長かったとの印象が残る。不起訴だったら議員として居座り続けるつもりだったか。

注目するのは、関東大震災の後に起こった朝鮮人虐殺に言及した朝日の一本。追悼する式典に追悼文を送らない東京都知事への批判が主旨の内容だ。

震災からまもなく101年。当時、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」といった流言を信じた市民や軍、警察により多くの朝鮮半島出身の人が殺された。1910年に韓国を併合し、独立を求める人たちへの弾圧があったことも背景として触れている。

災害時、人は恐怖心や不安心理にかられてデマを信じやすく、潜在的な差別感情に火が付けば集団行動に走る。その教訓を示したものだが、デマを信じやすいことに乗じたSNS発信は、残念ながら今でも残る。

情報に素早く反応することも大事な一方、発信されたものが事実か、と立ち止まる姿勢を忘れずにいたい。しかも、ほかの人の命を奪う行為に走ってはならない。私は改めて思う。

[抜粋]16年に小池氏名で1度だけ虐殺犠牲者の式典に送られた追悼の辞には「不幸な出来事を二度と繰り返すことなく、誰もが安全な社会生活を営めるよう、世代を超えて語り継いでいかねばなりません」とある。当然の認識だ。↓

その他の各紙の社説
[抜粋]かつてはどの国にも、彼ら彼女らを日陰に押し込めた悲しい歴史があった。そしてそれは今も、完全に消え去ったわけではない。パラリンピックは、そうした偏見を社会から一掃するための大会でもある。↓

[抜粋]大会には、戦闘で負傷して左脚を失ったウクライナの選手がシッティングバレーボールに出場する。この選手は「自分の姿を通じ、ウクライナで起きている現実を見てほしい」と語っている。↓

[抜粋]パラリンピックには戦争と切り離せない歴史もある。第二次世界大戦で負傷し、車いす生活となった英国の兵士のために始まったアーチェリー競技会が起源だ。↓

[抜粋]AIは安全保障分野でも、情報処理や意思決定を助け、省力化や省人化に役立つのは確かである。人間の関与を確保したうえで、人道的な観点を踏まえて取り入れることが重要だ。↓

[抜粋]AIの提案を実行に移す際のルールを整備するとともに、それを順守するガバナンスの強化が欠かせない。判断の妥当性を検証できる透明性の高いシステムの確立も求められる。↓

[抜粋]自民党の総裁選に名乗りを上げた各議員は「政治の信頼回復」を訴える。その言説が本心なら、事件を招いた党の体質に踏み込んだ徹底的な検証が前提だ。そのうえで再発防止に向けた具体的な道筋を示さない限り、信頼を取り戻すことはおぼつかない。↓

[抜粋]21年には、菅原一秀・元経済産業相が香典などを配った罪で罰金刑を受け、公民権が停止された。堀井氏はこの事件を知らなかったわけではあるまい。違法性を認識しながら香典の提供を続けたことは悪質性が高いと言えよう。↓


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