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絵本「なまえをもらったひ」

2007ねん11がつ3か。
おねえちゃんがむかえにきて、ハナというなまえをつけてくれました。


はじめてみる、そとのせかいはまぶしくて、すこしこわかったけど、
これからたのしいことが、たくさんおこるようなきがしました。


それまでのハナは、ぶりーだーさんのところで、たくさんあかちゃんをうんでいました。




ここはどこなの?こわいよ。
おさんぽは、にがて。
おしっこは、どこでしたらいいの?

はじめてのことばかりで、なにもわからなかったけど、
おねえちゃんがひとつずつ、おしえてくれました。



よなかにこわいゆめをみて、おおきなこえで、ないたこともあった。
おねえちゃんはそんなとき、ハナをそっとだっこしてくれました。
うでにだかれていると、ふあんがきえて、いつのまにか、ねむっていました。


おねえちゃんはハナに、
「ハナはおじさんに、すてられたんじゃないよ、
おねえちゃんが、おねがいしてもらってきたんだよ」って、いいました。


おねえちゃんからまいにち、
「ハナがだいすき」ってことばをきいているうちに、
ふしぎとゆうきが、わいてきました。



ハナはすこしずつ、すこしずつ、
いろんなことが、できるようになりました。





いろんなきせつを、いっしょにすごす。

 



なにげないひびが、
いっしょにいることが、

こんなにしあわせなことだったなんて。



ハナはおねえちゃんがだいすき。
おねえちゃんも、ハナがだいすき。

そのことが、こんなにしあわせなことだったなんて!




ハナはいままで、しらなかったよ。




ふたりいっしょなら、きっとなんだってできる。
ハナはもう、こわいことなんて、なにもないの。



たくさんだっこしてもらった。
おふとんに、いれてもらった。
あるけるようになって、おさんぽにもいった。
すなはまを、どこまでもはしった。

「かふぇ」にもいった。
おともだちとあそんだ。
おいしいものも、たくさんたべた。

ハナはもうこれいじょう、ほしいものなんてありません。
おねえちゃんと、きもちをこうかんできたことが、なによりもうれしかった。






あるふゆのさむいひ・・。
てんしたちが、ハナをむかえにきました。

ねがおをみながら、そっとたびだちたいので、
おねえちゃんが、ねむっているあいだにいきます。




おねえちゃん、ありがとう。





ハナのいのちを、にわの、らいらっくのおはなにたくします。
はるがきたら、きっときれいにさくでしょう。



おねえちゃんが、きづいてくれますように・・。


うちに来る前は、繁殖犬としてがんばっていたハナ。ハナはその期間を取り戻すかのように、私に甘え、新しいことを一生懸命に覚え、吸収し、その命を、キラキラと輝かせました。人間に愛されることの喜びを知ったハナは、まるで恩返しでもするかのように、深い深い愛を向けてくれました。成犬には過去があります。その過去と、真剣に向き合おうとした時、私達はかけがえのない絆で結ばれます。時間の長さではない、死をもってもなお続く絆です。犬を迎えようとする時、少しでも、成犬を迎えることを、選択肢の一つとして考えてくださる方が増えることを、願っています。

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