見出し画像

(118) 5月からの「アドラー心理学オンライン研究会」の意図と目的

2021年2月25日(木)

第6回アドラーフェストを2021年3月13日(土)14:00-17:00にZoomで開催します。講演あり、研究発表あり、交流ありの楽しい催しです。今回は一年半ぶりの6回目で、オンラインの開催です。参加無料です。申し込み方法などはこちらの記事をご覧ください。

これまでは毎年開いていたのですが、コロナで一年半の間隔が空いてしまいました。Zoomでの開催となりますので、直に対面できないことは残念ですけれども、逆に遠方からも気軽に参加できるというメリットもあります。

アドラーの講座はエクステンションセンター中野校での開催がこの一年間なくなってしまいました。また、2021年度春学期の開講もなしということが決まっています。

noteでのオンライン講座は次の2コースが常時開いています。

アドラー心理学はじめの一歩/アドラー心理学を実践する

・アドラーオンライン

・アドラー心理学オンライン研究会を企画

とはいえ、アドラー心理学について研究的・実践的視点で語り合う機会というのはどうしても必要だなあと感じています。ですので、2021年5月から、「アドラー心理学オンライン研究会 (APOK: Adlerian Psychology Online Kenkyukai)」というのを始めようと企画しています。Zoomでの開催で2ヶ月に一回のペースで考えています。

このベースになったのは、今年度1年間に渡って開いてきた「教える技術オンライン研究会 (OGOK: Oshieru Gijutsu Online Kenkyukai)」です。これは毎月1回Zoomで開催し続けることができました。OGOKは2021年度は2ヶ月に1回にスローダウンして続ける予定です。これの合間にアドラー心理学オンライン研究会を入れていこうというわけです。

・テーマの探究→ワークの開発→研究への展開

ということで、アドラー心理学オンライン研究会の内容を考えています。年に6回しかありませんので、ある程度のテーマ設定はしておくほうがいいでしょう。テーマは、アドラー心理学の中心的なアイデア(劣等感と補償、ライフスタイル、共同体感覚など)と理論的な枠組(仮想論、全体論、目的論、社会統合論、主体論)、そして実践との連携(子育てと親教育、学校教育とクラス運営、職場でのチームワークと対人関係など)といったところから取り上げていこうと思います。

取り上げたテーマについての知識と考え方を共有したところで、それを体験して学ぶことのできるワークを開発することも考えています。アドラー心理学の特徴的なところは、ただ生きることについての理論というだけではなく、それを体験しながら学んでいこうという点にあると考えています。ですので、ワークの開発というのはアドラー心理学を研究している人にとっては重要な仕事なのです。

特定のアイデアや理論を体験するためのワークには正解がありません。ですので、ワークの開発は(開発者の個性がよく現れるという意味でも)とても創造的な仕事でもあります。その一方で、なぜこのワークなのか、というように、参加者によく納得されないケースもあります(私が考案して実施したワークでもそのようなものはけっこうあります)。ですので、ワークの効果をエビデンスとして明示する必要があります。これが、アドラー心理学の研究に展開していくと思います。

研究会の究極のゴールとしては、このような研究成果を社会に出していきたいということがあります。

・現代心理学へのアンカー

心理学史的に見れば、アドラーは、臨床心理学と人間性心理学はもちろんのこと、それ以外にも発達心理学、教育心理学、パーソナリティ心理学、対人社会心理学の源流となっています。しかし、このことは心理学研究者の中でもほとんど知られていません。その一方で、21世紀に入って、ポジティブ心理学、社会情動的スキル、幸福研究といった新しい流れが起こっています。これらの新しい流れは、アドラーが予想した「人生の意味とは何か」や「幸せに生きるにはどうしたらいいか」というアイデアと方向を同じくしているのです。

ですので、この研究会では「古典の解読」というだけではなく(それも十分意味がありますし、楽しいことですが)、それを現代心理学の流れの中にどう位置づけるかということを常に考えていきたいと思います。それが、今、アドラー心理学を探究することの中心的な意義だと思うからです。

・2022年3月の最終回は公開オンライン研究会に

2022年3月の最終回は、公開オンライン研究会として、1年間の成果を共有する場にしたいと思っています。そのときの成果を見れば、さらに次のシーズンも続けていけるかどうかが判定できるのではないかと思います。今から楽しみです。

日本個人心理学会(https://www.jsip-a.jp)も立ち上がり、近く第一回の学術大会も開催されます。アドラーの新訳本も続々と出版されています。アドラーの本が読みやすい訳文で読めるのは素晴らしいことです。あとは、アドラー心理学に基づいた研究の蓄積を進めていくことに、私自身は力を注いでいきたいと思っています。このオンライン研究会はその1つの手段です。

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 100

ご愛読ありがとうございます。もしお気に召しましたらマガジン「ちはるのファーストコンタクト」をご購読ください(月500円)。また、メンバーシップではマガジン購読に加え、掲示板に短い記事を投稿していますのでお得です(月300円)。記事は一週間は全文無料公開しています。