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超短編集

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自分の投稿した1~3分で読める読切超短編小説集。 黒色は暗めの、白色は明るめの話。 名前のない彼等の1頁。
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2021年2月の記事一覧

存在しない2月29日に乾杯

俺の友人に誕生日が2月29日のやつがいる。 そいつと初めて会ったのは大学の頃で仲良くなった…

sai
3年前
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神様の子供

僕が神様の子供を不憫に思うようになったのは、いつからだっただろうか。 小学生の頃からある…

sai
3年前

三枚目のジョーカー

これは、大学時代の仲良し四人組が久しぶりに集まって宅飲みをしていたときのことである。 仕…

sai
3年前
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春を見つけるのは誰か

春っていうのは、なんて思わせぶりなやつなんだろう。 もうすぐかなって思ったら、寒くなって…

sai
3年前
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原石の記憶

友人の結婚前祝が終わって帰る時に、私は方向が一緒だった彼女と指輪の原石について話をしてい…

sai
3年前
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ブルシッド

寺山修司という人が 『不幸な物語のあとには、かならず幸福な人生が待っています』 と言った…

sai
3年前
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太陽に向かって走るな

ぼくたちはいつも、学校が終わって一度家に帰ってから川で遊ぶ。 家に帰るのはいつだって夕日が沈む時刻だった。 今日も帰り道が同じ方向の友達数人と一緒に帰るけど、ぼくたちは帰る時にも遊んでいる。 河川敷から土手に上がって、夕日に向かって走って帰るという遊びだ。 太陽の沈む方向に、ぼくたちの家があるから始まった遊びだった。 今日も昨日と同じように走る。 でも今日はちょっとだけいつもと違った。 両目に太陽の橙色が一直線に飛び込んできて、ぼくは思わず目をつむる。 でも太

鬼ごっこの代償

どこかに行きたかったわけではない。 ただ、家に居るのが嫌で午前中からずっと目的地もなく外…

sai
3年前
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ペンギンを探せ

アデリーペンギンが見たい、と彼女は言った。 アデリーペンギン? そう、アデリーペンギン。…

sai
3年前
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自由落下

人は落ちている時には自分の体重を感じない。 そんな当たり前のことを言ったのはどこの誰だっ…

sai
3年前
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宇宙一ひどい歌

あたしは今、宇宙共通語を教わりながら、この宇宙人が地球にやって来た時のことを思い出してい…

sai
3年前
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衝動を止めろ

この国には核爆弾が存在する。 ほんの120年ほど前にはなかったらしいが、しかし実際は発電の…

sai
3年前

筋肉は裏切る

これは僕の高校二年の頃、とある友人に起きたちょっと笑える話である。 彼はパンプさんとみん…

sai
3年前
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イマジナリー

僕は子供の頃、近所のふたつ年上のお兄さんとよく一緒に遊んでいた。 ある時僕がお兄さんに、どうして大人は約束を破るの?と訊いたことがある。 お兄さんは困ったように笑いながら、大人には大人の事情があるからだよって答えた。 大人の事情ってなに?って続けて訊いたら、それは大人になればわかるよっと言ってお兄さんはまた笑っていた。 でも僕はそんなことでは納得が出来なくて、不満たっぷりな態度でお兄さんにまた続けて言う。 大人は約束を破らないようにって教えるのに、その大人が大人の事