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平等論を考える~国籍法違憲判決から

憲法14条の平等論を考えている

親子のあり方をめぐる法制度を問う国賠が続く中で、必ずといっていいほど登場するのが憲法14条だし(13条も出てくるけど)、R3.3.17の同性婚に関する国賠で、違憲判断が出たというのも憲法14条だ

実際、原告の方々、同じ境遇にあって、支援をする方々にとっては、あまりにも理不尽な目に遭っているということが実際あって、あたかも不当な差別を受けていると感じることもあって、当然、平等原則違反だ、ということを直感的には思うだろう

実際、判例研究をすると、違憲判決の数は限られているものの、平等原則違反こそ違憲判断が出るという実績を重ねている(逆に、他の人権侵害については、さらに限定的といえる)

改めて、知っておきたく、国籍法違憲事件を読みたいと思う

平成20年6月4日最高裁大法廷判決
より抜粋して検討する

4 国籍法3条1項による国籍取得の区別の憲法適合性について
 所論は,上記のとおり,国籍法3条1項の規定が憲法14条1項に違反する旨をいうが,その趣旨は,国籍法3条1項の規定が,日本国民である父の非嫡出子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した者に限り日本国籍の取得を認めていることによって,同じく日本国民である父から認知された子でありながら父母が法律上の婚姻をしていない非嫡出子は,その余の同項所定の要件を満たしても日本国籍を取得することができないという区別(以下「本件区別」という。)が生じており,このことが憲法14条1項に違反する旨をいうものと解される。所論は,その上で,国籍法3条1項の規定のうち本件区別を生じさせた部分のみが違憲無効であるとし,上告人には同項のその余の規定に基づいて日本国籍の取得が認められるべきであるというものである。そこで,以下,これらの点について検討を加えることとする。

前後するが、前提となる事案も振り返ってみる

法律上の婚姻関係にない日本国民である父とフィリピン共和国籍を有する母との間に本邦において出生した上告人が,出生後父から認知されたことを理由として平成15年に法務大臣あてに国籍取得届を提出したところ,国籍取得の条件を備えておらず,日本国籍を取得していないものとされた

父日本人、母外国籍の間に生まれ子が、出生後父から認知されたが、それだけでは国籍取得ができなかった

かつて、ロースクールで学んだとき、私は、浅はかにも単純な非嫡出子差別のように考えていた

しかし、そう単純な話ではなく、非嫡出子同士でも、認知された子と、父母の婚姻により準正嫡出子となった場合に限り(婚姻と認知の順番は問わず?)国籍取得を得られるという区別が平等原則違反というものであった

大枠としては、非嫡出子差別(法律婚の尊重の反動として、婚外子を差別するもの)に括れるのかもしれないけど、法律の条文に向き合って、法の区別がどこにあるのか、を見極める必要があるのである

(1) 憲法14条1項は,法の下の平等を定めており,この規定は,事柄の性質に即応した合理的な根拠に基づくものでない限り,法的な差別的取扱いを禁止する趣旨であると解すべきことは,当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和37年(オ)第1472号同39年5月27日大法廷判決・民集18巻4号676頁,最高裁昭和45年(あ)第1310号同48年4月4日大法廷判決・刑集27巻3号265頁等)。
 憲法10条は,「日本国民たる要件は,法律でこれを定める。」と規定し,これを受けて,国籍法は,日本国籍の得喪に関する要件を規定している。憲法10条の規定は,国籍は国家の構成員としての資格であり,国籍の得喪に関する要件を定めるに当たってはそれぞれの国の歴史的事情,伝統,政治的,社会的及び経済的環境等,種々の要因を考慮する必要があることから,これをどのように定めるかについて,立法府の裁量判断にゆだねる趣旨のものであると解される。しかしながら,このようにして定められた日本国籍の取得に関する法律の要件によって生じた区別が,合理的理由のない差別的取扱いとなるときは,憲法14条1項違反の問題を生ずることはいうまでもない。すなわち,立法府に与えられた上記のような裁量権を考慮しても,なおそのような区別をすることの立法目的に合理的な根拠が認められない場合,又はその具体的な区別と上記の立法目的との間に合理的関連性が認められない場合には,当該区別は,合理的な理由のない差別として,同項に違反するものと解されることになる。

憲法14条は、法的な区別のうち、合理的な理由のない差別を禁止する

 日本国籍は,我が国の構成員としての資格であるとともに,我が国において基本的人権の保障,公的資格の付与,公的給付等を受ける上で意味を持つ重要な法的地位でもある。一方,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得するか否かということは,子にとっては自らの意思や努力によっては変えることのできない父母の身分行為に係る事柄である。したがって,このような事柄をもって日本国籍取得の要件に関して区別を生じさせることに合理的な理由があるか否かについては,慎重に検討することが必要である。

日本国籍という重要な地位を取得できるかどうか、嫡出子か否かという子にとっては変えられない事柄で、区別してよいのか、慎重に考えるべきという

(2)ア 国籍法3条の規定する届出による国籍取得の制度は,法律上の婚姻関係にない日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した子について,父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得すること(以下「準正」という。)のほか同条1項の定める一定の要件を満たした場合に限り,法務大臣への届出によって日本国籍の取得を認めるものであり,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した嫡出子が生来的に日本国籍を取得することとの均衡を図ることによって,同法の基本的な原則である血統主義を補完するものとして,昭和59年法律第45号による国籍法の改正において新たに設けられたものである。

一旦、法改正を経て、生来的嫡出子(国籍取得可)との均衡を図っていた

そして,国籍法3条1項は,日本国民である父が日本国民でない母との間の子を出生後に認知しただけでは日本国籍の取得を認めず,準正のあった場合に限り日本国籍を取得させることとしており,これによって本件区別が生じている。このような規定が設けられた主な理由は,日本国民である父が出生後に認知した子については,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得することによって,日本国民である父との生活の一体化が生じ,家族生活を通じた我が国社会との密接な結び付きが生ずることから,日本国籍の取得を認めることが相当であるという点にあるものと解される。また,上記国籍法改正の当時には,父母両系血統主義を採用する国には,自国民である父の子について認知だけでなく準正のあった場合に限り自国籍の取得を認める国が多かったことも,本件区別が合理的なものとして設けられた理由であると解される。イ 日本国民を血統上の親として出生した子であっても,日本国籍を生来的に取得しなかった場合には,その後の生活を通じて国籍国である外国との密接な結び付きを生じさせている可能性があるから,国籍法3条1項は,同法の基本的な原則である血統主義を基調としつつ,日本国民との法律上の親子関係の存在に加え我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を設けて,これらを満たす場合に限り出生後における日本国籍の取得を認めることとしたものと解される。このような目的を達成するため準正その他の要件が設けられ,これにより本件区別が生じたのであるが,本件区別を生じさせた上記の立法目的自体には,合理的な根拠があるというべきである。

認知だけでは、日本との結びつきがあるとは限らないから、区別すべきという目的には合理性があるという
目的審査だけでアウトになることは見られないが、検討することは大切

 また,国籍法3条1項の規定が設けられた当時の社会通念や社会的状況の下においては,日本国民である父と日本国民でない母との間の子について,父母が法律上の婚姻をしたことをもって日本国民である父との家族生活を通じた我が国との密接な結び付きの存在を示すものとみることには相応の理由があったものとみられ,当時の諸外国における前記のような国籍法制の傾向にかんがみても,同項の規定が認知に加えて準正を日本国籍取得の要件としたことには,上記の立法目的との間に一定の合理的関連性があったものということができる。

法改正当時の手段として、準正を条件とした区別規定自体、目的との間の合理的関連性があったことも肯定している
立法時自体は憲法に違反しなかったということである

しかし

ウ しかしながら,その後,我が国における社会的,経済的環境等の変化に伴って,夫婦共同生活の在り方を含む家族生活や親子関係に関する意識も一様ではなくなってきており,今日では,出生数に占める非嫡出子の割合が増加するなど,家族生活や親子関係の実態も変化し多様化してきている。このような社会通念及び社会的状況の変化に加えて,近年,我が国の国際化の進展に伴い国際的交流が増大することにより,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生する子が増加しているところ,両親の一方のみが日本国民である場合には,同居の有無など家族生活の実態においても,法律上の婚姻やそれを背景とした親子関係の在り方についての認識においても,両親が日本国民である場合と比べてより複雑多様な面があり,その子と我が国との結び付きの強弱を両親が法律上の婚姻をしているか否かをもって直ちに測ることはできない。これらのことを考慮すれば,日本国民である父が日本国民でない母と法律上の婚姻をしたことをもって,初めて子に日本国籍を与えるに足りるだけの我が国との密接な結び付きが認められるものとすることは,今日では必ずしも家族生活等の実態に適合するものということはできない

その後の社会変化を考慮すると、準正(婚姻)だけで区別することは不合理ということがわかる

また,諸外国においては,非嫡出子に対する法的な差別的取扱いを解消する方向にあることがうかがわれ,我が国が批准した市民的及び政治的権利に関する国際規約及び児童の権利に関する条約にも,児童が出生によっていかなる差別も受けないとする趣旨の規定が存する。さらに,国籍法3条1項の規定が設けられた後,自国民である父の非嫡出子について準正を国籍取得の要件としていた多くの国において,今日までに,認知等により自国民との父子関係の成立が認められた場合にはそれだけで自国籍の取得を認める旨の法改正が行われている

非嫡出子差別の解消、それに伴う法改正を諸外国が行っているという国際潮流

以上のような我が国を取り巻く国内的,国際的な社会的環境等の変化に照らしてみると,準正を出生後における届出による日本国籍取得の要件としておくことについて,前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだすことがもはや難しくなっているというべきである。

準正の有無という区別が、立法目的との間の合理的関連性を失っているという判断になっている

一方,国籍法は,前記のとおり,父母両系血統主義を採用し,日本国民である父又は母との法律上の親子関係があることをもって我が国との密接な結び付きがあるものとして日本国籍を付与するという立場に立って,出生の時に父又は母のいずれかが日本国民であるときには子が日本国籍を取得するものとしている(2条1号)。その結果,日本国民である父又は母の嫡出子として出生した子はもとより,日本国民である父から胎児認知された非嫡出子及び日本国民である母の非嫡出子も,生来的に日本国籍を取得することとなるところ,同じく日本国民を血統上の親として出生し,法律上の親子関係を生じた子であるにもかかわらず,日本国民である父から出生後に認知された子のうち準正により嫡出子たる身分を取得しないものに限っては,生来的に日本国籍を取得しないのみならず,同法3条1項所定の届出により日本国籍を取得することもできないことになる。このような区別の結果,日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子のみが,日本国籍の取得について著しい差別的取扱いを受けているものといわざるを得ない。

分析すると、嫡出子、日本人母の非嫡出子、日本人父が胎児認知した非嫡出子は、生来的に国籍取得できるのに、日本人父が出生後認知した非嫡出子は生来的にも、また、届出によっても国籍を取得できないという点が著しい差別的取扱い(法による)という


日本国籍の取得が,前記のとおり,我が国において基本的人権の保障等を受ける上で重大な意味を持つものであることにかんがみれば,以上のような差別的取扱いによって子の被る不利益は看過し難いものというべきであり,このような差別的取扱いについては,前記の立法目的との間に合理的関連性を見いだし難いといわざるを得ない。とりわけ,日本国民である父から胎児認知された子と出生後に認知された子との間においては,日本国民である父との家族生活を通じた我が国社会との結び付きの程度に一般的な差異が存するとは考え難く,日本国籍の取得に関して上記の区別を設けることの合理性を我が国社会との結び付きの程度という観点から説明することは困難である。また,父母両系血統主義を採用する国籍法の下で,日本国民である母の非嫡出子が出生により日本国籍を取得するにもかかわらず,日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子が届出による日本国籍の取得すら認められないことには,両性の平等という観点からみてその基本的立場に沿わないところがあるというべきである。

比較の対象は、嫡出子のそれと、ではない

日本人父が胎児認知した非嫡出子、日本人母の非嫡出子との比較である

そこには、両性の平等の観点からも沿わないというのである

オ 上記ウ,エで説示した事情を併せ考慮するならば,国籍法が,同じく日本国民との間に法律上の親子関係を生じた子であるにもかかわらず,上記のような非嫡出子についてのみ,父母の婚姻という,子にはどうすることもできない父母の身分行為が行われない限り,生来的にも届出によっても日本国籍の取得を認めないとしている点は,今日においては,立法府に与えられた裁量権を考慮しても,我が国との密接な結び付きを有する者に限り日本国籍を付与するという立法目的との合理的関連性の認められる範囲を著しく超える手段を採用しているものというほかなく,その結果,不合理な差別を生じさせているものといわざるを得ない。

平等原則違反を論じるにあたって、教科書のような論述である

本日は、今年の司法試験最終日かつ予備試験の初日である

きっと、受験生のみなさまは当然に身に着けているところとは思う

目的、手段それぞれの合理性を検討した結果、不合理な差別であると論じるのである

この論法は、国籍を取得できなかった立場が、いかにかわいそうというだけでは論破できないのである

泣いて、辛いですといっただけでは導き得ないのである

それが、法が合理的な目的をもって、かつ、合理的関連性のある程度の区別にとどまるのであれば、合理的差別として、平等原則に反しない

その結果、差別的な境遇にあっても、甘受せねばならないことになってしまう

しかし、この国籍法に関しては、不合理な差別であると最高裁が判断した

カ 確かに,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知された子についても,国籍法8条1号所定の簡易帰化により日本国籍を取得するみちが開かれている。しかしながら,帰化は法務大臣の裁量行為であり,同号所定の条件を満たす者であっても当然に日本国籍を取得するわけではないから,これを届出による日本国籍の取得に代わるものとみることにより,本件区別が前記 立法目的との間の合理的関連性を欠くものでないということはできない。
 なお,日本国民である父の認知によって準正を待たずに日本国籍の取得を認めた場合に,国籍取得のための仮装認知がされるおそれがあるから,このような仮装行為による国籍取得を防止する必要があるということも,本件区別が設けられた理由の一つであると解される。しかし,そのようなおそれがあるとしても,父母の婚姻により子が嫡出子たる身分を取得することを日本国籍取得の要件とすることが,仮装行為による国籍取得の防止の要請との間において必ずしも合理的関連性を有するものとはいい難く,上記オの結論を覆す理由とすることは困難である。

その他諸々も考慮しても、やっぱり不合理である、と

(3) 以上によれば,本件区別については,これを生じさせた立法目的自体に合理的な根拠は認められるものの,立法目的との間における合理的関連性は,我が国の内外における社会的環境の変化等によって失われており,今日において,国籍法3条1項の規定は,日本国籍の取得につき合理性を欠いた過剰な要件を課するものとなっているというべきである。しかも,本件区別については,前記(2)エで説示した他の区別も存在しており,日本国民である父から出生後に認知されたにとどまる非嫡出子に対して,日本国籍の取得において著しく不利益な差別的取扱いを生じさせているといわざるを得ず,国籍取得の要件を定めるに当たって立法府に与えられた裁量権を考慮しても,この結果について,上記の立法目的との間において合理的関連性があるものということはもはやできない。
そうすると,本件区別は,遅くとも上告人が法務大臣あてに国籍取得届を提出した当時には,立法府に与えられた裁量権を考慮してもなおその立法目的との間において合理的関連性を欠くものとなっていたと解される。
 したがって,上記時点において,本件区別は合理的な理由のない差別となっていたといわざるを得ず,国籍法3条1項の規定が本件区別を生じさせていることは,憲法14条1項に違反するものであったというべきである。

これぞ、平等原則違反論である

本日の学びとしては、ここまでで十分だが、もう少し見てみることにする

憲法違反を指摘するだけでは、解決にはならない

5 本件区別による違憲の状態を前提として上告人に日本国籍の取得を認めることの可否
(1) 以上のとおり,国籍法3条1項の規定が本件区別を生じさせていることは,遅くとも上記時点以降において憲法14条1項に違反するといわざるを得ないが,国籍法3条1項が日本国籍の取得について過剰な要件を課したことにより本件区別が生じたからといって,本件区別による違憲の状態を解消するために同項の規定自体を全部無効として,準正のあった子(以下「準正子」という。)の届出による日本国籍の取得をもすべて否定することは,血統主義を補完するために出生後の国籍取得の制度を設けた同法の趣旨を没却するものであり,立法者の合理的意思として想定し難いものであって,採り得ない解釈であるといわざるを得ない。そうすると,準正子について届出による日本国籍の取得を認める同項の存在を前提として,本件区別により不合理な差別的取扱いを受けている者の救済を図り,本件区別による違憲の状態を是正する必要があることになる。

全部無効にしては、準正による国籍取得者の効力も否定しかねない
まるで、超難解な悪腫瘍除去のための神の手の手術みたいな作業になる

(2) このような見地に立って是正の方法を検討すると,憲法14条1項に基づく平等取扱いの要請と国籍法の採用した基本的な原則である父母両系血統主義とを踏まえれば,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知されたにとどまる子についても,血統主義を基調として出生後における日本国籍の取得を認めた同法3条1項の規定の趣旨・内容を等しく及ぼすほかはない。すなわち,このような子についても,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したことという部分を除いた同項所定の要件が満たされる場合に,届出により日本国籍を取得することが認められるものとすることによって,同項及び同法の合憲的で合理的な解釈が可能となるものということができ,この解釈は,本件区別による不合理な差別的取扱いを受けている者に対して直接的な救済のみちを開くという観点からも,相当性を有するものというべきである。
そして,上記の解釈は,本件区別に係る違憲の瑕疵を是正するため,国籍法3条1項につき,同項を全体として無効とすることなく,過剰な要件を設けることにより本件区別を生じさせている部分のみを除いて合理的に解釈したものであって,その結果も,準正子と同様の要件による日本国籍の取得を認めるにとどまるものである。この解釈は,日本国民との法律上の親子関係の存在という血統主義の要請を満たすとともに,父が現に日本国民であることなど我が国との密接な結び付きの指標となる一定の要件を満たす場合に出生後における日本国籍の取得を認めるものとして,同項の規定の趣旨及び目的に沿うものであり,この解釈をもって,裁判所が法律にない新たな国籍取得の要件を創設するものであって国会の本来的な機能である立法作用を行うものとして許されないと評価することは,国籍取得の要件に関する他の立法上の合理的な選択肢の存在の可能性を考慮したとしても,当を得ないものというべきである。
 したがって,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生し,父から出生後に認知された子は,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得したという部分を除いた国籍法3条1項所定の要件が満たされるときは,同項に基づいて日本国籍を取得することが認められるというべきである。

配慮すべきは、立法府の権限を司法府が脅かさないこと

(3) 原審の適法に確定した事実によれば,上告人は,上記の解釈の下で国籍法3条1項の規定する日本国籍取得の要件をいずれも満たしていることが認められる。そうすると,上告人は,法務大臣あての国籍取得届を提出したことによって,同項の規定により日本国籍を取得したものと解するのが相当である。

違憲部分を無効として、有効規定を前提に、国籍取得を認めた


13年前の違憲判決から学ぶことが深い

その頃、ロースクールにいて、ニュースもキャッチできなかった

いろいろあったけども、100日祝目前でニコニコ健やかに成長する息子がいて、幸せな日々であったともいえる

その秋から保育園に通い始めて、本格的な受験対策をするようになって、そこから憲法ゼミも始まっていったときに、ようやく知ることになる

ロースクール(すでに閉校)での学びはいろいろあるけど、憲法学者に直々に人権論を学んだことは大きな財産だと思う

今、各種違憲主張訴訟をウォッチする日々を迎え、当時、全く想定していなかったけども、読めば読むほど、家族・親子の分野は立て直しが必要な宝庫であることがわかる

共同親権訴訟にもとてもよく重なる論述だとわかる


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