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夏風邪とリモート看病

────エッセイ

真夏の連休、待ち望んでいたはずなのに風邪を引いてしまった。 最近流行っている感染症ではなかったのが、不幸中の幸い。

7月に入ってから、 仕事がとても忙しい。 新しいプロジェクトが同時に立ち上がり、 さらに前からやってる案件のピークも重なってしまった。 朝早くに PC を立ち上げ、夜遅くまで画面はつきっぱなしの毎日。 お風呂に入ってる時もご飯を食べてる時も、頭のどこかに仕事のことが常にひっかかっている。暑さのせいもあるけれど、夜もぐっすり眠れてない気がした。

土曜日の朝起き上がると喉にかすかな違和感。 嫌な感じだと思いなから、洗濯物を干しているとコホンと小さな咳が出た。ほっとけば治る咳と治らないヤツの違いはなんとなく分かるもの。今回は後者な気がした。

早速、かかりつけの内科を受診した。待合室にはぼくひとり、すぐに診察室に通された。喉を見た瞬間、「あぁ、赤いですねぇ」と先生は笑顔になった。先生はなぜか、風邪を見つけたときに嬉しそうな表情をする。患者を安心させる為かもしれないけど、いつも少し変な気持ちになる。だからこの内科は空いてるのかもな、と思う。

診察後、薬局に直行し処方箋を出し薬をもらう。小さなビニール袋いっぱいの色とりどりの薬たち。袋に書かれた「五日分」の文字。連休中は、色んなつまみを肴に晩酌しようとウキウキした気持ちが一気にしぼんだ。

「この薬は効くのですが眠くなるんですよね」、先生の言葉通りに昼食後に飲んだ薬の効果は覿面。このまま寝たら明日の朝まで眠れるんじゃないかという睡魔に襲われた。でも、連休中に昼寝なんてもったいない。歯を食いしばってNetflixのドラマを見出すも、開始10分で寝てしまった。

起きたら夕方。日差しはまだ強いけど、町中に響く「夕焼け小焼け」のチャイムで17時だと分かった。なんだかなぁ、と思う。平日に一生懸命働いて体調を崩して、休日に寝てるなんておかしいんじゃないかと。

今週を乗り切れば楽になるはず! と思いながら頑張った。でも、結局乗り切れなかった。仕事に穴は開けなかったけど、休日の予定に穴を開けてしまった。これはよくない。

日曜日の朝、自分の咳で目が覚めた。薬のおかげで眠れたけど、寝起きの咳は隣室にいる家族を心配させる。「大丈夫?」と妻からLINEが入った。文明の利器に感謝する。離れていても心は近い、そんなキャッチコピーを思い出してしまう。子ども部屋に緊急避難している妻にメッセージを送った。

いつも思うけど、LINEのリアクションボタンは秀逸だ。選択肢が少ない分、気持ちがダイレクトに伝わる。朝は咳がひどかったが、昼には落ち着いた。薬が効いている実感がある、昨日寝落ちしたNetflixを見る元気も出てきた。明日は、もっと元気になってるといいな。連休最終日、別々の部屋から同じ番組をリアタイして、LINEでメッセを送り合うのも楽しい気がする。そんな連休の過ごし方も悪くない。



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