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詩 一篇

夜の底の物語
常緑樹の緑から眞白な雪が
滑り落ちてきては積もっていく

場面転換

赤黒い木の実が点々と落ちている
白い、ただ白い平野
その先に小夜啼鳥の死骸が
小さく横たわっていた
木の実だと思っていたものは
最後と引替えにした血痕で
老いたカノジョの命が燃え尽きる
生への賛歌だった

暗転
暗転

そして
朝のうわずみ

遠くで鳥の声がしたのは
夢の残り香、だろうか


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