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公務員

私は兵庫県について殆ど何も知らない。しばしば私はあそこの名前を「神戸県」と間違える。つまり神戸市以外の兵庫県は、全く無知だ。



兵庫県知事が度々パワハラをやり、県の職員が自殺し、あれやこれやの問題が噴出し、結局辞職に追い込まれた。



自殺者が出るほどだから兵庫県知事の態度は悪かったのだろうが、彼に反旗を翻しているのが主に兵庫県の役人達だと知ると、私は内心「へえ」と思う。



私は公務員・みなし公務員だった年月が長かった。だから公務員というものを、割合よく知っている。



一番劇的な記憶は、まだ東北大学が本物の「国立大学」で、全ての正規職員が国家公務員だった時代だ。当時、看護師は医師の指示など一切無視した。ある晩私が当直をしていたら病棟から電話が来て、Aさんのおしっこが出ません」。その人は心不全だったから「ではラシックス(代表的な利尿剤)を注射してください」というと電話口の向こうで看護師が「注射は先生の仕事です」ガチャ。



問答無用に電話を切られた。



ところが、東北大学が名前はそのままでも独立大学法人になり、職員が国家公務員でなくなった次の日、制度が変わったまさに翌日、私が「誰々さんにラシックスを注射します」と病棟で言ったら看護師が「いえ、注射は私たちがやります」。



唖然とした。



大学の後、私は国立病院機構に移った。国立病院機構は今でも国家の機関であり、職員は皆国家公務員だ。



しかし国立病院の職員は、頭はよかった。また現場職員は職務に熱心で、患者の面倒をよく見た。公務員と言っても随分違うものだと思った。



しかし、国立病院機構では初期研修医の指導を巡って不正が横行していた。私は「臨床研修部長」だったのでそれを職権で指摘したら、病院の態度ががらりと変わった。毎朝私には尾行がつき、何時に出勤していつ何所で何を言った、やったと記録された。非常に頭が良い、そしてずる賢いやり方で、私は国立病院機構を負われた。



しばらく民間に転職した後、私はひょんな経緯でほんの数ヶ月、石巻市立雄勝診療所長をやった。ところがこの石巻市立雄勝診療所の立場は極めて微妙で、上司が二人いた。石巻市健康部長と石巻市雄勝総合支所長だ。どちらを立てればよいか分からないし、そもそもどちらも学歴は私より遙かに下で、見識も低かった。結局両者が共に私を憎み、市長名で「お前は赴任して6か月を経たが勤務態度に問題があるから、さらに6か月観察期間とする」という文書を出してきた。それで、私はその場で辞職した。



つまり、役人というのはおしなべていやな連中なのだが、痴呆公務員が一番始末に負えない。それは神戸市を擁する兵庫県でもあまり変わらないのではないかと思う。どのみち学校の成績が悪くまともに就職出来ないから、地方の与党議員に金を包んで押し入れて貰った連中だ。だからそう言う連中が主に知事を攻撃しているのであれば、私は必ずしも知事が全面的に悪いわけでは無いのではないかと思っている。

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