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スマートノートを書くことで自分の脳内世界を作る

2022年4月22日(金)

今月は岡田斗司夫の次の2冊の本を紹介してきました。

  • 岡田斗司夫『評価経済社会・電子版プラス』(株式会社ロケット, 2013)

  • 岡田斗司夫『超情報化社会におけるサバイバル術:「いいひと」戦略』(株式会社ロケット, 2014)

ダイジェストでその主張をまとめてみると次のようです。

評価経済社会は評価と影響を交換し合う社会

ある時代のパラダイムは何が豊富で、何か貴重であるかによって決まる。狩猟採取時代は住む場所から自由ではあったが不安定な生活だった。農業革命によって人は安定を獲得し時間が豊富になった。身分制は固定し、宗教が進展した。次の産業革命によって、人は安定を失い、合理性と宗教から生まれた科学が支配した。その結果、個人が疎外された。そして、今は情報革命が進展しつつある。それは合理性や科学を超えた、人々の「気持ち」や「感想」が無限にあふれ出る社会である。

評価経済社会とは、評価と影響を交換し合う社会である。現代は貨幣経済社会から評価経済社会へと移行している。評価はお金に変わる(例:ディズニー)。しかし、お金だけでは評価を生み出すことはできない。これからの消費は単純にモノをお金で買うということではなく、自分の好きな対象を支えるというようなサポーター的なものになっていく。

評価経済社会の中での個人のふるまいの特徴は次の3点。

  1. 他人をその価値観で判断する

  2. 価値観を共有する者同士がグループを形成する

  3. 個人の中で複数の価値観をコーディネートする

人は評価経済社会の中で「いいひと」キャラを演じる

では、このような評価経済社会の中で人がサバイバルしていくためにはどのような戦略が有利なのか。岡田斗司夫は、それは「いいひと」というキャラクターを演じることだと『超情報化社会におけるサバイバル術:「いいひと」戦略』の中で主張する。

Googleやfacebookで求める人材について聞いてみると、それはすごいスキルを持った超天才ではなく「Good natured person」だという。つまり「いいひと」だ。単にスキルが高い人は外注で契約すればいい。その一方、本社に置いておくべき人は、まわりの人の仕事のじゃまをせず、楽しく協力しあえるグッド・ネイチャード・パーソンだというわけだ。

「いいひと」の特徴は、他人に親切、何を言われても心が折れない、うまく人を褒めてやる気にさせる、もめごとを起こさず仲良く付き合える、他人の失敗や非礼を許す、などだ。こうしたキャラを演じることがますます重要になってきている。

私たちが仕事をしていて使うエネルギーの大部分は対人関係で消費される。攻撃されないように慎重に発言したり、必要以上にお礼を言ったり、行きたくない飲み会に行くなどの高いコミュニケーション・コストを支払っている。

しかし「いいひと」を演じすぎると「自分」が溶けてしまう

以上を一言でまとめれば、現代の評価経済社会の中で生き抜いていくためには「いいひと」を演じていくことが必要だということになります。しかし、評価経済社会に最適化するために「いいひと」というキャラを演じていると、「自分が溶けていってしまう」というリスクを負ってしまいます。それを防ぐ最後の防衛線として「スマートノート」という自分の脳内世界を表現するノートに毎日書いていこうということを提案するのがこの本です。

  • 岡田斗司夫『あなたを天才にするスマートノート・電子版プラス Kindle版』(株式会社ロケット, 2014)

自分の脳内世界を表現する「スマートノート」

現代の私たちは2つの世界の中に生きている。リアルに接触する「現実世界」とインターネットに媒介される「電脳世界」である。3つ目の世界は、自分自身だけが知っている「脳内世界」である。この世にあるもの全てに解釈を加えて、自分オリジナルなものが出せれば、それは地球がもう1つあるのと同じことになる。しかし、考えているばかりでは世界にならない。書くという作業によって考えを無理やり固定化させることが必要だ。その作業場所がスマートノートと呼ぶノートである。

スマートノートに5行日記を毎日書いていくことで訓練をスタートする。最初は行動の記録、次に自分の感情、そして論理をつけていく。論理的に考えるというのは、上下左右に考えを広げることだ。

  • 下方向に「なぜ?」と原因を掘り下げる

  • 上方向に「ということは」と推理を積み上げる

  • 左方向に「昔はどうだった」と過去をさかのぼる

  • 右方向に「同じような事例がなかったか」と類似や連想を広げる

  • 最後に「私は今こう考える」と自分ごととして結論を出す

スマートノートには3つの機能がある。

(1) セルフ・カウンセリング機能:自分の客観視することができて、気が楽になる
(2) セルフ・マネジメント機能:自分自身の最高のアドバイザーになれる
(3) コミュニケーション機能:スマートノートを他者とのコミュニケーションに使う

スマートノートでは検索はしなくていいし、テーマ別に分類する必要もない。一日見開き2ページを書くことだけを続けていく。ノートを続けていくと頭の中でいろんなリンクが生まれるので、同じテーマでも過去に考えていたこととズレてくるし、手触りも変わってくる。だから検索に時間をかけるだけ無駄になる。

私がiPad+GoodNotes5で書いているジャーナルもスマートノートかな

スマートノートに書いていくためのスモールステップの訓練方法については本を読んでいただければと思います。私は2021年1月からiPad+GoodNotes5で手書きのジャーナルを書き続けています。もう1年と4ヶ月になりますけれども、ますます書くのが楽しくなってきています。

このスマートノートのことを考え合わせると、今書いているジャーナルはほぼスマートノートであると言ってもいいでしょう。最初の頃は、テーマ別(たとえば、授業、研究、テニスなど)に書いていました。しかし、すぐにそれは意味のないことだと感じて、すべてのことを日付ごとに書いていく方式に変更しました。大体1日1ページのペースです。イベントがあったり、考えることが多くなると2ページ、3ページとなります。

この電子ノートが私の「脳内世界」と行ってもいいでしょう。それは誰にも読まれることなく、ただ私だけのために存在するのです。

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