white box -はじまり-

大きな箱から溢れたひとつの光が
この世界の創造主の目に止まった

嘆き、苦しみ、憎悪そう言った感情だけを持つべくまま光になった者は

誰かの役にたちたかった
でも自分は弱すぎて何もできなかった
もっと誉められたかった
愛してもらいたかった

なのに
どうして
僕はこんなにも醜い生き物なんだ

いやだ
いやだ

僕は、本当は皆と同じように生きたかった


創造主には理解できた
それは、きっとこの光が優しすぎたのだと

そして、そういったさまよう光を新たな道へ導く存在が自分であると


この先はどこに続くんだ
また僕を苦しめるのか
無様に生きなければならないのか
もういやだ
自分を騙すのはこりごりだ


創造主は言う
もし、誰にも傷つけられず、そして賞賛され続ける世界があったら君は行きたいか?


その声の響きに光は驚く
そして一瞬にして悟った


このまま永遠と続く負の感情から救われるのなら

その答えに創造主は優しく言う
では来るがいい
全ての感情を捨て、世界を作る仕事を君に託そう


そうして光は、創造主と契約を交わし、「箱の番人」となった
それは小さな白い箱
開けると無限の銀河が広がっている
この白い箱を閉じたまま、エネルギーの限界が来るのを待つ
限界がくれば箱を開けてこの世界のエネルギーとする
そのエネルギーの貯まる時間というのは人間の感覚にして永遠ともいえる時間
もういやだ
こんな管理したくない
そう思うこともない
何故なら、創造主と契約した瞬間、その光には感情が失われていたからだ


創造主は、光をもとにした存在を低コストで作りはじめた
そして、その存在達にも箱の管理を任せた
光にはその低コストの存在達の管理も任せることにした

箱を見ているか
それだけの指令である

こうして時間のないこの世界で
限りない多くの白い箱が生まれた

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