5-話す技術

【連載】みんなの前で話す技術(第9回):話の最小構造は「問題設定-主張-データ-結論」

金曜日は「みんなの前で話す技術」講座を連載しています。

みんなの前で話すときには、必ず話し手が聞き手に対して伝えたいこと、訴えたいことがあります。これを主張 (claim) と呼びます。主張のない話は「楽しいおしゃべり」となります。それは「みんなの前で話す」という形式が不要なものです。逆に言えば、何らかの主張があるからこそ、みんなの前で話すという形式になるのです。

みんなの前で話をすることの目的は、聞き手に自分の主張を伝えることです。しかし、主張ばかりを話しても、それは聞き手に受け入れられません。どんな主張でも、それを支えるための材料を提示しなければ、聞き手の人に受け入れてもらえません。「私はこう思う。こう思う。こう思う。」と主張ばかりをつなげる話し手が、聞き手に受け入れてもらえないのは、その主張を支える材料が提示されていないからです。

主張を支える材料のことをデータ (data) と呼びます。ここでいうデータとは狭い意味の数量的なデータではなく、広い意味での材料です。具体的には、自分の経験、事例、出来事、聞いた話、読んだこと、ニュースなどです。つまりプライベートなものから、公になっている事実までの広い範囲の材料です。

主張を支えることのできる材料であればすべてデータとして使うことができます。データの信頼性は低いものから高いものまであります。個人的な経験や人から聞いた話などは、信頼性は高くありませんが、具体的であり材料として訴える力があります。一方、公になっている事実や研究成果などのエビデンスは、信頼性の高いものですが、抽象的でわかりにくいという欠点があります。

いずれにしても、話の最小構造は次のようになります。

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