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法制審家族法制部会第18回会議議事録2~武田委員

11月15日、法制審再開

差別を終わりにしよう!!

4か月前どんな議論をしていたのか、見ていく

○武田委員


 手が挙がらないようですので、私の方から意見を述べさせていただきたいと思います。親子ネットの武田でございます。この修正作業、非常に大変な取りまとめ、ご尽力をいただいたと思います。まず事務当局には御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 中身についてでございます。まず、第2の3、離婚後の父母双方が親権を有する場合の親権の行使に関する規律、ページ数で申し上げますと3ページになろうかと思います。前回の第2、第3を集約してということで、非常に流れて読めるようになったかなと思っております。その中で、更にB案というところに関して、少し意見を述べさせていただければと思います。
 まだ、パブコメを求めることを前提とすると、分かりにくい要素があるかなと思っております。具体的に、このB案についてですけれども、(注1)の記載を見ると、監護者の定めをしないこと、これは父母の双方が監護権を行使することというふうに解説がございます。もしそうなのであれば、パブコメを提出いただく方、一般の国民ということを意識しますと、これまでの議論でもほかの先生方からも御意見があったように、より分かりやすくストレートに、父母の一方又は双方を定めなければならない、又は定めることができるというふうに変更するのはいかがかと、このように考えました。これが1点目でございます。
 続きまして、同じ3ページのα、β、γの、γの②に関してでございます。ここに関しては、当該事項について親権を行う者を定めるということに関しての意見になります。部会資料に記載のとおり、裁判所としては、まずは親権を行う者を定めるということ、あと、(注4)に記載の、親権の行使内容を定めるもの、二つのパターンの併存する形になるのかなと、個人的にはこのように理解しておりまして、この2パターンに加えて、要素といたしまして、必要に応じ、子どもの意向確認、子どもの最善の利益を考慮して定める旨、注記に追記できないかと、このように考えております。この部会でも、個人的な話で恐縮でございましたが、私の長女の大学進学時の体験をお話ししましたが、例えば高校以上の進路選択になれば、基本は子どもの意向ということがまず最初にあって、こういった子どもの意向に対して、父母双方になるのか、いずれか片方の親になるのか分かりませんけれども、経済的に叶えることができるか否かというところがポイントになるかなと思っております。いずれにしましても、ここのγに関しましては、親権の行使者を定める、親権の内容を定めると、いずれの場合でも、子の意向を確認すること、これが重要な要素であると考えますので、追記の御検討をお願いしたいと思います。
 第2に関しては、以上でございます。
 続けさせていただいてよろしいですか。では、次に第3の1、離婚時の情報提供に関する規律、ページ数でいいますと6ページになります。前回の甲案に加えて、乙案というものが出てきたと理解をしております。これは前回の繰り返しになって非常に恐縮なのですけれども、甲案に関して、父母のうち親権者となる者及び監護者となる者に限る選択肢はどうしても必要なのかということを疑問に思っております。理由は、前回も述べましたとおり、親権者、監護者にならない者は、今回の冒頭のこの親責任、親責任は仮称ですけれども、子どもの最善の利益を考慮しなくてよいという矛盾した解釈が生ずるリスクがあるのではなかろうかと、こんなふうに考えます。したがいまして、例えばここは、「免除される要件を引き続き検討」とか、こんなふうに追記できないかということを、前回に引き続き、述べさせていただければと思います。
 加えまして、この親講座、基本的には私、離婚前に受講するものかなと思っています。誤解があれば御指摘いただければと思います。その際に、離婚前に親権者、監護者、これってそもそも決まっているのだろうかという疑問を感じました。基本的には、講座を受講して、両親が、子の養育に関して父母がそれぞれの分担を話し合い、決定していくこと、これが狙いなのではなかろうかと思いまして、違和感があるということでございます。甲案に関して、この親権者となる者、監護者となる者を除外できないかという理由を2点、述べさせていただきました。
 乙案に関してですけれども、受講促進と書いてありますが、ここは、すみません、本文に限った話ではありませんが、どうやって促進していくのかという具体的なところは例示すべきではなかろうかと、そんなふうに思います。これは補足説明になろうかと思います。
 続けさせていただきます。第3の2の父母の協議離婚の際の定めに関してです。ページ数でいきますと同じ6ページですね、この中の甲②案に関してでございます。これも前回申し上げて、まだこの本文には記載されていませんので、この中で、弁護士の確認ということを要件とするのであれば、その費用は誰が負担するのかということ、現段階の案でよいので、記載した方がよろしいかと思います。選択肢は当事者負担か、国が負担するのか、このいずれかと思っております。このパブコメを募集するに際して、当事者に負担を求めるのであれば、それはそれとしてきちんと明示した上でパブコメに付するべきではなかろうかというのが私の意見でございます。
 次に乙案に関してです。必要な定めを父母の協議上の離婚の要件とせず、促進するための方策は別途検討ということでありますが、先ほどの講座受講の促進と同様、方策について、補足説明でも構いませんので、例示すべきかなと思っております。理由を申し述べます。促進するための方策、これは恐らく民法766条改正、施行されてから、恐らく2016年だったと思いますが、法務省が子どもの養育に関する合意書作成の手引とQ&Aというものをお作りになったと思っております。これが全国の自治体、基本的には戸籍の窓口だったかなと記憶しております。このような方策のことを指すのだと思いますけれども、恐らく5、6年、既にやっていて、このチェック欄の取決め率、恐らくここ数年は6割か7割か、数字は忘れましたけれども、改善はみられていないと記憶をしております。これは私の個人的な意見になりますが、要件化なしで取決め率がこれ以上改善することは見込めないだろうと思っております。今回この部会の議論では、養育費、面会交流の実施含めて、取決め率も上がらない、実施率の改善も数字としては見られないという事実を受けて、要件化する方向で検討する流れになってきたのではなかろうかと、理解をしております。そもそも論でありますが、取決めのKPI、これはどこに一体置くのだということ、KPIを達成する見込みがない方策を一生懸命やりますよということで、そこに予算を投入するのかということに関しても、少し違和感を感じる議論だと思っております。したがいまして、結論といたしましては、この乙案に関して、方策に関して例示することもできないのであれば、外すことも含めて御検討いただけないかというのが意見でございます。
 6ページ、最後のところです。養育費の定めの実行率向上に関してでございます。まず、アに関してです。これまでこの議論は具体的な手法としては、ADRの活用、あと、この父母の合意を公正証書化するということが挙がっていたと、このように認識をしております。これも先ほどの弁護士の確認と同様、費用を当事者が負担するのか、国が負担するのか、これが課題として残るということを注記で明示していただけないかと、そんなふうに考えます。
 同じく、その下のイです。養育費の定めの実行率向上、これに関して異論なく、進めるべきだということに変わりはございません。ただ、この一般先取特権に関して、少し私も考え切れていないのですが、義務者の手続保障ということを検討する必要がある、課題であるということを表現できないかと、そんなふうに思っております。私も含めて、一般の国民の皆さん、そもそも先取特権、余りなじみがない言葉かと思っております。例えばの例で申し上げますと、今後、恐らくこの民法改正がなされて、そうすると、離婚届のチェック欄に、養育費の取決めをした又はしない、金額は月xx万円、例えばの例で申し上げております。そういったものを記載して、その記載がすぐに、例えば先取特権によって給与の差押えになったりしないのかとか、誤解であれば御指摘いただければと思います、こういった事態も発生するリスクはないのかと感じております。まずは、この先取特権を導入するとどういうことになるのかというところをもう少し、これは本文になるのか、補足説明になってしまうかもしれませんが、少し追記を頂けないかと考えております。基本的には私はこの先取特権イコール給与の差押えをイメージしているのですけれども、そういう措置がなされた場合、給与の差押えって継続するものだと思っています。こういった場合に、収入の変化、収入が上がることもあれば下がることもあろうかと思います。今もあり得る話かと思うのですが、突発的な事情により今月だけは少し減額させてですとか、支払い待ってですとか、こういった柔軟な対応ができなくなるおそれはないのか、気になるところです。現在の実務では、継続的に払っていれば、給与の差押えもなく、父母間の話合いも可能だと思っております。この辺りの柔軟性が失われる可能性はないのか、あるのであれば、本文注記、補足説明含めて、より丁寧に追記いただきたいと考えております。
 3です。離婚等の場合における監護者の定めでございます。7ページの3番です。本文に関してです。これは少し具体的に申し上げたいと思います。現在の記載では、法的な離婚の場合と何が違うのかなというふうに、まず、率直に感じました。この考え方としては、法定別居という言葉が正しいのか分かりませんが、必ずしも離婚に至らないケースも含めた別居を定義するもの、その際にも取決めを促進していこうという目的かなと理解をしております。であるのであれば「その婚姻関係が破綻したことその他事由により」というのではなく、具体的に申し上げます、「従前の婚姻関係が継続できず、父母双方が共同生活を営むことが困難と認められる場合及びその他の事由により」という文言に変更することを御提案させていただければと思います。また、「定めることができる」ではなく、「定める」が相当かと思います。この「定めることができる」という規定で、事前に定める父母が増えるとは思えません。
 あと、これは少し民事法制の議論にそぐわないかもしれないのですが、このような法定別居の要件を満たす別居の場合、例えばベネフィットとして、離婚を要件とする社会保障などの対象とすることを推す意見もあるなどの記載を入れてはいかがかということも、併せて述べさせていただければと思います。
 最後です。長くなりましてすみません。第4、9ページの(注1)に関してでございます。5行目ですね、これは私ども側の意見ではないので、私が一存で御意見を申し上げるのはいかがかと思うのですが、「そのような別居はDVや虐待からの避難である」ではなくて、「そのような別居にはDVや虐待からの避難のケースも含まれる」ということが正確なのではないかと、思っております。赤石委員の御主張も、恐らくそうおっしゃっているのかなと私、個人的には理解しているのですが、御認識が異なれば、おっしゃっていただければと思います。
 (注2)に関してでございます。④です。今の記載の「安全・安心な面会交流を実施することの可否(交流の相手となる親からの暴力の危険の有無などを含む)」から、少し分かりにくいなと思いまして、例えばでございます、「面会交流が安全・安心な状態で実施できるか否か(交流の相手となる親からの暴力の危険などを想定)」に変更することを御提案申し上げたいと思います。
 長くなりましたが、以上でございます。
○大村部会長 ありがとうございました。たくさんの御指摘を頂きましたが、その中には補足説明でもよろしいというものがございましたので、それらについては補足説明の方で扱わせていただくということをベースにして御検討いただくということかと思います。本文については表現の仕方に関わる御提案もありましたけれども、これらについては事務当局の方で持ち帰って御検討を頂きたいと思っております。
 実質に関わることも幾つかございましたが、まず、3ページの監護者の指定について、子どもの意思について考慮するということを加えるべきではないか、(注)に判断要素として加えるべきではないかという御発言を頂いております。子どもの意思について、全体としてそれを考慮するといった規定を置くことを想定されていると思いますけれども、今の案では、どこかで特別に子の意思の扱いを取り上げるということはしていないと思いますので、全体とのバランスも考えて、これをどうするかということについて、これも事務当局の方で持ち帰って御検討いただければと思います。
 手続保障についても幾つかお話がありましたけれども、先取特権についてイメージを共有していただくのが難しいかと思いましたので、補足説明の方で丁寧にこの点を説明をしていただく必要があろうかと思います。
 それから、第3の1につき、全ての親を対象にすべきだという御意見があったかと思いますけれども、現在の甲案は、父母の双方と、父母のうち親権者となる者及び監護者となる者とを併記しておりますが、この併記をやめるべきだという御意見だということでしょうか。
○武田委員 はい。
○大村部会長 武田委員のお考えというのは、父母の双方という考え方がすでに出ているわけですが、父母のうち親権者となる者及び監護者となる者とすべきだとの御意見もあるところです。そかし、それを載せるべきではないという御主張でしょうか。
○武田委員 はい、ご認識の通りです。
○大村部会長 わかりました。この点については、また御意見があれば伺いたいと思います。また、これを受講する時期には、親権者及び監護者が決まっていないのではないかという御指摘もありました。これは表現の問題にも関わるかと思いますので、もし併記ということであるとすると、そこのところを理解できるような説明をしていただくということかと思います。今、武田委員から実質に関わる御意見が幾つかございましたけれども、もし関連する御発言があれば、続けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

なんか違うところもあるけど、費用負担の言及は大切ね


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