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大切な人を失うこと 喪失感 悲しみ 痛み

自分の心や生活そのものを
支えてくれていた
大切な人を失うことは、
とても受け入れがたい出来事です。

大切な人を失うことは、
自分自身の大切な部分を失うような、
奪われるような感覚に近いのではないかと思います。

精神分析家の小此木啓吾先生は、
著者『対象喪失」』の中で、
以下のように述べています。

第一に、一般に人間は愛情・依存の対象を失った場合、およそ一年くらいの時間的経過を経るうちに、その悲しみから立ち直る。

第二に、人間はただ時がたてば自然にその対象を忘却してしまうというわけではない。むしろ、その一年のあいだにわれわれは、さまざまな感情体験をくり返し、その悲しみと苦痛の心理過程を通して、はじめて対象喪失に対する断念と受容の心境に達することができる。

ここで述べられている
様々な感情体験とは、
喪失感や悲しみ、
苦しみだけでなく、
妙に活発になったり、
あるいは何も感じなくなったり
といった体験もあると思います。

また、感情としては
落ち着いているようでも、
会社に行けなくなったり、
食べ過ぎてしまったり、
身体や行動に反応が
出ることもあります。

もう一度言います。

大切な人を失うことは、
自分自身の大切な部分を失うような、
奪われるような出来事なのだと
思います。

だからこそ、
避けたくなるような悲しみや痛みも、
様々な体験も、
生じてくるのは必然と言えるでしょう。

心理カウンセリングの中では、
そのような様々な心の動きを
そのまま語ることを大切にします。

そして、
大切な人との関係から、
その人自身が
どんなことを受け取り、
育み、
自分自身を形作ってきたのかを
見つめていきます。

共に見つめる作業自体も
苦しいことがあるかもしれません。
しかし
この悲しみや苦しみを、
一人で対処するのは
かなりしんどいことだと思います。

守られた空間、
守られた人との中で、
共に取り組むことで
その人自身の失われたと思われた部分に
息吹を感じることができるのだと思います。

(20190720記載)

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