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法制審議会家族法制部会第7回議事録5~窪田委員・赤石委員・戒能委員

国賠期日からの合宿を終え、すっかりリフレッシュして帰ってきた
合宿の様子はこちらから


noteの機能が改善して、新しい様式(ベータ版)で作成中・・・慣れない

いろいろとやりやすくはなっているはずー
合宿の振り返りもあたためつつ、議事録を読み進めていくー

合宿では、パートナーズカフェ開催へと展開し、5月頃にまた松本へ、ってことになった!!

それだけ楽しく、そして、松本がよい街だったということ

夢が膨らんでいく~

さて、議事録

○大村部会長 それでは,時間になりましたので再開したいと思います。
 休憩前に窪田委員と赤石委員から挙手がございましたので,この順番で御発言を頂ければと思います。

○窪田委員

 2点発言させていただきたいと思います。
 1点は,先ほどの棚村先生の御発言と重なるかとは思いますが,15ページ,重要決定事項,日常的決定事項,随時決定事項という形で,これは,基本的には重要性という観点から分けられているのかなと思いますが,先ほど棚村先生から御指摘があったように,別の基軸として,迅速性の必要性というのがあるのだろうと思います。もちろん,両者が重なる場面というのもありますが,取り分け深刻なのが,16ページに挙がっておりますのが,重要的決定事項とした上で,③の生命又は身体に重要な影響を与える医療行為といったものについては,ゆっくり判断することができる場合もありますが,すぐに判断しなければいけないという場合もあるだろうと思います。そうした場合に,どちらを原則にするかということはあんまり重要ではないのかもしれませんが,この枠組みでいった場合には,一方で迅速性が求められる場合のサブルールというものをきちんと,あらかじめ立てておく必要があるのだろうという気がいたします。それが第1点です。
 第2点目ですが,ちょっと質問自体が非常に漠然としたものになってしまうのかもしれませんし,質問ではないのかもしれませんが,重要的決定事項として挙げられていること,抽象的に子の養育について特に重要な事項であって,可能であれば双方が決定に関与することが望ましいという,抽象的なものは分かります。そして,16ページの上の方,①から⑥に挙げられているものもそうかなという感じもいたします。ただ,少し考えてみるとよく分からないのが,これらについて双方が関与するということは,一体どういう意味を持っているのだろうかということが,必ずしも明確ではないのではないかということです。
 この点,少し分かりにくいかもしれませんし,古い話を持ち出してしまうことになるのかもしれませんが,虐待対応との関係で,親権を制限するということについて,以前法制審議会が開かれたときに,そのうちの医療ネグレクトに関して,親の同意に代わる裁判所等の決定といったようなことが,アイデアとしてはありました,諸外国の制度の中にもそういうものがあります。ただ,それが最終的に採用されなかったのは,親の同意というものが法定代理権の行使なのかどうなのかよく分からない,医療行為における親の同意,親族の同意というものについて,位置付けがよく分からないということで最終的に見送られたと記憶しております。そうだとすると,ここである①番から⑥番というもののうち,例えば,⑤番の進学とか入学ということであれば,これは恐らく法定代理人としての同意ということで,比較的容易に説明が付くと思うのですが,例えば,④番の宗教の選択であるとか,先ほど言った医療における同意といったものは,そもそも法定代理人の権限の中のものなのか,あるいは親権者の親権の内容に含まれているのかどうかということも含めて,明確にしておく必要があるのかなという気はします。
 もちろん,この部会においては,親権というものをどういうふうに構成するかということも検討対象になっておりますので,それに併せて一緒に扱えばいいということではありますが,この①番から⑥番の中には,少なくとも従来の一般的な説明からすると,かなり性格の違っているものが含まれており,そこで両親の協議が成立したとしても,それが一体どういう意味を持つのかというのは,ひょっとするとかなり違いがあるのかという点も意識しておく必要があると思いました。
 以上2点です。
○大村部会長 ありがとうございます。具体的な議論のための整理に当たっての御注意を頂いたと理解をいたしました。一つは,先ほど棚村委員からも出ましたけれども,迅速性が必要な場合というのがある。医療行為は重大な行為であると位置付けられるけれども,迅速性が必要であるということも生ずるので,その間の関係をどうするのかといったようなことについては,十分に考えておく必要があるだろう。それから,その医療行為,あるいは宗教の問題というのは,従来は必ずしも親権ないし法定代理権の対象になるとは考えられてこなかったので,双方関与と言う場合に,何について関与することになるかという点につき,少なくとも対象の性質を仕分けて,意識した上で議論する必要があるのではないか。こういう2点の御指摘を頂きました。いずれも重要な点だと思いますので,注意する必要があろうかと思います。ありがとうございました。

○赤石委員 

しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。どうぞよろしくお願いします。
 私,とても素朴なことを言ってしまうと思うんですが,この辺りで言っておかないと,何かこのまま進んでしまうのかなと思って申し上げます。
 双方責任があって,重要事項などは双方の合意で進めていくのが,子の利益になるだろうというようなことで議論が今,されているんですけれども,ならない場合もあるよねという話は,その前のところに書いてはございます。このような内容でいろいろな項目を,例えば離婚時に示されて,こういうことが双方責任の中身ですよといって,あなたはこれで双方責任を合意しますかと聞かれたときに,私も多分,当事者の方にこれから御説明するとしたら,皆さん,それ何っていう,全然,そんな面倒くさいことをするんですかみたいな議論になるだろうなとは思うわけです。進学とか,どこに住むかとか,そういう重要な事項は双方の合意が必要であるとか,そういう話をしたときに,それで一体私たちの生活よくなるのっていうことになるわけでございます。
 それで,去年,500人の方にアンケートを取ったときには,2人で子どもを育ててきて,離婚に至ったけれども,全然離婚後父親の方が,うちはしんぐるまざあず・ふぉーらむですから,父親の方が責任を持ってくれないのをとても理不尽に思うから,責任を持ってほしいというような議論は当然ありました。でも,これは,ほとんどが養育費に関してものなんですね。一緒に学校に行くのを決めたいって,たまには,先ほど言ったように不登校になって悩んでいるとか,そういうときに何かサポートが欲しい,ほかの周りのサポートが欲しいということはあるかもしれないんですけれども,すごく机上の空論のように思えてきます。
 そうなりますと,何が起こるかというと,法改正なり何なり規律が決まったとしても,一体誰が選択するのであろうかというところが,何か全然イメージが湧かなくて,皆さんはこの法制審議会で子どもの貧困も問題になっているし,何とかして子どもの幸せというのを考えましょうということで,やはり双方が責任持つと,子どもにいいことあるよねという,何かお花畑のようなものを考えられているのかなと思うんですけれども,何か全然フィットしていないですということを,一応申し上げておきます。
 もうちょっと各論にいうと,重要事項を決めるということは,日々の子どもたちの状況を見て,この子はやはりこういう細かいことが好きなんだよねみたいなことを,どこかで分かったりして,手先が器用だからこういうのかなとか,この子何かこういうのに興味があるよねというので,だんだん重要事項が決まっていくのでございます。だから,重要事項だけが決められるわけではないんです。ただ,双方責任だから,相手にも情報提供しておいたら,関与して参加型でいいんではないかと,それは一応あるとは思うんですけれども,そのようなコミュニケーションが成り立つか成り立たないかもちょっと分からないし,では,情報提供を日常的にすることがどれだけ面倒くさいことなのか,情報提供する側にとってですね,というようなこともございます。
 そんなことを考えてくると,本当に素朴な議論で申し訳ないんですけれども,私は当事者にこれを御説明するのはとても苦痛でございまして,真っ暗な気持ちになっております。
○大村部会長 ありがとうございます。
 戒能委員と,それから大石委員から手が上がって,池田委員からも挙がりましたが,ちょっとお待ちいただいて,お名前を挙げた順番で御発言を頂こうと思います。
 その前に,今の赤石委員の御発言ですけれども,双方責任の内容,先ほど細かく分けて検討すべきだという御意見が出ていたわけですけれども,そのことと,出来上がりの制度をどうするのかということとはまた別のことなのかなと思って,今の御発言を伺っておりました。出来上がった制度は非常に細かいものであるということになると,赤石委員御指摘のように,どうしていいか分からないといったことが出てくるのではないかと思います。

○赤石委員

先生,細かくなくても,やはりこれは,かなり厳しいものでございます。
○大村部会長 そのことをまた,今から申し上げます。  もうひとつ,赤石委員がおっしゃったのは,こうしたものができたとして,誰が選択するのだろうか,メリットを感じる人がどれだけいるのか,あるいはデメリットを感じる人が多いのではないかということで,どのくらい需要があるのかということについての御懸念を示されたのだろうと思います。ここは評価が分かれるところであろうかと思いますけれども,注意しながら検討する必要がある問題だと思って伺いました。

○戒能委員 

ありがとうございます,戒能です。
 私は,当事者の団体でも何でもないのですが,同様の危惧を,議論を聞いていて感じております。実務家,研究者が多いわけですけれども,もちろんどういう事項があって,どういう必要性がある,それが子の利益に合致するかという判断基準から,どういうふうに決定していけばいいのかという議論は,当然必要だとは思います。有益だとは思いますが,しかし,当事者の生活,子どもと親の生活が一番大事なのではないかと思うんですよね。ですから,順序逆とは決して申しませんけれども,常に当事者の生活,赤石さんがおっしゃった日々の生活の中から,そういう問題は子どもの年齢とか状況に応じて出てくるのであって,そこでどういうふうに,誰が決めれば子の利益に本当に合致する,子どもの幸せにふさわしいものになるのかという判断が出てくるんだと思うんですね。ですから,そこを常に忘れないようにしておきたいと私も痛感しております。
 ですから,直接の当事者の,子どもが一番ではありますけれども,監護親も直接子どもを育てているわけですから,そこがすごく大事なところだと感じました。
 それから,双方決定とか双方責任というのは仮の概念だと理解しておりまして,それが直ちに法的な概念になるのではないという御説明は受けたと思うんですね。しかし,今日出てきたように,全ての当事者間の関係が,1人が提案したら,それに対してサポートをするとか,困ったときにはサポートし合うとか,そういう関係性ばかりではないかもしれないということを考える必要がある。これは第5の19ページの(注2)のところに,決められないときは裁判所の審査で,下から4行目なんですが,これを否定する,子の利益に合致しない場合があるかもしれないから,それを否定する規律を設けることも考えられると。しかし,そういう仕組みにすると,一番の最後の行なんですが,他方の親の事実上の拒否権として働いてしまうと。だから,合意とか双方責任とかいうときには,そういうことも考えておかなければならないということなんですね。常に積極的に前向きに行くばかりではないと,ノーと言う権利の後ろ盾になってしまうということも,考えの中に入れておく必要があると感じております。
○大村部会長 ありがとうございました。当事者の視点を重視すべきだということで,赤石委員と同じ方向の御意見だということがまず一つと,それから,様々な当事者がいるので,その違いということを考える必要がある。それから,双方が関与するということが,実際上どういう意味を持つのかということにも留意すべきである。こうした御意見を頂いたと理解をいたしました。
 大石委員,池田委員,それから柿本委員という順番でお願いをいたします。

https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00088.html

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