診察料が安すぎる

さっき、昼飯を向かいの蕎麦屋で済ませました。その蕎麦の値段を覧て、私は唖然としたのです。



たぬき蕎麦一杯が800円。



え?今時たぬき蕎麦一杯800円は普通でしょうって?もちろん、普通です。しかし私が唖然としたのは、医療保険で定められている再診料が730円だという事でした。医者が患者を診察する価格が、たぬき蕎麦一杯より安いわけだ。



それは、いくらなんでもないでしょう。



日本のたぬき蕎麦は、タイで言えば屋台のクイティヤオです。クイティヤオ一杯の値段は無論バンコク都心部とチェンマイのような観光地、コンケンのような全くの地方都市ではそれぞれ違いますが、まあ仙台のちょっと町外れの蕎麦屋ですから、タイで似たような都市としてこラートの値段を上げましょう。こラートはタイ東北部の中心都市ですから、仙台という日本の東北地方の中心都市と比べるのに丁度良い。



コラートでクイティヤオ一杯はおおよそ40バーツ、160円です(一バーツ4円として)。ではタイの医者の診察料は?



日本の保険診療では初診料が2820円、再診が730円です。患者の自己負担はそれにご自分の保険証が適応される負担割合を掛けたものです。つまり3割とか2割とか1割になるわけ。タイでは初診料が日本円にすると3500円から4500円(タイの診察料は病院によって違う)、再診料は1500円から2000円というのが平均的な値段です。もちろんタイには30バーツ保険という公的医療保険制度があり、公立病院は誰でも自己負担30バーツ(120円)で済みますが、病院が得る診察料が30バーツなのではありません。なお30バーツ医療で受けられるのは公的医療機関だけです。タイではきちんとした病院はほとんど私立で、公立病院は施設は旧い、常に激混み、英語などほとんど通じません。私立病院は日本なら慶應、女子医と言った有名私立大学病院とまったく遜色在りませんが、30バーツ保険では受けられません。民間の任意保険だけしか使えません。



要するに、タイでは安い公立病院でも、医者の診察料はクイティヤオ1杯の約4倍はするのです。



それはねえ・・・。当たり前だと思いますよ。屋台の麺一杯とか、アメリカならハンバーガーセットより医者の診察料が安い国なんてものはないです。日本で、今マクドナルドの卵ダブルセットが810円、えびフィレオセットが790円、ビッグマックセットが750円。医者の再診料は、そのどれよりも安いのです。



値段というのは、そのもの、あるいはサービスの価値です。日本では医者が患者を診察するというサービスは、たぬき蕎麦一杯より安く、マクドナルドのセットより安い価値しかないとされているのです。



いや、冗談じゃない。



いっそ保険診療なんか、もうやめたら良いんじゃないでしょうか。診察料が730円でしないのに患者は治療費が高いと文句を言い、国は医療費で財政が破綻すると騒ぐ。



じゃあ、保険診療止めましょうよ。そうすれば医療費で財政破綻しないんだし、再診料は医療機関が自由に決めたら良い。あゆみ野クリニックは田舎のしょぼいクリニックですからタイ並みにたぬき蕎麦の4倍で良いです。仙台の厚生病院なら10倍取っても良いでしょう。



自分の診察料がたぬき蕎麦一杯より安いとなると、医者としてはいっそ公的保険なんか止めてしまって、命の沙汰は金次第にしたら良いと言いたくなるのです。

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