雨降りの回り道　-傘を忘れて取りに行く話-

雨が降ったり止んだりする日は
傘の忘れ物が増えますよね

先日、私も傘を忘れました
その日の朝は雨が降っていたのだけれど
昼には止んでいました

友達とランチの後
ひょんな話から
本屋さんに立ち寄ることになりました

そこは初めて訪問する本屋さんで
店舗は小さいですが
本、人、生きものへの愛やこだわりが
いっぱい詰まった空間でした

いつもは通り過ぎていたけれど
いい空間だな
こういう場所って近くにあったんだな
またゆっくり来たいなと
ほっとするような気持ちで店を出ました

忘れますよねー、傘のことなんて

すっかり忘れていました

次の日出かける時に雨が降っていて
傘を忘れたことに気がつきました

取りに行くのは
正直面倒くさいと思いました
忘れた自分が情けなくて
雨に濡れて髪の毛はべとべとするし
とにかく
取りに行く時の私の気もちは
どんよりしていました

店に入ると
店主さんは
傘を忘れた私たちのことを
覚えていて下さいました
私たちが傘を忘れたことに気づいて
店主さんはすぐに走って
店の外へ出てくださったのだと聞きました

あたたかい
うれしい
やさしい

雨降りの日に
あたたかい気もちになれました
いい本も見つかりました

失敗したとか
運が悪いとか
回り道だとか

そんなふうに思う出来事の中に
計画通りでは出会えなかったものが
見つかる場合があります

雨降りの休日
回り道のようなルートを通ることで
こころがほぐれていきました