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チューブ入り絵の具の発明が風景画を発展させた

2022年6月3日(金)

呉〜広島に遠征したときに、たまたまひろしま美術館で「風景画のはじまり コローから印象派へ」という特別展が開いていたので見に行きました。これは2020年7月から日本各地を巡回していて、ひろしま美術館が最後だったので、ラッキーでした。7月3日(日)まで開いています。一般1,400円(65歳以上1,200円)です。

いままでは「風景画? ああなるほどね」という感じでとらえていたのですけど、風景そのものが絵になるということ自体が革命的だったのですね。それまで肖像画とかが中心で、風景そのものがテーマになるということがなかったわけで。

で、それを後押ししたのが、チューブ入り絵の具の発明(19世紀中頃)なんだそうです。これができたことで、画家がアトリエの外に出て、屋外で製作することを可能にしたわけです。画家によっては屋外ではおおざっぱに描き、アトリエで細かいところを完成させるケースもあったようですけど、チューブ絵の具の発明は大きかったわけです。

こういう話を知るとなんだか興奮しますね。「人=道具=行為」の連鎖が絵画の歴史の流れの中に見え隠れする感じがどきどきするわけです。

あとは「風景画の描き方」という当時のテキスト本が展示されていたりして、これも興奮しました。やはり教科書があるんだ。なんでもまずお手本があるんだ、と。それから、エッチング(銅版画)の作品も多数展示されていました。これを下書きとして色付の練習をしていたようなのですね。

作品としての絵だけではなく、それがどのように描かれたのかということが実物をもってわからせてくれるところが私にとっての特別展の醍醐味かもしれません。

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