詩 一篇

「おっぱいがいっぱい」

無機質な美術館で
みつけた、おっぱい

くちびるに
小さい笑みを浮べる
オンナ
それに全て明け渡し
眠る産まれたてのいのち
タイトルは忘れたが
目にはしっかり焼き付いている

あかんぼうも
つかれた♂も
ピリピリした♀も
すべてわすれたろうじんも
そして逝くひとも
おっぱいはそのせかいをゆるめる

現実の交差点
顔をなくしたオンナとすれ違う
しがみついているいのちは
必死に生きようとしていた

あのひとの、おっぱいはたわわだろうか
ただ、小さく笑んでいたオンナのように

肉でなく
その奥の奥にある
温もりはやわらかだろうか


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