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【アドラー実践】05 認知理論・認知療法の早すぎた先駆者だったアドラー

月曜日はアドラー心理学のトピックで書いています。
早稲田大学エクステンションセンター中野校で、10月3日(木)から「アドラー心理学実践講座(全8回)」が始まりました。これに合わせてしばらくの間、アドラー心理学実践講座の内容で書いています。

人間の見方についてのアドラー心理学の理論的枠組である「5つの基本前提」を紹介しています。前回までに目的論、全体論、社会統合論を説明しました。今回は、4番目の仮想論 (Fictionalism) です。

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仮想論は、以前は認知論 (Cognitivism) とも呼ばれていました。これは、アドラーと同時代の哲学者ハンス・ファイヒンガー (Hans Vaihinger) の「かのように (as-if) の哲学」から影響を受けています。「かのようにの哲学」とは、我々の人生においては客観的な事実よりも仮想(そうであるかのように考えること)の方が重要な役割を演じているという考えです。

たとえば、私たちは子どもの頃にそれぞれに特有のことを自分の弱いところであるかのように考え、それを克服していくことでより優れた自分になろうとします。これを仮想目標として人生を歩んでいくのです。子どものときの自分の弱いところは事実であるかもしれませんし、そうでないかもしれません。しかし、それを克服すべきものである「かのように」考えて、それを人生の指針とするのです。

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