アイドルカフェという魔法

 アイドルカフェは、主に年に一度の徽音祭でダンスパフォーマンス・カフェタイムを行うサークルである。例外的に、徽音祭以外の活動の場を設けることもあるが、主な活動は間違いなくそれだ。
 他のアイドルコピーダンスサークルと異なり、アイドルカフェではインターネット上に顔写真やダンス動画をあげることは基本的にない。要するに、365日毎日『アイドル』として活動しよう、というサークルではないのだ。
 そんな我々が、徽音祭の二日間だけは、『アイドル』になれる。これはアイドルカフェというサークルにおいては当たり前のことかもしれないが、個人にとっては間違いなく特別なことだろう。

 一年のうち、たった二日間だけかかる魔法。

 けれど魔法をかけてもらうためには、魔法使いが必要だ。魔法がなければ、永遠に灰をかぶったまま。
 ではアイドルカフェにとっての魔法とは何なのか。魔法使いとは誰なのか。
 私たちは二日間『アイドル』として輝くために、一年を通して練習をし、衣装を考え、他にもあげればきりがないほどの、様々な活動を行う。積み重ねがなければ、当日に私たちはステージに立つことはできない。これは、魔法をかけてもらうための、資格を得る行為である。
 そして……何より重要なのは、魔法使い、つまり私たちに会いにきてくれる先輩方だ。どれほど練習を重ねようとも、発表の場を設けようとも、応援してくれる先輩方がいなければ、私たちは決して魔法にかかることができない。シンデレラがどれだけ厳しい環境に耐え努力を重ねようと、魔法使いが現れてくれなければ舞踏会へは行けないように。

 私は、アイドルカフェが好きだ。二日間のために、何日も頑張ろうと思える。それは初めての徽音祭でかけてもらった魔法が、私にこれまでにない昂揚感をもたらしてくれたから。
 先輩方のコールも、輝くペンライトも、会場の熱気も、全てを克明に思い出せる。愛しい記憶として、大切に心の内にしまわれているから。

 私のメンバーカラーがオフホワイトということで、初回の更新はこのような内容になった。思っていることを短い文章にしたり、口に出すことはさほど得意ではない。だからこそこの場で、様々な想いを伝えていけたら、と切に願う。

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