見出し画像

心象風景

赤く添削された手紙を握りしめた夕暮れ
広いリングに登るには頼りなくて
だから街の片隅で息を潜めて生きていた
高みにのぼるハシゴに足をかけたとしても
砂漠の中でチェスをするようなものだからだ
手のひらを開いてみた
欲しいものは見当たらない
ポケットを裏返してみたところで出るのは昔の埃ばかり
それともすっかり穴が空いていてすべてはこぼれ落ちているのかも知れない
散歩道をあるく
伸びた影の背中が丸い
石なんか蹴ってみたい
ちぇって舌打ちして

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?