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法制審議会家族法制部会第36回会議議事録読む9~池田委員・北村幹事・石綿幹事・原田委員・佐野幹事・久保野幹事・赤石委員

ついに、メディアに登場する実子誘拐問題

タイムラグが起きているけど仕方がない

不思議なポストも登場してきた

違法な助言は淘汰されないとね

ニーズをキャッチしていって

もう次の世界を実践的に開拓していかないと

議事録読みひとくぎり

○池田委員 

池田でございます。法定養育費について1点、確認させていただければと思います。
 法定養育費の終期について、この要綱案では子が成年に達したときというのが一つ挙げられています。これは、通常の養育費は成年年齢の18歳ではなく、実務上、20歳までという決め方をされていることが一般的だと思いますが、その実務に影響があるのではないかと懸念する声が相当数あるところです。そのため、1点確認させていただきたいのですが、これは、法定養育費については飽くまで法定債権なので、始期あるいは終期をはっきりと決めなければいけないという趣旨で成年というところで線を引いたけれども、必ずしも通常の養育費について何か影響を与えることを意図して定められたものでないという理解でよろしいでしょうか。

話変わってお金のこと

○北村幹事

 事務当局でございます。今の御指摘はそのとおりでして、飽くまでも法定養育費というのは法定債権なので、どこかで終期を決めなくてはいけない、他方、従前、成年年齢の引下げの際に議論がありましたように、養育費をいつまで払うのか、従前取り決めたもの、あるいは未成熟子の間、それはお互いに合意して支払う義務があるのだといったような解釈に特に影響を与えるという議論はしていなかったと思いますし、この部会でも従前の養育費の定めであるとか、そこの解釈には影響を与えないという前提で御議論いただいていたものと理解しております。
○池田委員 ありがとうございました。

ま、18歳で扶養はずれることもあるけどね

○石綿幹事

幹事の石綿です。すみません、手短に4点ございます。
 まず1点目が、第2の1(1)ウの急迫の事情についてです。DV、虐待からの避難について議論があったところでございますが、この点について前回、幾つかの例が示されて、それはどうなるのかという御意見があったかと思います。個人的な解釈、意見といたしましては、DVや虐待というのは殴られた瞬間が急迫だということではなく、被害も反復、継続して生じておりますし、被害者の心理的、恐怖的な負担というのも継続しているということを考えますと、一旦DVの被害が生じたのであれば、その後も急迫の事情が継続していると解するというのが解釈として妥当なのではないかと思いますので、前回幾つか示されたような事案というのは、この要件でも親権の単独行使が認められ得る場合に該当する場合があるのではないかというのが1点目です。
 それから2点目、監護者指定の変更について、先ほど赤石委員と北村幹事の間で議論があった点ですが、監護者指定をしなかったけれども、後々したいと思った場合というのが、赤石委員は第2の(1)キに当たるかという御提案だったと思います。これは私も分からないのですが、監護者を指定していなかったことを指定することに変更するというのは、親権者の変更に似ているのではないかということで、2(1)クとの類似性を考えるという可能性もあるのかなと思いました。いずれにいたしましても問題として生じる得る話だと思いますので、監護者指定をしていなかったことからするというのが、どういう性質になるかというのを御整理いただけるといいのかなと思いました。
 それから3点目、法定養育費の終期の点で、第3の2(1)エ、監護者を主として行わなくなったときという点は、これは前回、沖野委員の御発言が非常に説得的だったと感じておりまして、あえて記載する必要は必ずしもないのではないかと考えております。
 最後、4点目、第5の養子縁組について、仮に現状の御提案の2(1)の【P】とされているものが明文で規定をされていくということになるのであれば、部会資料35-2の第5の2の補足説明1(5)にあるように、監護者指定がされている場合についてもやはり平仄をとる必要があるかと思いますので、補足説明で御提案されているような内容、同意に代わる審判という手続を新たに設けていただくのがよろしいかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事からは、4点につきまして解釈ないし整理の御要望を頂いたと承りました。先ほど赤石委員が問題にされた点をどこで処理するのかということについて、明らかにしておく必要があるのではないかといった御指摘もあったかと思います。ありがとうございます。

結局、実務の現場で解釈をめぐって議論は続くわけよね

○原田委員

 委員の原田です。私はしつこく急迫のことについて、なぜ急迫にこだわるのかということについて、前回どなたも発言がなかったので、今日もう一度言おうと思ったのですけれども、今、石綿幹事がおっしゃっていただきました。もう少し突っ込んでいくと、民法の条文の中で急迫という言葉が使われているものが七つあって、そことの整合性でも、これは先ほどおっしゃったように考えられるのだといえるのかどうかということを民法の先生方に伺いたいと思います。
 例えば、塀を越えて伸びてきた枝を切るときに急迫という場合は、例えば台風が近付いてくるということがあるという場合に、切っていいとなるのですけれども、台風の予報が出ていないときでも、いつでも大風が吹けば壊れるかもしれないとか、いつ何が起こるか分からないという状態は続いているではないかといえば、これも急迫になるのか。これは、言われていた、一度暴力があれば、その後いつ起こるか分からないという状態が続いているではないかということと違うと考えられるのか、整合性という意味で、この急迫から先ほど石綿幹事が言われたようなことが一般的にいえるのかどうかという点についての解釈を伺いたいと思います。
○大村部会長 急迫について、原田委員は、急迫には反対だという御意見で、今、質問されているという理解でよろしいでしょうか。

基本は、勝手に転居はやめようっていうそれだけ

○原田委員

 そうですね、今までも、協議や裁判所の決定を待っていては子に害悪を及ぼすおそれがあるという、ここの解釈でいっているのだったら、そう書けばいいではないかということを言っていましたけれども、皆さんが急迫にこだわっていらっしゃるので、何で急迫にこだわるのかということを前回言わせていただいたのですけれども、前回はそれについてのお話がなかったので、今回もう一度お伺いしたいということで。
○大村部会長 石綿幹事の先ほどの御発言は、現行法の下で使われている急迫という文言の中でも解釈できるのではないかという御趣旨だったと思って伺いました。他の場面での急迫というものについて個別に、この場合の急迫の範囲はどこまでかということをここで議論するということは必須なわけではないと思いますけれども、整合性について何か石綿幹事の方から補足の発言があれば、もしあれば伺いたいと思います。特になければ、今のような整理にうなろうかと思います。
○石綿幹事
 私の方は、数回前に沖野委員が多分、急迫性のところを整合的に御説明してくださっているところに全面的に賛成していると、その解釈によっているというところです。
○大村部会長 ありがとうございます。そこについては御意見が分かれていると認識しておりますので、原田委員の御意見は御意見として、改めて伺っておきたいと思います。

急迫のところだけで棄権したのかしら

○佐野幹事

 幹事の佐野です。別に新しい意見というわけではなくて、前回申し上げた点、余り整理せずに発言してしまったために、再度申し上げるという趣旨でございます。
 前回、第2の2(1)のところの親権者変更については子の申立権が認められているにもかかわらず、第2の1(3)の特定事項に係る親権行使とか第2の3との関連で第766条の修正の部分は子の申立権が認められていないという点について、整合性がどうなのかという点を申し上げました。
 改めて、前段で議論がありましたように、子の自己に関する決定への主体的参加という点から、ここの部分についても、親権者変更のみならず子の申立権というのをきちんと入れるべきではないかという意見を申し上げます。また、加えて第4の親子交流に関しても、親子交流するかしないかというところだけではなくて、方法の変更についてこどもが意見を述べたい、申立てをしたいという場合もありますので、ここについても改めて整理すべきではないかという意見です。
○大村部会長 ありがとうございます。子の申立権について、前にされた発言を補うという趣旨の御発言として承りました。

子どもが共同親権にしたいって言ったら、親は従うよね

○久保野幹事

 幹事の久保野です。先ほどの急迫の事情の解釈について、DVの特性を考えたときにどうかということについてなのですが、原田委員に球をお返しするような性格の発言になってしまうのですけれども、DVの特性というものをどう捉えるのかということを、最終的には個別の事案の具体的な事情によるという補足説明に書いてあることは大前提ですけれども、その上で、先ほどの例でいったときに、DVの事案というのは、台風が来たときと、予報は出ていないけれども台風は抽象的にはいつでも来るかもしれないというのと対応するものとして捉えることができるような状況なのかということが問われているのではないかと受け止めております。
 どういうことかといいますと、以前に同趣旨のことを不十分ながらも発言したつもりではおるのですけれども、DVの事案というのは、支配関係に基づいて日常生活に規制が加えられていたり、威圧関係が継続しているという状態と捉えるということなのかなと思って、原田委員などの御発言を伺っておりました。別の言葉でいいますと、殴るとか何かの具体的な行為があったときだけがDVがあったということではないという、そのような特性があるのだということが議論されていたのかなと思うわけです。そうしますと日々、日常生活で続いている危機的な状況を踏まえると、いわば台風の予報が継続して出ている状態に似ているともいえ、殴られたといったような具体的な行動の直後、それに近接したときのみ急迫の事情があると評価されるわけではないという可能性が十分にあり得るということかなと思っております。沖野委員の御発言とのつながりというのが私の中できちんと整理できておりませんでして、今それと重なっていることを申し上げているかもしれませんけれども、改めてDVの特性として私が理解しているところと先ほどの御質問を踏まえて、思ったところを述べさせていただきました。
○大村部会長 ありがとうございます。石綿幹事の先ほどの発言、それから原田委員の発言と関わる補足的な発言として承りました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 原田委員、もう一回手を挙げていらっしゃる。どうぞ。

やはり、個別のコマンドが大事

○原田委員

 また返してしまって申し訳ないのですけれども、台風に限らず、災害はいつやってくるか分からないわけで、そういう意味で、民法の中で使われている急迫ということとの整合性の問題を私は取り上げたつもりでした。そこまでで結構です。お二人の発言で、DVの性格についてそこまで言っていただいて、それが記録に残るということになれば、いいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。整合性というときには、どのレベルで考えるのかということが、議論されている方の間で必ずしも共有されていないのかなと思いましたけれども、実質的な問題として今、原田委員がおっしゃったように、急迫でDVの問題などについてカバーできるのではないかという御意見を二人の方からいただいたという形で受け止めさせていただきます。
 そのほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

沖縄か瀬戸内海かで台風への備えも違ってくるだろうに

○赤石委員

 赤石でございます。皆さんの御意見がなかったので、それほど圧迫しない、ほかの発言の時間を取らないのかなと思って、もう一度発言させていただきます。
 先ほど伊丹の事件のことを申し上げたのですけれども、これを法務省さんは特殊な事例であるという御回答をされたということでよろしいのでしょうか。その認識を伺いたいと思いました。

伊丹の事件以上に多いのがシングルマザーの事件

○北村幹事

 一般論として申し上げれば、取材には適切にお答えしているとは思いますが、この取材を受けたかどうかも含めて、個別のお話はお答えできません。ただ、この部会の中で、お子さんの安心・安全が親子交流にとっても大事なことだということは各委員、幹事の皆様が共有されて議論されてきたものと理解してございます。
○大村部会長 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
○赤石委員 ありがとうございます。少し追加で申し上げてもよろしいでしょうか。こういった場合にどうやって防げたのかということは、私どもに課せられている課題であると思います。御努力いただいて、DVについては共同親権にならないような規定もある程度盛り込まれたとは思っているのですが、しかし、親子交流等の場合にこの事例をどう防げるのかというのは、私はまだ不十分であると思っておりますし、特殊な事例ではなく、昨年も有名な棋士が、将棋の方ですかね、くわでしたか、を持って、元妻と元妻の御家族がいる家に乗り込んでしまったというような事件、ほかにも報道されないけれども命の危険があるような事件というのが起こっていることを踏まえた法整備というのが必要であるということを申し上げたいと思いますし、DVから逃れてきた方たちのケアとともに、お子さんと別れて暮らさざるを得ないことになった方たちへのケアというのも、それは妻がやるべきではないと思いますけれども、公的には必要であるというふうなことになるかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。改めての御懸念と、最後の点は先ほど御議論を頂いた附帯決議とも関わってくることとして伺いました。
 ほかはよろしいでしょうか。

共同親権を求めていない、諦めた人こそ怖いと思うのだけど

○原田委員 

 これは最終的には条文の形で提案されるのでしょうか。それとも、この部会の中ではこの案の程度なのでしょうか。というのが、先ほどの、親権は共同で行うというところを、この形だと離婚後も婚姻中も共同で行うと読めてしまって、離婚後も共同が原則であるように読めてしまうのですけれども、今のように第818条第3項は婚姻中にして、第2の離婚後の親権者の定めと親権者の行使で、共同になったときは1の例による、みたいな書き方をすれば誤解を生じるおそれがないのではないかと考えまして、最終的に総会に提案されるときはどのような形で提案されるのかということを伺いたいと思いました。
○大村部会長 ありがとうございます。先ほどの戒能委員の御発言と共通の御発言なのだろうと思います。これは、要綱案の取りまとめがどうなるかということと、それから法案の作成がどうなるのかということについて、事務当局の方から、これまでにも説明されているかと思いますけれども、改めて確認をしていただけますか。

これが、非婚差別を残すことになるとは。。。
新民法818条2項 婚姻中双方親権の原則

○北村幹事

 先ほど来申し上げていますように、この部会においては要綱案というものをおまとめいただく、実質的な改正の内容というものを要綱案としておまとめいただいて、法制審議会の総会で御議論いただく、そして、法務大臣に答申いただいた後は、それを踏まえて今度、条文案の中に落としていく作業になりますけれども、その場合には各条文の整合性であるとか民法全体の整合性、他の法令との関係等も踏まえながら、法制的な観点も考慮に入れて条文化作業を行っていくということになろうかと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。ということで、基本的には具体的な条文化の作業というのは法制審の部会の作業の外にあると理解をしております。今の話の繰り返しなのですけれども、ここで要綱案として取りまとめたものが要綱として答申される、それを踏まえて法技術的な条文化が図られる、こういうことだろうと思います。そういうことですね。
 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。
 それでは、本日は第1につきまして御意見を頂き、その後、附帯決議についての御提案について御意見を頂きました。そして最後に、第2から第7に戻って追加的な御発言を頂きました。今日も出ましたけれども、第2から第7までについて、いろいろな御意見を頂いておりますが、一つは急迫の事情という部分ですね、第2の1(1)ウについて、表現について賛否両論があると理解しております。実質について皆さんの間にそれほど大きな差があるとは思っていないのですが、この表現ぶりがいいかどうかということについて御意見が分かれている。それから、監護者必置とするかどうかというところについても御意見の分かれがある。その他、幾つかの点について個別の問題については御意見が分かれているところがあると理解をしております。残る問題については、細部については様々な御意見がありますけれども、皆さんの方向性は、個別の点についてはおおむね収束しつつあるのではないかと思っております。そんなふうに今日のところは取りまとめさせていただきたいと思います。
 そこで、今日はここまでということにさせていただいて、前回の会議と本日の会議で頂いた御意見を踏まえて、事務当局には資料の再整理をしていただき、あわせて、先ほどの附帯決議についても事務当局の方で改めて精査をして、資料として整理をしていただきたいと考えております。それでよろしいでしょうか。
 では、そういう作業をお願いするということで、次回のスケジュール等について事務当局の方から御説明をお願いしたいと思います。
○北村幹事
 次回の会議ですけれども、1月30日火曜日、午後1時30分から午後5時30分まで開催したいと思います。場所は改めて御連絡いたします。
 次回の会議には今、部会長におまとめいただいたような形で準備の方をさせていただきたいと思っておりますが、部会資料35-1について御議論いただいたことを踏まえて、この部会としての一定の結論を取りまとめるところまでお願いしたいと考えているところでございます。
○大村部会長 ありがとうございます。次回、今御案内があったように、1月30日火曜日の午後1時30分からということでお願いを申し上げます。直前の御発言にありましたけれども、議論の状況を見定めた上で取りまとめをするということを念頭に置きつつ審議を進めていまいりたいと思っております。
 それでは、これで法制審議会家族法制部会の第36回会議を閉会させていただきたいと思います。
 本日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。これで閉会を致します。
-了-

条文化作業後に見えるものもあるね


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