スペーシングについて

参考記事


1. スペーシングとは?

さてさて、スペーシングとはなんでしょう?
スペーシングは、前回説明したリトリーバルの応用のようなものです。
ところで、リトリーバルとは何か覚えていますか?
おっと!ここですぐにリトリーバルの記事で確認するのではなく、自分の力でなるべく思い出すように努力してみましょう。それがリトリーバルとなり、思い出そうとする努力が記憶力強化に繋がります。
それでも思出せなかった方や初めての方はこちら↓

思い出せましたか?
一週間前の記事なんて覚えてないよ!
と思うかもしれませんが、実はこの記事内で既にスペーシングの効果が発揮されているのです。
それは、“一週間前の記事について思い出す”行為がスペーシングとなります。

2. スペーシングの概要

ここからは研究結果などを交えてスペーシングの解説をしていきます。
スペーシングとはつまり
“勉強する内容を分割し、時間を空けて行う”
事を言います。

一般的には、学習に費やす時間が多ければ多い程、内容の習熟に繋がると考えられています。
もしテストで悪い成績を残したら、次のテスト前にはたくさん勉強しますよね?
しかし、研究によると、リトリーバルを用いての勉強が上手くいくコツは時間の総量ではなく、時間が分割されているかだそうです。
スペーシングでは、勉強の総時間を増やす事無く効率的に勉強を進める事ができます。

スペーシングでは、勉強に充てられる時間を幾つかに分け、間隔を空けて行います。
ある実験では、スペイン語のテスト前夜に50単語を3回繰り返し勉強した一夜漬けチームと、3回を一週間前、それから数日後、更に数日後に分けたスペーシンググループとで分けた。
その結果、勉強の総時間は同じだが、スペーシンググループの方がより高い結果が得られた。

別の研究では、フランス語の授業30分を一日で終えたグループ、10分×3で3日に分けたグループでは、一週間後に行った抜き打ちテストでの成績は後者のグループが良い成績を残した。

3. スペーシングのメカニズム

短時間で情報を詰め込む(一夜漬け)で起こるのは、“慣れ”です。
何度も同じ情報に短時間で触れると段々慣れていき、「覚えたと錯覚してしまう」のです。
大きな落とし穴は、簡単にできるかつ達成感が得られてしまう事です。
これは短期の記憶にしか働かず、長期記憶には結びつきません。
買い物で何を買うか忘れてしまうのもこれだと思います。

リトリーバルは、“思い出す努力”で記憶を強化するもので、スペーシングは時間を空ける事でわざと覚えている内容と忘れている内容をハッキリさせ、思い出す行為に必要な努力を増加させる効果があります。
この時に、学んだのに忘れてしまっている事実と向き合わないといけないのですが、それはスペーシングが正しく機能している証拠なので、リトリーバルに集中して次へ繋げましょう。

もう一つ良い効果があり、スペーシングを用いて得た情報に対して深い理解が示され、ただ記憶しているだけではなくその情報を応用する力も身に付くという研究結果も出ています。
ある研究では、授業で小学生に食物連鎖(大きい動物が小さい動物を食べる、程度のコンセプト)を1日4回で教わったグループと週に1回で4週に渡って学んだグループとでは、後者のグループは食物連鎖の原理を深く理解し、応用問題にも答えられていた。
医学部の学生にも手術の授業において同様の実験を行った結果、授業を分けたグループは実践形式でより良い成績を残している。

4. まとめ

いかがだったでしょうか?
学生の時に出された宿題にはこういった効果があったんですね。(教師がこれを理解して行っているのかは謎ですが…)
つまり、ついつい一度に一気にやりたくなる勉強も計画的に分けて行ったほうが記憶への定着が良くなる、という事ですね。
突発的に勉強するのではなく、日ごろから勉強する時間を作る習慣が大事なのかもしれません。
こういった指標があると、勉強の計画が立てやすくなりませんか?

毎週勉強内容の記事を投稿して3週間になりますが、このリトリーバルとスペーシングの効果を期待しての事でした!
やっぱり何度も読み返した資料でも、いざ期間を空けて記事を書くとなったら覚えていない内容があったので、やはりスペーシングは有効、という事です。

次は習慣作りについて書いていくと思います。

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