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拙作語り㉛~六花繚乱ヘキサムライ後日談

「歴史から消された殿様とその家臣たちとの親族が逃げ延びて命脈を繋ぎ、時を超えて再会。先祖伝来の家業を再開するという現代戦隊ファンタジー」な、拙作『六花繚乱ヘキサムライ』。
本編は、1年サイクルという戦隊もののお約束に則り(おい)白侍・ノブミの大学入学から始まり、ノブミが大学一年生を終える頃に終わるのだけれど。
その後のことも、それなりには考えてあったり・・・
ただ、「筆者の筆者による自己満足な自作パロディな時代劇」・『六花稗史』を描き始めてしまったのもあり、現代劇はもう季節イベントに係る数ページのショートコミックしか描けないだろうなぁという思いで。。
利き手の古傷(骨折跡)がやっぱり痛くなるので無理がきかず・・・時代劇のほうも巻ノ四(最終巻)の原稿がさっぱり進んでないorz
そっちは亀の歩みになってもどうにか完結させたいので、他はセーブせねばならず。とはいえ、この「現代劇の後日談」が実は現代劇のおまけ・番外的位置づけなショートコミックや時代劇にも繋がっている部分が少なからずあるので、ちょっとあらすじ的なところをざっくりと書いておこうと思います。
主な登場人物や背景等に関しては過去記事を参照のこと(タグ「#ヘキサムライ」で繋げてあります)。

其ノ一:玉依姫・結乃

時代劇『六花稗史』巻ノ三で登場し、表紙にも描かれているのが結乃ゆうの。実は現代劇での登場構想が先にあり、結局のところ時代劇での初出演のほうが先になってしまったという(嗚呼)。

『六花稗史』巻ノ三 表紙

時代劇では(以下ネタバレだが…いやもう表紙絵をあちこちで出してる段階でばらしてるようなものだけど:墓穴)、
 
妖怪に人身御供を求められている村から依頼を受け、妖霊狩ようれいがりの青侍・辰哉しんやが討伐のために派遣される。その時、ちょうど生贄に選ばれていたのが村の大尽だいじん〈お金持ち〉の娘である結乃で、大尽は娘可愛さに
「報酬金ならば幾らでもお出ししますから、どうか娘を…!」
と彼の前に千両箱を積み上げて懇願する。
「自分の娘の番になった途端、こんなほいほい大金出しやがって」と辰哉は非常に腹立たしくなるが、
「やるって言ったらやるぜ、仕事だからな!供犠の晩の準備はしとけよ!!」
と言い置いて大尽の邸を去る。
刻限になり、生贄の娘が乗った駕篭かごが砂浜に置き去りにされる。立場上仕方なく駕篭の傍に控える辰哉だが、どうにも愚痴が出る。すると、駕篭の中から
「あなたさまのおっしゃる通りです。わたしが生贄に選ばれるまで何もせず見ていた父は間違っていたと思います…」と声が。
駕篭の中の娘が、自分へのご機嫌とりの為ではなく、本心から妖怪を恐れながらも父の傲慢と非礼を詫びていると感じ取った辰哉は、これでようやく気を取り直し、折しも海から現れた怪の討伐を果たす。
用を済ませると彼は早速帰途につこうとするが、
「この千両箱、重いよなぁ…一つあれば充分」と、他は村人たちに撒いて配る。気がかりげな顔の村人たちに、
「オレが貰った金だ、心配するな。もし あの金持ちに取り返されるんなら、『筑波嶺つくばねの子安地蔵』に訴状を持ってこい」と言い置いて発って行く。
後日、結乃は病の床につき、
「このまま死んでしまうのなら、その前に…もう一度あの御方にお会いしたい」
と願い、ばあやとその息子との手を借りて『筑波嶺つくばねの子安地蔵』を目指し筑波山麓へと向かう。
 
色々あって、二人は再会するのだが・・・
辰哉としては話はしたものの顔は見ていないので、実際対面してみたら「え、あの時の娘が…これって…」と二の句が継げなくなるという…。それもこれも、彼女が妖霊飼・究子すみこに仕える白蛇怪・玻璃はりにそっくりだから。。
 
それからまた色々あり、結乃は妖霊狩の緑侍こと武部たけべの家に迎えられて、そこで暮らすこととなり。
何せ自分の目の前でカッコよく怪物を退治したヒーローなので(時代劇ではお馴染みだろうが、開閉式の窓を備えた駕篭があり、外を見ようと思えば見られる)、彼女は辰哉を「しんさま」と呼んで慕うのだが。
辰哉としては最初に好きになった玻璃のほうを立てようとするのか、結乃には素っ気ないを貫き(困)。。
 
・・・というのが、時代劇『六花稗史』巻ノ三でのあらすじ。。

現代劇では・・・
 
白侍・ノブミの大学入学から一年後の春、この年も多数の新入生がT波大には入学するのだが。
入学式からまだ日が浅い頃、芸術学群の新一年生・菰口結乃こもぐち ゆうのは、大学構内で
「お前…なに、こんな所うろついてんだよ?どういうつもりだ」
と、突然に強面こわもての体育会系の男子学生に絡まれる。
結乃が訳が分からず戸惑っていると、若干名の学生が駆け寄って来て、一人は絡んできた例の男子大学生に手刀を打ち込んで「これは失礼」と連れ去っていき、残る女子学生が「あんた、厄日やったねぇ…だいじょぶか?」と声をかけてきた。

学内のカフェスペースで、女子学生が話し出す。
「ほんま、ヤツが済まんことしたなぁ。あんた、新入生やろ?大学、イヤにならんといてな」
「え…新入生って分かります?」
「分かる分かるぅー。いろんな気合感じるで」
「気合…」
そうなのだ。高校までは地味で根暗で夢見がちな女生徒だった。だからこそ、大学進学を機に変わろうとしていたのだ。
(メガネからコンタクトにして、パーマかけて、毎日精一杯お洒落して…慣れない努力してるの、周囲に分かっちゃってたのかな…)
結乃は、考えるほどに自分が情けなくなってくる。
目の前に座る女子学生は、くせっ毛の金髪にヒョウ柄の派手な服で、大阪のおばちゃんがそのまま大学生になったような出で立ち。
(わたしなら、こんな格好で学校に来れないな…)
「まあ、気張りすぎると疲れるでぇ。♪ありの~ままの~で、いけばええわ」
「…あなたは気張ってないんですか?」
尋ねた結乃に、
「はあ?これはうちの日常、素のままやで」
個性は強いが悪い人ではないらしいと感じていると、
「たぶん、次はもう無いと思うねんけど…念のため連絡先交換しとこか。コズエ先輩って呼んでな」
その学生の名は斑尾標マダラオ コズエ。結乃からみれば同学群の二年先輩であった。

一方、結乃の前から強制退場させられた男子学生が目を覚ますと自宅のソファに座っており、目の前には・・・
「ハル…どういうことだよ?これ」
ハルと呼ばれた青年は、彼の前に立って見下ろしながら、
「訊きたいのは俺のほうだ。妖霊狩が、人間と妖霊を見間違うなんて有り得ない。どうして何も知らない新入生に因縁をつけた?」
「…は?」
「まだ分からないか。お前が引き留めてたのは、例の白蛇怪じゃない。生身の人間だ」
「……」
「お前…あの蛇の化生けしょうと何があった?」
「何って…何も」
ハルは右手に持っていた缶コーヒーを飲み干すと、
「何も無くて、こんな失態をやらかすはずがあるか」
空になった缶を握りつぶし、
「正直に言ったら、どう…?」
コーヒーは、ボトル缶は別としても、一般的にはアルミ缶ではなくスチール缶。しかも――
(まさか…ここで出たか!?オネエ人格が…!!)
それに気付いたシンヤは、血の気が引くと同時に全身から冷や汗が吹き出す思いだった。

こうして同居人でもある赤殿・ハルにギッチリとシメられた〈懲らしめられた〉青侍・シンヤは、以降結乃にちょっかいを出すことは無くなるのだが。(いやはや、それにしても…どんな風にシメられたのかは筆者ですら想像するだに恐ろしい;←おい)
結乃も、つくばの街を歩くうちに、妖霊飼・スミコや、玻璃をはじめとした彼女に仕える妖霊たち、更に他の妖霊狩たちとも出会うことに。
 
妖霊飼の姫・スミコは、結乃を「わたしとは違う『引き寄せやすい・集めやすい体質』」と気がかりに思い、自身の下僕しもべの一・狐の琥珀コハクを護衛に貸す。
「ほんに、おぬしは玻璃様に似ておるのう」
口を開けばそればかりの可愛らしい存在が、殺風景な一人暮らしの部屋にやって来たこと、更には
「女君の一人住まいじゃから」
と、あれこれ気を遣ってくれるのが、結乃には何だか嬉しかったりもして(笑)。
 
緑侍・武部たけべ家の末裔である武内たけのうち家を訪ねたときには、当世の緑侍・イタルの母のまいから「あなたは私にかなり近い存在」と、過去を明かされる。
舞の祖父・叔父さらに従弟は某宮社の神職だが、祖父と彼女がとりわけ「妖怪や霊を見聞きし、干渉し・干渉されうる能力を持つ」『玉依彦たまよりひこ玉依姫たまよりひめ』(※ここでは「玉依姫」は日本神話に登場する女神ではなく、たまが依るところから巫女的存在をいう)であり。祖父・よしみは孫娘の行く末を大層心配しており、孫娘に
「お前を守ってくださる御方が現れるまでは、これを」
と御守を渡した。
高校生になった舞は悪夢にうなされるようになり、同じ高校の先輩であったりきがそれと悟って自宅へ連れていき、悪夢の原因となっていた妖霊を引き出して家伝の薙刀で討ち果たす。
「そんなことがあったから、他の男性ひとなんて考えられなくて…その先輩と結婚して今に至るの」
舞は結乃に笑顔で語り、
「その人が現れるまで、きっとこれがあなたを守ってくれる」
と自身が祖父から受け取った御守を彼女に預ける。
その後、舞が彼女について「何かあったら守ってあげてほしい」と他の妖霊狩たちにも依頼したので、琥珀は取り敢えず護衛を切り上げて主・スミコの許へ戻ることに。。
(高校生にして家伝の甲冑と薙刀で武装し妖霊と戦った、若い頃の力父さんがカッコよすぎる…舞母さんが「彼以外の人と結婚するなんて考えられない」になるのも、むべなるかな。。)
 
そして。
注意するように言われていたのを忘れ、一人「逢魔刻おうまがどき」に帰宅することとなってしまった結乃は凶悪な妖霊群と鉢合わせ。舞の祖父からの御守により危害を受けることは無いが、攻撃に転じることも出来ず、小さくうずくまるばかり。その時――
「妖霊成敗!斬!!」
その場に立ち込めていた禍々しい空気が消え去る。おそるおそる目を開き顔を上げた彼女の前には……
「急に妖霊が騒がしくなったから来てみたら…なんだ、お前かよ」
「あ…」
青侍・シンヤは武装を解き、さっさとその場を去ろうとする。
「あ、あのっ!助けてもらって、ありがとうございました!」
結乃が頭を下げると、足を止めて振り返り、
「お前さぁ…それ、前のほうがいいぞ」
「えっ…?」
例の一件があって以降、結乃は身なりを可愛くお洒落に整えるよう頑張るのを止めてしまい、緩くウェーブパーマをかけた長い髪は編み込んでタイトにまとめ、眼鏡をかけるように或る意味逆戻りしていた。
「可憐な姫様のほうが、守る立場のほうも やる気になるってもんだろ」
「姫…」
舞から夫妻の馴れ初めを聞いたときに「素敵…なんだか羨ましい」と感じたことを思い返し、
「それって、お姫様をお守りする騎士みたいな…」
つい呟いてしまうが、
「騎士じゃねーよ。オレは、しがない侍の末裔。それだけ」
不愛想に訂正されるも、
「はい…!」
最上のきらきら笑顔で返した彼女に、ほんの少しだがシンヤの表情と態度も緩んだようだった。

以後、大学キャンパスでは「可憐な芸術系の女子学生にいかつい体育会系の男子学生」の二人連れが「美女と野獣、いや美女と怪獣?猛獣?珍獣?」と噂にのぼるようになる。
「何なんだ、野獣とか怪獣とか猛獣とか珍獣とか…どれも失礼極まりない」
と噂の当人であるシンヤには不満でしかないが、同士たちは苦笑しながら「当たらずも遠からず」と口を揃えるのであった。。

其ノ二:妖霊飼・タカシ、その後

ヘキサムライ本編の最終話となる第十三話・「雌雄を決す!筑波山」にて、妖霊飼の鳩谷傑ハトガヤ タカシは妖霊狩に戦いを挑むも敗れ、操っていた幾多の妖霊はもう一人の妖霊飼・スミコにより暗示を解かれて彼女にことごとくく恭順の意を示し、腹心の付喪神つくもがみである梅・蘭・菊・竹の四君子は揃って妖霊狩たちに討たれて宝珠・鏡・鈴・古刀という元の姿に戻されてしまった。失意のどん底まで落ちるも、天狗・長元坊ちょうげんぼうに諭され、タカシは元の姿に戻った四君子を抱えて自身の在るべき場所とこれまでの生活へと戻っていく。
 
春そして新学期を迎え、無事に大学四年次に進級を果たしたタカシは、ふと立ち寄った古本屋で店主に「タダでいいから、これを持って行け」と唐突に古い書簡を押しつけられる。その古書簡には付喪神・あずさが宿っており、梓は妖霊飼であるタカシを当然のように「我が君」と呼んで付いて回るようになる。
 
ある日、タカシの不在時に、梓は押入の奥にしまわれた箱から四君子を見付け、
「こやつらは我が君を守れなかったのじゃろう。なんと情けない」
と思わず彼らを悪く言い、ちょうど帰ってきたタカシが聞いてしまう。
その彼女の言葉にタカシは怒りを覚え、
(…そうだ。もう一度つくばに行って、こいつを妖霊狩に退治してもらおう)
と考え、彼女には本当の理由を告げずに供をさせて つくばへと向かう。
 
果たして、妖霊の気配を感じた妖霊狩がタカシと梓の前に現れる。
梓は主の前に立ちはだかり、必死に主を守ろうとするが、敵もさるもので妖霊狩は強い。
タカシは危機感を覚え、梓を退かせようとし、
「もういい!止めろ!!」
しかし、彼女は受け入れず、
わたしは、タカシ様の下僕。我が君を守るが使命なのですじゃ!」
ここにきて、ようやくタカシは自身の過ちを認め、
「いいから収めろ!主の命令を聞けないのか!?」
と一喝して妖霊狩へと向き直り、
「下僕が無礼を働き、すまなかった」
そう言って頭を下げた彼を前に、白の妖霊狩は武装を解き、
「…そうですか、分かりました」
(良かった…話が分かる奴で)
タカシは内心ほっとしながら、
「この事は…俺がここに来たことは、棟梁には黙っておいてくれないか」
妖霊狩の白侍は、怪訝な顔をし微かに首をかしげるも、
「そういうことなら…構いませんけど…」
「帰るぞ、梓」
「はっ…はい、我が君!」
後に続く言葉を聞くことなく、タカシは梓を促すと向きを変えて、その場を去る。
「…きっとハルさんも、あれでも心配してると思うから教えてあげたかったけど…タカシさん本人がそう言うなら仕方ないかな…」
場に一人残された白侍・ノブミが、つぶやいた。
 
以降それなりに上手く付き合っているタカシと梓…という話。
彼らを描いたショートコミックには、こんなのがあり。

ほぼ白黒でゴメンな・・・(汗)

こちらのハロウィンネタは過去記事にて既出ですが、関連ということで再掲(いや再再掲?:汗)

ハロウィンネタ2022

知らなくてもいいことですが、妖霊飼タカシの側近に関しては鳥山石燕の妖怪画・「百器徒然袋」を参照しており、
 宝珠の怪・梅・・・如意自在にょいじざい
 鏡の怪・蘭 ・・・雲外鏡うんがいきょう
 鈴の怪・菊 ・・・鈴彦姫すずひこひめ
 古書簡の怪・梓・・・文車妖妃ふぐるまようひ
…となっております。刀の怪・竹に関しては、これというのは無いですが、見た目が何というかアレ(某ゲームあるいは2.5次元)を意識した的あざとさがあるように自分も思います(墓穴)。菊のツインテール×巫女装束も相当あざとい(更に墓穴)。。

其ノ三:劇場版FINAL的空気感で…

小タイトルどおりの、「劇場版FINAL」的なオールキャラ総出演の豪華な大混戦からの大団円、的な雰囲気な中編くらいの一話(爆)。
 
夏休み、妖霊狩たちはとある一件の調査のため総出で福島県いわき市へ。
紫侍・ヨシタケは東北の大学で(仙台のT北大か山形のY形大で;)仕事があり、黒侍・フミの車に乗りきれなかった面々を自分の車に乗せていき、途中で降ろすことに。そして同士に言われ、自分の代理として息子・カズキに変身道具の雪華鍔を持たせて置いていく。
皆が出払うので、玉依姫・結乃は武内家に身を寄せることに。
「ごめんね、ユウノちゃん。不便な思いをさせてしまうけど、力さんや私じゃ何かあったときに飛んで行けないから…」
「いえ、わたしこそ。ご迷惑お掛けしますけど、よろしくお願いします」
(※現代の六花の妖霊狩は、雪華鍔を使って武装すると空も飛べるようになる、、という設定)
 
仕事にかかる夕刻まで、一行は いわき市内で めいめい好きなように過ごす。
イタル(緑侍)・カズキ(紫侍)・シンヤ(青侍)・コズエ(黄侍)は、スパリゾートハワイアンズで目一杯遊び。
ノブミ(白侍)とスミコ(妖霊飼の桃姫)は、アクアマリンふくしまを観覧し、それは水族館デートの様相(微笑)。
ハル(赤殿)とフミ(黒侍)は市内のデカ盛り店で昼食にするが、その時、ハルは唐突にフミに対し
「俺って、結婚相手としてどうなんだろう?忌憚きたんのない意見を聞きたい」
と言い。
今テーブルに相対して座る彼は、おそらく誰かとの結婚を真剣に考えている――
(どうして、そんなこと…あたしに訊くのよ…よりによって)
フミは、そう思いながらも何事も無い顔で当たり障りなく答える。
「あなたに不満をもつような女なんて居ないじゃないの。もし居るんなら顔が見たいくらい」
彼にプロポーズされる幸運な女性とは何者なのだろうか――
そればかりが気になって、もはや何を食べても味など感じられなくなってしまうのだった。
 
いわきの猫神伝説。猫神とは、いわき市好間町の一部に伝わる幻獣で、角の生えた猫の頭蓋骨が、妖怪・幻獣研究家の湯本豪一氏のコレクションにも在るという(本『驚異と怪異――想像界の生きものたち』国立民族学博物館 監修 を参照)。
その猫神たちが妖霊狩たちの前に現れ、色々あって手を組んで大妖怪と戦うことに。各地の妖怪伝説の本を読んだ感じでは、県内どこかの大蛇とかが敵役みたいになるのかなと。。←ちゃんと読め自分、そして記憶しておけ自分(自分で言った)。
猫神の中に、悩み深くて己の能力を開花しきれない一頭が在ったが、妖霊飼スミコと彼女の供で当地に来ていた狐の化生・琥珀らにより開眼。
猫神には階層があり、角の数が変わっていき、位が高く もはや神のような天鬼になると角はなくなり、空をも飛べるのだったかと…(何で・どこで見たのか記憶がorz…←事情を察するよう)。
大蛇(的なもの;)と空中戦になり高所から落ちたはずが助かったことを、
「琥珀兄ィが助けてくだすったんだな」と、かれは思うのだが。
「わたしたちは何もしていない。あなた、飛んだのよ…自分の力で」
姫の言葉に驚く猫神に、猫神界でも高位の存在(それはマスター〇ャーダのような…←え゛)が現れて「お前も、こちらの世界へ来るが良い」と言うが、スミコ姫や琥珀らを慕うようになっていた かれは、直ぐには「はい」と言えず。。
かれの弟分にあたる猫神が「兄者になり代わり、儂が姫にお仕えしよう。兄者は天鬼として猫神界を背負って立つのじゃ」と告げたことで、ようやく旅立っていくことに。。
「どうすんのよ。また姫ちゃんの下僕が増えてるんじゃないの」
「いやー、ははは…」
白侍・ノブミは笑うしかない。
もはや何処かに遠征するたび戦力を増強していくスミコ姫に、頭を抱える黒侍・フミなのだった。
しかし、彼女の頭痛のタネというか胸のつかえは他にもあり・・・
 
一件落着した頃に、仕事を終えた紫侍・ヨシタケが合流し、帰途につくこととなるが。
「寄りたいところがあるから」と、つくばへ帰る一行から赤殿・ハルが一人離脱。
彼が寄りたいところとは何処なのか――そう思いながらもフミはハンドルを握り、無事につくばに到着し同士たちを下ろしていく。
自宅の学生アパートに着くと、不意に携帯が鳴る。実家からの電話に出れば、祖父・章蔵しょうぞうが言う。
「今、ハルヨシ様が我が家に来られてだな…」
祖父によれば、突然に現れた主家の末裔たる青年は、
「大学院を修了して社会人になったら結婚をと考えているので、そのご報告に」と言い、
「いや、それは…あなたさまもその歳の男子であられるから、なされば良いことで。我々に報告などされずとも」と返せば、
「伝えない訳はいかないですよ。フミと結婚したいんですから」
文珠もんじゅ家に激震が走ったのは言うまでもなく。
「お前!こんな良い縁談はなしを断るはずが無いだろうな!?断ると言うなら家族の縁を切るぞ!いやいや、まだ先の事だからな…『やっぱり、あの話は無かったことに』なんて取り下げにならぬように努めるのだぞ!ふみ!!」
フミにとっては予想外も予想外の話で、休む間もなくマイカーでつい今しがた来た道を戻り、更に北の実家へと向かうことに。。
ハルはフミの実家・文珠家とその周辺の自然を大層気に入っており、それも多分付随していて…「今 婚約しておけば、これからずっと盆と正月にはここに来られる」もあるのだろうけど(苦笑)・・・
 
そんなこんなのバタバタまで込の「劇場版FINAL風味」中編。。。
今回初参戦となるヨシタケの息子・カズキなのだが、想像以上にすぐに馴染んで立派に戦力になった為、帰りの車の中では
カズキ「お父さんって、日頃こんなことしてたんだなあって…(笑)」
コズエ「いやでも、カズキ強かったでぇ。ワンさん、もういつ引退してもええかも」
ヨシタケ「ちょっと!僕まだ引退なんてしないからね!!」
みたいな会話になるとか…(笑)

それにしても赤殿(ハル・覇君はるよし)は「丁度いい」が出来ないというか段取りを誤りがちというか…
現代劇の本編後日談では、前述のようにフミ本人にはストレートに言わず探るような質問だけして、その返答から「なら大丈夫だ」で実家に話を持って行ってしまうし(嗚呼)。
時代劇では、逆に型から大げさに入ってしまい、信条しげえだぱぱ(ふみ父)に「一言『くれ』って言ってくれれば、それで良かったのに」と評される。。

時代劇『六花稗史 巻ノ二』第三話・いつまでも君と より
同上。だから話が大きくなってしまって婚礼・披露宴も大きくやることに。。

其ノ四:九曜紋の扇にまつわる話

ヘキサムライ本編では語られなかった、外伝というか裏話的な位置づけ。
 
スミコ姫が持つこととなる妖霊飼の変身道具たる九曜紋の扇。
これは、妖霊狩が攻め滅ぼされたのに続き妖霊飼もまた滅亡するが、その時の妖霊飼当主・九戸清泰くのへ きよやすの正室(北の方)に仕えていた亀の化生・阿亀アキが、清泰の六男・帰命丸きみょうまるの子孫にあたるスミコへと伝えたものである。
…以上は本編本文にも記載の内容なのだけど。
正室・おひろの方は、敵の軍勢に囲まれ火をかけられた館の一室で「ほんに『人を呪わば穴二つ』とは、このこと…」と呟き、
「阿亀。おぬし一匹ひとりならば、逃げおおせることも出来ようぞ」と告げて、自らが帯に差していた扇を取り、
「帰命丸の言ったことが正しかった訳じゃ…。おぬしは必ずや生き延びて、この扇を帰命丸に渡してたもれ」
北の方は、その扇を継子・帰命丸へと引き継ぐよう乞いながら、阿亀へと差し出した。彼女は泣きながら扇を受け取り、主の最期を見届けることなく、その場から去ったのである。(継子というところから分かるように、お景と帰命丸は実の母子ではない)
 
数百年の時が流れ、つくばの湖沼に人知れず暮らしていた阿亀は、偶然 玻璃と出会うこととなる。
「おぬしは、帰命丸様にお仕えしていた…」
彼女は「ようやく北の方様からの遺命を果たすことが出来る」と喜び、玻璃が今 主とする者の許へと馳せ参ずるが、当代の姫・スミコはその身に病を抱えており、
(今の姫には、この扇を持つと掛かる負荷に耐えられまい…)
結局、扇を渡せずに挨拶だけして沼に戻り来ることに。
それからしばらく時が経ち、玻璃が明るい顔で阿亀を迎えに来る。案内されるままに再び姫を訪ねると、以前とは比べようもないほど顔色も良く、元気になっているのが分かり、
(これならば大丈夫じゃ…)
阿亀はようやく託された扇を帰命丸の子孫へと渡すことが叶った。
見送りに立った玻璃が言う。
「良いお医者様に巡り会うことが出来たのでございますよ」
「そうか…本当に良かった。しかし…」
「何でございましょうか」
「私はこれほどまでに長く生きてきて、北の方様からの遺命も今こうして果たすことが出来た。しかし、私の寿命はまだ尽きそうにない…どうしたものじゃろうか」
すると、玻璃は阿亀にうなずきながら、
「ならば…もうしばし、姫様を見守り下さいませ」
 
更に、十年ほどの時が過ぎ。
阿亀の許を、少年が訪ね来る。
「おぬしは…琥珀か?」
少年は笑い、
「それは父ですね。僕は白銀丸しろがねまると申します」
スミコ姫と玻璃とに頼まれて迎えに来たという彼に付いて家を訪ねると、姫はようやく一人座りが出来るようになったほどの幼子おさなごをあやしていた。
「これは…」
驚いて目を見開く阿亀。白銀丸は行儀よくお座りする幼子に歩み寄り、その前に腰を下ろすと目線を合わせるように かがみ、
「若様です。僕もお仕えするんですよ…ねぇー、若様っ」
幼子がキャハッと声を上げて笑った。
(そうか…姫も母になられたということか…)
「姫様は心病める者の言葉に耳を傾け寄りそうを仕事としておられるのです。今は、このように若様が幼くていらっしゃるのでお休みされてますが」
傍に控えていた玻璃が言うと、スミコもうなずき、
「わたしも夢を叶えさせてもらったのだから、少しも返していきたいと思っていてね。この子がもう少し大きくなって手を離れたなら、また戻ろうと」
時は止まることなく流れゆき、命は受け継がれていく。それを感じた阿亀の目からは涙がこぼれ落ちたのであった。


約十年後、スミコは自ら望んだようにカウンセラーになり、結婚・出産・育児から一時休業中…
分からない説明をするけど…スミコが通って体調を回復した、T波大附属病院の井上医師と その診察室担当の花園看護師とは、その後も関わりは続き…。
井上医師に「将来、わたしにも赤ちゃんを産むことは出来るんでしょうか」と尋ね、「調整をしながらとはなろうが、不可能ではない」と返答を得たスミコの姿を見た花園看護師はその後で助産師の資格を取り、病院の産婦人科へと移って、彼女の妊娠中から出産時、産後までをサポートした、、という話まで考えてあった(汗)。
彼女の病とは「完治・根治は無く、日常生活を問題なく送れるようにすることが治療目標という種類のもの」という設定なので(具体的な病名までは…考えてないorz)。。

・・・と、色々考えてはあるのですが。
描けないなぁ、ということで、こういう所に書き置きしておきます。。

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