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8. 共同体感覚

今回のポイント
・アドラー心理学は、「思想/理論/技法」という3階層から構成されている
・理論の階層は、この講座で取り上げてきた5つの基本前提
・技法の階層は、ライフスタイル分析や勇気づけの方法など具体的で実践的な方法
・思想の階層は、「人類は共同体感覚を目指すべきである」という主張である
・共同体感覚とは、自分の利益のためだけに行動するのではなく、自分の行動がより大きな共同体のためにもなるように行動しようとする指向性である

この講座もいよいよ終わりに近づいてきました。最後は、共同体感覚について取り上げましょう。

8.1 アドラー心理学は「思想/理論/技法」の3階層からなる。

アドラー心理学は、「思想/理論/技法」という3階層からなっています。

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まず、真ん中の理論の階層は、この連載で取り上げてきた「5つの基本前提」です。それは、目的論/全体論/仮想論/社会統合論/個人の主体性の5つからなっています。この5つの順番は任意です。研究者によって取り上げる順番や重みづけも異なっています。

次に、技法の階層は、ライフスタイル分析や勇気づけの方法、タテの関係・ヨコの関係、課題の分離と共同の課題といったような、具体的で実践的な方法の集合からなっています。これらの技法は、他の流派との折衷であることも可能です。また、アドラー心理学の理論に基づいて独自に開発することもできます。

たとえば、アドラー心理学に基づく子育てプログラムであるSMILEやPassageでは「IメッセージとYouメッセージ」という技法が紹介されています。相手に向かって「あなたは……だ(Youメッセージ)」というと相手が子どもでも大人であっても、決めつけられた感じがして、反発するかあるいは悲しくなるでしょう。それが原因であなたと相手の関係性が悪くなることもあるでしょう。それに対して「私は……だと思う(Iメッセージ)」といえば、それは私の意見や感想ですので、相手に反論の余地を与えますし、そのために相手は自分が尊重された感じを持つでしょう。

しかし、これはアドラーが発案したものでもなく、また、アドラーの弟子たちのアイデアでもありません。私が調べた限りでは「Iメッセージ」の起源は、1960年代Thomas GordonのPET (Parent Effectiveness Training) からです。

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読んで学ぶアドラー心理学です。アドラー心理学の基本理論から始めて、どのように実践すれば良いかを学びたい人に最適です。無期限ですので、自分のペースで学ぶことができます。随時コンテンツが追加されていきます。

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