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もう動物は飼わないと決めていたけれど①

この夏でうちの猫になって丸5年になる猫のことを書いてみたい。

5年前、久しぶりに植木屋さんに入ってもらい蚊も居なくなり随分気持ち良くなった庭。ボス猫ゴンとお隣の猫ミケが連日遊びに来ていた。

この2匹は本当に仲睦まじくガラス越しに随分楽しませてくれていた。平和な夏の光景。

そんな時遠くからじっとこちらを見ている大きめな三毛猫が1匹。ボス猫やミケも気付いているものの追い払うでもなく一定の距離感。大きな三毛猫は夕方にはどこかに消えていった。

数日後、いつものようにボスやミケにおやつをあげてたらあの三毛猫がこぼれた餌欲しさにテラスの下に必死に潜ってきた。大きな体で屈み込みそれは大変なことだったに違いない。おそらく二粒か三粒やっと食べられたのだと思う。
餌をやるのは簡単だけれどやたらとあげるのは気が引ける。ボス猫は地域猫として認知されているしミケはお隣さんの許可を得ている。

「可哀想だけれどごめんね。あげられないよ」大きな三毛猫にそう伝えた。情が湧くのも辛いし何よりボスとミケの寛ぎの場所を守ろうという気持ちがあった。

それでも大きな三毛猫は連日やってきて遠くから家の中を見ていた。静かな佇まい。時々テラス下に潜っておこぼれを食べている。
よく見ると耳や鼻はボロボロでかさぶたが沢山。目も瞬膜が出ていて明らかに体調が悪そうだ。

そんなある日。ふと家の裏をのぞくとグッタリ横たわる大きなを三毛猫。
「あ。これはもう面倒見なきゃ!」
と瞬時に決めた。
今の今まで「猫を飼う」という選択肢はなかったはずなのに。特別この猫に思い入れもないのに‥。
もう少し逡巡しても良さそうなのに今思っても不思議。

幸いまだ水も餌も食べられる体力はあり
「ウゥグゥームニュムニュー」だか「グルルルゥゥ」だか声をあげながら夢中で食べていた。
それからは控えめに庭の端っこでゴロゴロしていた。

ボス猫の度量の大きさに助けられながら大きな三毛猫はうちの庭で寛ぐことを覚えご飯と寝床を与えられた。
つづく


#猫

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