1月近況

 先月末に頑張ってNoteを書いていたので、今月もちょっとくらい書いておこうと思った。自分用なのでレイアウトとかガタガタかもしれない、すまない。

・最近のゲーム事情
 This war of mineを少しやった。戦争区域で様々な背景を持つキャラクターを生き残らせるゲームなのだが、ここでプレイヤーが操作するキャラは軍人や傭兵ではなく一般市民で、敵も直接的な暴力や爆撃というよりは空腹や寒さを始めとした戦禍そのものの空気である。  各キャラクターの個性を活かしながらベースキャンプを築きつつ、民家の焼け跡から使えるものがないか探す。当然のことながらこれは窃盗であるが、咎めるための機関は機能を失っている。そもそも家主がまだ生きているかなんて分からないし、他の誰かが同じことをするかもしれない。この良心と生存を天秤にかけた体験ができるのがこのゲーム最大の特徴だろう。繰り返しているうちになんとも思わなくなってくるのも含めて、攻略する自分の心が少しずつ荒んでいくのを感じる。  もう一つ、最近やっているのが将棋です。王将戦で藤井王将VS羽生九段が実現し、世間でも流行っていますね。先週の棋譜を見たんですが、素人目にも分かる美しさでした。  ということで将棋ウォーズという連盟公認のアプリを始めたのですが、今の所AIの「難しい」に2勝4敗です。あいつらは人間と違ってやらかしがまったくないのがずるい。こいつに勝つくらいじゃないとさすがにオンライン対戦は怖くてできない。  あまり知られていないこととして、将棋ウォーズには課金アイテムがあります。プレミア会員になると単純に一日でオンライン対局できる数が増えるだけでなく、課金アイテムを使うことで対局中に五回までAIに交代し、最適手を指させることができるのです。そして更に、課金することでオンラインマッチングの相手を自分より弱くなるようにすることができるんです。つまり合法的にボコれる。  ……本当に公認したのか? 日本将棋連盟が? こんな人間の後ろ暗い気質を煮詰めたような課金システムを?

・最近読んだ本
 芥川に疲れたので、するっと読めるライトノベルとして、途中で止まっていた『人類は衰退しました』を読むなどしていた。やっぱりこの文章のホッピング具合に憧れるなあ。原稿の追い込みで文体を見失いがちな時に助かりました。  それから裏世界ピクニックの最新刊。最近は百合メインでネットロアの話とかほとんど出てこない。そもそも「ネットの実話怪談(明確なフィクションは除く)」という縛りを施しているのでキツそうだなーと思いながら読んでいたのだが、今回はすごかった。今回もまたほとんど裏世界には行かず、ただただ「私ってあの子のことどう思ってるんだろう」という今更!?!?!?!?なテーマで、最終的に分かりやすく恋愛的な結論を出すまでの話なんだけど、そんなpixivで探せば百万作はありそうな展開でここまで面白く、納得させる長編を書き切ったのは驚嘆だ。百合に向き合って人間になった男が本気で百合に挑んだ結果として、これ以上ないものが出来上がっている。この男に、百合に対する「こうやっておけばいいんでしょ?」という侮りはない。無事関係が進展したし、そのうちイチャつくだけのスピンオフが出そう。  そして今読んでる小説がやばいっす。小川楽喜著『標本作家』。鳴り物入りで出版されたディストピア小説家SF。8000世紀の人類などとうの昔に滅んだ世界で、地球に定住した玲伎種と呼ばれる上位存在は、彼らの知らない人類の文化、とりわけ感性に根ざした文学に興味を持ち、彼らに作品の再生産を命じた。玲伎種の超常技術によって現代に蘇らせられ、不死の命まで与えられた作家たちは、半永久的に作品の献上をさせられている。全ては、玲伎種がうなるほどの究極の文学を作るため。玲伎種は彼ら一人ひとりになにか一つ望みを叶えるという条件を与え、作家同士で協力できるように感性をトレースする超能力を付与し、檻のような施設にかれらを捉え続けている。主人公は彼らから作品を受け取るいわば編集の立場の女性で、巡稿者と呼ばれる彼女もまた不老不死である。彼女は思う。果たして人が死ななくなっても作品は輝くのだろうか? 全く傾向の違う作家同士の思想や感性をかき混ぜて本当にいい作品が書かれるのだろうか?  もうあらすじだけで絶対書けねえよこんな話。「最高の文学とはなにか」というテーマにも接続するわけで、よほどの説得力がないと成り立たないストーリーのはずなのに、今の所めちゃくちゃ面白い。これでオチが綺麗だったら、引退(ここで言う引退とは「格ゲー引退」しますくらいの意味)しようかなと思う。  まずキャラクターの立て方が凄いのよ。作者はもともとTRPG出身の人らしく、その技術を遺憾なく発揮している。小説を作る施設の中では、文豪十傑と呼ばれる特に作品執筆の中心となる作家たちが登場するのだが、そいつらは全員架空の作家で、独自の経歴と思想、そして玲伎種に訴える願望を持っている。社会現象を引き起こした恋愛作家、二十八世紀の社会問題を取り入れた児童小説家、あらゆる人間になりきってゲーム内テキストを作り続けたミステリー作家、「吸血鬼」という概念を生み出してしまったがゆえにマンネリ化してしまった界隈を憂いて玲伎種に「吸血鬼という概念が生まれなかったパラレルワールドの怪奇小説を見せてくれ」と言い出すゴシック作家など……自らの小説に取り憑かれたこの紹介パートが異能力バトルも真っ青の濃厚さで驚く。  いやほんと、一月からすげえもん読んでるわ。


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