見出し画像

ウェブ会議ツールでリモート習い事&1人でもマルチカム撮影する方法 〜一斉臨時休業からの自主休校で「いのちだいじに作戦」を選んだ家族の自宅学習ノウハウ〜

2020年4月16日に緊急事態宣言が全国へ拡大されました。様々な活動をオンライン化していく中、ピアノレッスンもオンライン化できたので、その方法を共有します。

この記事は有料マガジン内で公開されています。

自宅学習が必要となった方々に向けて、自分たちのノウハウをまとめています。今だけの取り組みではなく、学校復帰がスムーズになること、今後も続けられることを大切にしています。

以下の記事は、休校で学習環境が変わってしまった中で、どういう風に自宅学習を進めてきたか1ヶ月間の記録をまとめたものです。

インターネット回線、スタディサプリやGoodNotesといった環境構築に必要なものに、どれぐらい費用がかかるかなども記載しております。

他にもスケジュールを自分で立て、1日を振り返るところまで自力でできるようになった様子や、ノートPCとタブレットを使ったオンライン学習の方法もマガジン内で公開しています。

実例集のようになっているので、ご自身の家庭環境に落とし込むヒントを探している方に特におすすめです。

以下からは、無料記事の内容を前提に記載されております。

・インターネット回線(固定)がある
・PC、タブレット、スマートフォンなどの端末がある

***

すべての習い事はオンライン化できる?

学校が休業となって、オンライン学習をどうするか悩まれているケースが多くなっています。

学習塾や習い事も同様で、なんとか対応するにもそれぞれ環境を整えるには条件があるはずです。

基本的に多くの習い事はオンライン化できますが、条件を整理しておく必要があります。内容によって向き不向きがあるため、指導者と学習者の環境でどうすり合わせるかが重要です。

必須の条件
・指導者と学習者、両方にインターネット回線がある
・指導者と学習者、両方にスマートフォンやタブレットがある

オンライン化させやすい条件
・マンツーマン
・学習者が自宅でも準備可能な教材や道具を使用している

オンライン化が難しい(工夫が必要な)条件
・指導者1人に対して、学習者が大勢いる
・教材または道具や環境で個人が準備困難なものを使用している
・複数人数でズレなく協調する必要がある

***

ピアノのレッスンはオンライン化させやすい方

必須の条件となるインターネット回線は、スマートフォン利用者が多数いる現状ではほぼクリアできると思います。

利用するウェブ会議ツールによりますが、学校の授業と違って週1〜2回のレッスンで1コマが約30〜60分となると、主要キャリアが提供している利用プランで多くの場合は通信容量内に収まります。

ピアノのレッスンであれば、対面であっても手元を見て指導する時間が多いでしょう。手元をカメラに映しておいて、後は指導者の声とピアノの音が聞こえれば十分と言えます。

今回は、対面の指導+手元を撮影という贅沢な方法をとっています。マルチカムといって複数のカメラで撮影する方法ですが、ウェブ会議ツールで複数人数が参加できる点を活用しています。

***

おすすめのウェブ会議ツールは「Cisco Webex Meetings」

ウェブ会議ツールで「Zoom(ズーム)」を耳にする機会が増えていると思います。

ウェブ会議ツールの中では、操作に関する表示も日本語化されており、PCやタブレット・スマートフォンなど端末を利用できること、参加するだけならログインや専用アプリも必要ないというハードルの低さが特徴です。

2020年4月24日時点ではセキュリティ面に課題が多いため、世界的に不採用や代替という流れが続いています。それらの課題に対応すべく急ピッチで開発が進んでおり、5.0というバージョンから大きく改善される予定です。

今後のアップデートに期待ですが、Whereby(ウェアバイ)というツールもあって、こちらは無料プランでウェブ会議の様子をYoutube配信できる特徴があります。Zoomで課題だったセキュリティ面もクリアされています。参加だけならログインと専用アプリ不要は同じです。

無料プランだと同時接続が4人までなのと、操作に関する表示はすべて英語というので広くはおすすめしにくいところです。

他にもウェブ会議ツールはたくさんありますが、個人・組織でも利用しつつ使いやすさと安全性を確保となると、古川家では「Cisco Webex Meetings(シスコ・ウェブエクス・ミーティングス)」をお勧めしています。

***

利用時間の条件が選択の分かれ目

Cisco Webex Meetings(以下、Cisco)とZoomの利用プランを比較すると、そこまで大きな違いはありません。

複数人数で利用できる時間に違いがあって、Ciscoの方が優秀です。

1つの会議でグループ利用できる時間は、Cisco 24時間・Zoom 40分(マンツーマンは無制限)
・1つの会議に参加できる人数は、Cisco 100人・Zoom 100人
・会議の回数は、Cisco 無制限・Zoom 無制限

メッセージやファイルの送信、ホワイトボードや画面共有など、共同作業に必要な機能はどちらも十分に備わっています。

マルチカムでのオンラインレッスンをするにあたり、この点がCiscoをおすすめする最大の理由になっています。

***

導入のハードルを下げる公式ガイドの充実もCiscoの強み

「Cisco Webex Meetings ガイド」とGoogle検索すると、公式が用意した各種ガイドを入手できます。

他のウェブ会議ツールもQ&Aは用意されておりますし、個人レビューなどもたくさん出ています。

ですが、これだけ公式で揃えられているあたり、やはり大手はすごいですね・・・そして、まさかの書籍型まで。印刷して配布するにも非常に好都合です。

できる Webex Meetings(書籍型)
Webex Meetings 導入促進ガイド
Webex Meetings の会議マニュアル

セットアップや基本的な利用方法を確認できたら、「Webex Meetings の会議マニュアル」から、様々なガイドにアクセスできるので読んでみることをお勧めします。

関連資料として置いてありますが、特に重要なのは「Webexを安全に利用するためのガイドです。

主催者向けのベストプラクティス、管理者向けのベストプラクティス、セキュリティ対策について記載されています。

会議ツールを安全に使用するための設定方法、会議室ロックやパスワードの設定方法の他、不明な参加者を退出させるなど、実際の運用で必要なことが書かれています。

セキュリティ面がどうなっているかも解説されているので、導入の提案時にも心強いですね。これらの充実っぷりは、ウェブ会議ツールを提供している中では群を抜いています。

***

マルチカムでピアノのオンラインレッスン準備

古川家では、PCとスマートフォンを利用してマルチカム環境を構築しています。PCはiPadなどのタブレットにしても問題ありません。スマートフォン2台でもOKです。

2枚目の写真が現在のバージョンで、これが基本になっています。どちらも顔や演奏の様子はPCのカメラで撮影しています。手元撮影がiPhoneで、会話とピアノの音は外付けマイクで拾っています。

画像1

画像2

会議主催者は、Ciscoへの登録とアプリのインストールをしておきます。現在、古川家はPCとスマートフォン、指導者はタブレットとスマートフォンをそれぞれ2台ずつ用意しています。

会話用と手元用で分けての運用ですね。

スマートフォンやタブレットは万能ツール

動画の撮影や配信というと、高機能なカメラやマイクなど機材をたくさん用意しないといけないのでは?というイメージを持っているかもしれません。

実際はというと、現在のスマートフォンやタブレットでここ数年のモデルはカメラもマイクも非常に高性能で、動画編集や配信まですべて完結できる処理速度も持っています。

小型でありながら、バッテリーも長持ちして、常時インターネットに繋がってと全ての機能が1つの端末に収められているのです。多くの場合、これで十分です。

大きな会場で大画面と大音量で映像と音を伝えなければいけない等、高い品質が求められる特殊なケースでなければスマートフォン1台でOKです。

画面が大きくないと困る場合、外部ディスプレイを利用するという方法もありますので、まずはスマートフォンやタブレット1台で完結できるかという始め方がハードルも低いですね。

マルチカム環境の場合、おそらく人の動きは限定されて、何かをしている様子を固定の視点で撮影しつつコミュニケーションをとるという状況が想定されます。

そういった状況で役立つ、アイテムをいくつか紹介します。古川家で実際に使用しているものです。

あると便利な機材 その1 三脚とスマートフォンホルダー

カメラには撮影視点の高さや角度を変えられる三脚を用意しておくことをお勧めします。置き方によっては不要ですが、安定しますし角度調整できたりと便利です。

機材は上を望めばキリがありません。古川家の場合、他の撮影でも使用するためデジタル一眼レフでも使える機材にしています。

スマートフォンをカメラとする場合は、もっと安いもので十分です。

こちらは、スマートフォンホルダーと呼ばれるものです。中にバネが入っていて、手で広げながらスマートフォンをはめて固定することができます。

スマートフォンサイズも様々ですが、これで多くのサイズに対応しつつ固定できる便利なアイテムです。

各所に穴があり、三脚などカメラ機材に取り付けて使用できます。このアイテムのいいところは、背面に収納型スタンドがついていて、自立させることができます。

程よい角度なので撮影結果を見ることもできますが、設置場所を工夫すれば、少し見下ろした角度での撮影も可能です。

三脚と雲台(うんだい)が別々になったものを使用していますが、一般的には一体型が安価で手に入ります。古川家では商品撮影などにも耐えられるよう、自由な角度や高さで撮影するために、このタイプの三脚を使用しています。

ピアノレッスンでは、手元の撮影で鍵盤の端から端まで入れたいので、ある程度の高さが必要になります。我が家はちょうど高さを出せる場所がなかったので、三脚を設置しています。

ミニ三脚と呼ばれるもので、これは卓上などに省スペースで設置できる点が魅力です。こう見えて、デジタル一眼レフすら支えてくれるので、安定感がすばらしいです。

現在はカメラ2台体制としていますが、最初は真上からの撮影も含めて3台を使用した際に使っていました。

この手のタイプを購入する際に気をつけなければいけないのが、高さと角度をどのぐらい調整できるかです。通常の三脚は安価なものでも、高さと角度はかなり調整がききます。

小型のものは、高さが取りづらかったりと万能な使い勝手をすべてには期待できません。卓上で低い視点の撮影を手軽にしたい、というケースでは重宝します。

あると便利な機材 その2 外付けマイク

スマートフォンやタブレット1台で完結するにあたって、注意が必要なのは音声です。

カメラとして構えた場所、縦にするか横にするかでスピーカーの位置が変わってきます。スマートフォンで電話をする時、縦に持って耳を当てれば、自然と口の高さにマイクが来るようになっています。

つまり、横向きにして撮影している場合、マイクの位置が左右どちらかになるため、マイク側が壁になっていたりすると音声を拾えません。

また、カメラもiPhoneだと四隅の角に設置されていますから、横向きの撮影でマイク位置ばかりを気にしていると、カメラの高さが変わる(本体の横幅に依存)ため撮影角度も注意しなくてはなりません。

その際に、マイクを外付けにしておくと位置を調整しやすいだけでなく、音も拾いやすくなります。

最初は外付けマイクなしだったのですが、ピアノに向かう時と指導者に話しかける時で顔の向きが変わったりしますので、それに対応しつつピアノの音声も拾うには外付けマイクが良いという結論になりました。

マイクによっても、ステレオかモノラルか、指向性が(音を拾いやすい方向のこと)とか知識が必要になります。

ただ、そこまでしなくてもスマートフォンのマイクは高性能なので、広く音を拾ってくれますし、音質も十分です。屋外で撮影となると注意点が増えますが、室内で困ることはそうありません。

あると便利な機材 その3 外部ディスプレイ

大きな画面が欲しいケースもあります。HDMIという接続方式が可能なテレビが大半ですので、変換アダプタさえあればテレビにスマートフォンやタブレットの画面をテレビに表示させることも可能です。

テレビが置けない場所だったり、省スペースが望ましい場合は「モバイルモニター」というジャンルで探してみることをおすすめします。

値段はそれなりにしますが、持ち運びと設置が非常に簡単で画面サイズもそれなりに大きく取れます。今は4K対応もあったりと高性能化していますので一考の余地があります。

***

撮影機材の位置を決めていく

まずウェブ会議ツールでやりとりが必要な内容をリストアップしていきます。

・自分が演奏するピアノの音
・自分の顔(姿)
・自分の声
・自分の手元
・相手が演奏するピアノの音
・相手の顔(姿)
・相手の声
・相手の手元

ピアノレッスンの場合、お互いに届けなくてはいけない情報が同じです。ピアノという機材の準備は大変ですが、これさえクリアできればマンツーマン指導なら用意するものは同じで良いという強みが出ます。

学習者はPCとiPhone、指導者はiPadとiPhone、それぞれマルチカム環境を用意できたのも大きかったなと。

次に、それぞれ伝える内容をどの機材で対応するかを確認します。例えば、iPhoneとiPadを使うと以下のようになります。

ここから先は

4,101字 / 20画像

小学生の娘と、自宅学習できるように試してきたこと、その記録を共有します。学習サービスはスタディサプリ、授業ノートは iPad + Good…

この記事が参加している募集

おうち時間を工夫で楽しく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?