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6-3 自律神経系に作用する薬

ここでは、薬効別にどのような薬理作用を発揮するのかを見ていきます。どんな治療薬として使われるのか、を主眼に見ていきます。
前回とは、区切り方を分けただけなので、内容は重複しています。(ので、飛ばしても大丈夫です。理解しやすい方で)

交感神経作動薬

=アドレナリン作動薬

  • 心臓:β1 受容体を刺激し、心臓の働きを強くする。強心薬などとして使われる。

  • 気管支:β2 受容体を刺激し、気管支平滑筋を弛緩させ、気管支を広げる。喘息や COPD など、閉塞性肺疾患に使われる。

  • 膀胱: ・β3 受容体を刺激して、膀胱を緩める ・α1受容体を刺激して、内尿道括約筋を締める この結果、蓄尿を促す。頻尿や過活動膀胱に対して使われる。

交感神経遮断薬

=抗アドレナリン薬

  • 血管:α1 受容体を遮断し、末梢血管を拡張させる。

  • 膀胱: ・β3 受容体を遮断して、排尿筋を収縮 ・α1受容体を刺激して、内尿道括約筋を弛緩させる この結果、排尿を促す。排尿困難や、前立腺肥大に対して使われる。

  • 心臓:β1受容体を遮断するため、心臓を休める。

副交感神経作動薬

=コリン作動薬
(抗アドレナリン薬と同じ方向性)

  • 眼:瞳孔括約筋にある M3 受容体を刺激し、収縮させるので、縮瞳(ひとみが小さくなる)とともに、眼圧を低下させる。緑内障治療薬に用いられる。

  • 膀胱:M3 受容体を刺激し、膀胱を引き締め、出口を緩める。排尿を促すため、排尿困難や前立腺肥大治療に用いられる。

  • 腸管:M3 受容体を刺激し、消化管運動を更新させる。腸管麻痺やイレウスなど、腸管を動かしたいときに使われる。

副交感神経遮断薬

=抗コリン薬
(アドレナリン作動薬と同じ方向性)

  • 消化管:M3 受容体を遮断し、消化管運動を抑制する。疝痛や胆石など、腸管の収縮を緩めるために使用する。

  • 膀胱:M3 受容体を遮断し、膀胱をゆるめ、出口を引き締める。その結果、蓄尿を促すため、尿失禁などに対して用いられる。

  • 消化管分泌線:消化液の分泌を抑制する。胃酸を抑える働きがあるため、胃潰瘍の治療薬として用いられるほか、麻酔前投薬としても用いられる。


アドレナリンとノルアドレナリンは、
・どちらも交感神経作動薬
・名前はよく似ている
 →しかし、受容体の選択性は異なっており、薬効も全く異なる

アドレナリン(別名、エピネフリン)

α1, β1, β2 受容体のどれにも親和性が高い
→心臓 β1 受容体に強く作用し、心収縮力を増強させるため、心停止時の蘇生に用いられる

末梢血管を収縮させる働きもあるため、局所の止血や、末梢血管が拡張しているアナフィラキシーショックにも使うことができる

ノルアドレナリン

β受容体にはほとんど作用しない。α1 受容体に作用し、末梢血管を収縮させ、血流を回復させる。

ただし、血管収縮作用は、アドレナリンほど強くないため、止血には使われない。

心停止時に、本来、アドレナリンを投与すべきところを、ノルアドレナリンを投与するミスも起こりやすいところです。


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