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超短編集

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自分の投稿した1~3分で読める読切超短編小説集。 黒色は暗めの、白色は明るめの話。 名前のない彼等の1頁。
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2021年11月の記事一覧

あいつは何者か

僕と彼女で世界を作って、その世界は上手く回っていたし、ちゃんと終わりを迎えようとしていた…

sai
2年前
1

そっと抜け出すのは難しい

夢見心地の日々は終わる。 突然の嵐に叩き起こされて。 それって、午前六時の誕生神話……だ…

sai
2年前

感覚

指先から何かが消えていく。 それを感じ取って指先を凝視する。 しかし何も見えない。 掌を…

sai
2年前

ウォーム

部屋が寒いと色々と面倒なことが起きていくことに、あの子はやっと気がついた。 ことは数日前…

sai
2年前

タイム

水が落ちる。 ゆっくり落ちる。 彼の目は、それをさらにゆっくりと映し出す。 彼の見ている…

sai
2年前

目覚めの一杯

ぼけーっとするのが彼女は好きらしい。 しかもそれが、テレビやラジオ、本や音楽を観ながらだ…

sai
2年前
1

透明になりたい

透明になりたいと思ったことがある。 映画の透明人間とか、ドラマで不思議な力を持った人間が繰り広げるような内容のものではなく、本当に単純に人から認識されないだけの透明人間になりたかった。 映画やドラマだと透明人間になって悪いことをしたり、何かの陰謀に巻き込まれたりとかするのだろうし、やっぱり透明人間になったら良くないことをしてやろうとか思う人が多いのだろう。 でもあたしは、そうじゃない。 誰にも認識されない、誰にも邪魔されないし邪魔もしない。 良くないことをするつもり

涙採集

やさしい彼等はハゲタカに襲われる。 彼等自身、それを何度も繰り返しているのにどうしてかい…

sai
2年前
2

三日

彼の世界には白いカラスなど存在しない。 そして私の世界には黒いカラスなど存在しない。 黒…

sai
2年前
1

ニュー

今日、待ちに待った新しい世界が生まれる。 五年かけて制作した世界の誕生を見ようと神々の子…

sai
2年前
1

近づくなかれ

永遠に生き続けることを望んだ彼等は、自らの命を差し出して仮想世界を誕生させた。 そしてそ…

sai
2年前

クワイエット

過去と現在、そして未来。 三人の同じ人間が顔を合わせる時、ちょっと困った事態になる。 三…

sai
2年前

スーサイドの約束

特に生きたいとも思っていなければ、特に死にたいとも思っていなかった。 彼と久しぶりにあっ…

sai
2年前
3

見習いですらない

小さなステップが耳に届く。 それは彼女たちのものだと理解するのに時間はかからなかった。 この家に近づく者など彼女たちくらいしかいないのだから当然のことだ。 程なく扉がドンドンと叩かれ、家の主である私の返答を待たずに扉が開く音が聞こえた。 そして彼女たちの小刻みな足音が一階にある部屋という部屋を往復する。 それを私は地下室で聞いていた。 幸いにも彼女たちに地下室の扉は見つけられていないので、足音が二階に去って行くまで地下室で息をひそめる。 なかなか階段を上がる音が