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角川書店『黒牢城』を読みました!

前書き

今回は予告通り、角川書店さんから発売されている『黒牢城』米澤穂信 著の読書感想を投稿いたします。

「戦国×○○」というと私の中では、とんでも戦国・戦国風味の作品が多いイメージですが、本書は程よく本格戦国で読み応えバッチリでした。

あらすじ

時は戦国時代。本能寺の変の4年前である天正6年(1578年)11月。摂津国の有岡城にて。

本願寺+毛利VS.織田の構図の最中に反旗を翻したものが居た。

織田家から摂一職支配を許された有岡城の城主 荒木摂津守村重だ。

謀叛を聞きつけ、説得もとい進言をしに来たのは、黒田官兵衛。

「この戦、勝てませぬぞ」


感想

この本は、織田信長や新選組を主人公にしたお話よりは派手ではないかもしれません。実際、私が荒木村重の名前を見たのはこの本が初めてです。(もしくはこれまで目に留まっていなかった可能性も)

しかし、Wikipediaを見るだけでも、面白いといったら失礼かもしれませんが数奇な人生を送られている人ですね。

あらすじの後、黒田官兵衛を監禁して解決しなければならない謎が解けずに詰んだなと思ったら聞きに行く流れなのですが、

いくら何でも、黒田官兵衛を監禁とかしないだろう。ご都合展開は嫌いじゃないけれども・・・。と思っていたら監禁までは史実で驚きました。事実は小説より奇なりをとことん地で行くお人ですね。


さて、この本ですが割とあっさり味の終わり方だった印象です。

ミステリ×時代小説の配合具合が絶妙な本作。私にとっては意外にも時代小説として面白い作品でした。

当時の価値観や考え方をしっかり取り入れてあり、それが分かりやすく提示されているが、説明調になっていないからだと思います。

織田信長ほど派手ではないながらも、この荒木村重は切れ者というのは確定している事実。

史実でも謀叛の理由が所説ある。しかも、所説が沢山あるので書き手側が様々な調理方法で村重の物語を作ることができると思います。

さて、この物語は様々な“所説”のどれを採用されたでしょうか?

史実を知っている人でも、そんな事を考えながら読むと面白いのではないでしょうか。


一方で、ミステリとして読むならパンチが少し足りない気もします。(これは個人の好みだと思います。)

奥さんとの仲良しアピールが伏線の為って感じがありありと感じました。

仲良しアピールを交えて、もっと奥さんのキャラとして掘り下げが欲しかった所ですね。これは他の武将にも同じことがいえると思います。

勝手な続編希望

ミステリとしては『黒牢城』で書かれている時間軸が一番おもしろいのだとは思います。

が、この本を読んで『黒牢城』のその後の、這這の体で逃げ出して、皆が処刑されていく最中に何を思って茶人になったのかの話も面白そうだと思いました。

また、『黒牢城』の前の、太平記英雄伝の餅のエピソードとかも面白いから、若かった頃の話とかも読みたいですね。

あと、続編が出たり文庫化するなら人物紹介か相関図を載せて欲しいです。

最後に

 

角川おすすめは多すぎてどうしようか迷う所ですが、PCから見える範囲で『夜は短し歩けよ乙女』、『失はれる物語』、『図書館戦争』シリーズです。

が、図書館戦争シリーズはいきなり勧めると厚さで諦める人が居そうですね。そんな方は、まずは『クジラの彼』あたりをお勧めします。


それでは、次の読書感想の記事で会いましょう。

次は歴史小説繋がりで『塞王の楯』の予定です。

#読書の秋2021

#ネタバレ

#黒牢城


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