0-日心特集

【日本心理学会大会特集・最終回】プライベートな価値観と枠組みを取り出す方法としてのレプテスト。

日本心理学会第81回大会が、9月20〜22日に久留米市で開かれました。そこでのシンポジウムを聞いて仕入れた話題について私の考えを交えて、特集でお届けします。次のような話題を順番に取り上げていきます。
 (1) 職場のストレスをどうするか
 (2) ポジティブ感情の働き【省略】
 (3) 生涯学 脳は老化しない
 (4) 感情労働と感情制御研究
 (5) 心の訓練としてのマインドフルネス瞑想
 (6) 個性記述的パーソナリティ研究法としてのKellyのレプテスト(RCRT)

今回は「(6) 個性記述的パーソナリティ研究法としてのKellyのレプテスト(RCRT)」という話題を取り上げます。

ケリー (George Kelly) は、私たちが何かを理解するということについて、それは「パーソナルコンストラクト」つまり「世界についての説明と予期のシステム」を個人の中に作り上げることであるというモデルを提案しました。このパーソナルコンストラクトを作り出すことによって、自分が世界の中でうまく生きていくためのマップとして使うことができます。

人は、このパーソナルコンストラクトを作り上げるために、たえず仮説を出しそれを検証していきます。その行為はまるで科学者が仮説検証をすることに似ているので「人間-科学者モデル man-the-scientist model」と呼ばれています。私たちは、日常生活の中で、「もし私がこうしたらまわりの人たちはどう反応するだろうか」というような実験をして、その結果によって得られた小さな結論を組み合わせて、パーソナルコンストラクトを自分の世界観として作り上げていくのです。

ケリー独自の方法として次の2つがあげられます。
 1) レプテスト=RCRT (Role Constuct Repertory Test)
 2) 自己描写法 (Self-characterization)
ここではレプテストについて説明します。

レプテストは、環境や道具の評価方法として広く実用化されており、「評価グリッド法」や「レパートリーグリッド法」と呼ばれています。レプテストのユニーなところは「個性記述的」なパーソナリティ理論として唯一のものだということです。

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