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法制審家族法制部会第9回議事録12~小粥委員・原田委員・池田委員・武田委員

9回目の議事録読みも終盤 でも休まず続けていく
10回目の分も合わせてウェビナーなので!

単独親権制違憲について研究していて

監修させてもらった本もなつかしく

文献☑が止まらない

825条の件も確認しつつ

国賠の情報も

5月2日 オレンジパレード

さて、議事録読み

○小粥委員 

ありがとうございます。直接関係ないような話になってしまって大変恐縮なのですが,第4の2の④に無理やり関係あるといえば関係あることでございまして,若干,先ほどの石綿幹事,久保野幹事の発言とも関係あるつもりですが,どこまでを民法の改正という形で処理するのかということ,別の言い方をすると,下位法令ないし規則等に委ねることも早いうちから想定しておくべきではないかということになります。つまり,例えば,離婚後の夫婦で何を一緒にしなければいけないのかとか,どちらが何を決定するのかについて,随分細目にわたって決めなければいけない可能性があるわけですけれども,民法改正に要するコストを考えると,あるいは試行錯誤の可能性というものが余り大きくないかもしれないということを考えると,いろいろな問題について,法律よりも下位の規則に委ねると,法律で基本的なことを決めておくにとどめるという可能性を早いうちから考える必要がある問題が結構あるのではないかということを,この段階で申し上げることをお許しいただければと思います。

○大村部会長 ありがとうございます。立法の仕方に係る御意見を頂戴したと思います。全体として,今回の規律がどのくらいの密度というか,詳しさを持つものになるのかということにも関わっていると思いますけれども,民法の条文に書くということが様々な観点から望ましくない,あるいは困難であるような問題もあるのではないか,そうしたものについての対応をどうするのかということを視野に入れて検討すべきだという御意見として承りました。下位法令にどのぐらいのものを委ねられるかということは,民法の場合には少し検討を要する問題があろうかと思いますけれども,例はないわけではないので,全くできないということではないと思います。御意見として承って,検討の際に注意していきたいと思います。

○原田委員

 ここでいろいろ挙げられているものについて,現実にどんなことを考えてこれを検討するのかというところが,私はこれをずっと読んでいても,なかなか頭をひねって,分からないところがあったのですけれども,まず,12ページの①のところで,どういう場合なのかというと,12ページの上のところにある,現実の監護者と親権者が一致しないことによって子に不都合が生じるおそれ,例えば孫養子とかそういうものなのかなと思いますが,逆に言えば,そういう監護者と親権者が一致しないような形の養子縁組を認めるのかという問題にもなると思いますし,先ほども申し上げましたけれども,親権という形でまとめるのではなく,監護権という形で監護者が日常の生活で監護していく上で不都合がないような内容に考えるという方向性もあるのではないかと。今日,先ほどから何人かおっしゃっていただきましたが,そういうことがあるのではないかと思いますし,③の場合も,場合によっては,親権という概念で考えれば,親権の変更をするということも考えられるし,あるいは監護者としてその効果を考えるということで日常の監護には支障がないようにすればいいのではないかという考え方もあるのではないかと思います。
 それから,⑥は実親の扶養義務との関係をどうするのかという問題があると思いますけれども,そういう意味では第6の扶養義務のところで,実親の扶養義務がなくなるという考え方は少し説明が付かないというか,とれないのではないかなと,私は両方義務があるとすべきで,ただ,その順位の問題を考えるに当たって,監護親が請求する場合と子どもが請求する場合があると思うので,子どもが請求する場合に,やはり第1順位,第2順位があって,実親には第2順位しか請求できないということで本当にいいだろうかということを少し懸念しております。
 それから,相続の問題では,私はやはり日本の民法のいいところというか,相続人がはっきりしていると,実務家の立場かもしれませんけれども,誰かが亡くなったときに誰が相続人であるかというのは戸籍をたどればすぐ分かるというところが非常に大きなところで,これを当事者の意思で変えるということについての懸念と,もう一つは,子どもの立場からも,実親と養子の間でこれだけの差があっていいのだろうかと思うので,逆に言えば,それをしたくないのであれば,監護権というものをきちんと定義することによって,里親のようなものですね,養育していくのに不都合がないようにすればいいのではないかと思います。

○大村部会長 ありがとうございます。順序が逆になりますが,扶養の問題について先ほど議論になりましたけれども,実親の扶養義務がなくなるということについては疑問に思う,それから,相続については先ほど棚村委員から御発言がありましたけれども,相続人が明確に定まるという点に日本法のメリットがあるのではないかといった御指摘を頂きました。その前に御指摘いただいた点,先ほど原田委員の発言の冒頭にもあった点ですけれども,この資料は親権をベースにして書かれておりますけれども,それは親権と監護との関係をどう位置づけるかという問題について,まだ議論が済んでおりませんので,そちらの議論が済みましたら,そこでの議論をいわば代入するということで問題を考えるということかと思います。そこれが定まらない段階で,監護権の場合にはどうなるかということを議論すると混乱が生ずるので,親権ということで書かれていると私自身は理解していますけれども,そういう趣旨ですね。

○北村幹事 おっしゃるとおりです。
○大村部会長 そういうわけで,御指摘は,しかるべきところで親権と監護権の問題について検討し,それを反映させるということになるのかと思います。
 そのほかにはいかがでございましょうか。

○池田委員 

 弁護士の池田でございます。15ページの①,②と16ページについて,意見を申し述べたいと思います。
 まず,15ページの①,②のところですが,14ページに書いてあるようなニーズがあるということですけれども,要するに,養親と実親が養子を挟んで財産が行き来してしまうということに対する抵抗感ということがあるかと思いますけれども,理屈で考えればそうなのですが,実務の中でこういうことが問題となっているので養子縁組が進まないとか,あるいは具体的にこうなってしまったのだけれども,どうしようとかという相談を受けるということは,あまり弁護士仲間で話をしていても,感じないというところがあって,これは本当に法改正で対処すべきことなのかどうか少し疑問があるなというところです。
 仮に何らかの対処をするとした場合に,①,②というので,川上で切るのか川下で切るのかという話かもしれないですけれども,やはり筋としては養親子間で親子として現に暮らしているという,その延長での相続というときに,そこで,仮に実子がいた場合,青竹幹事からも御指摘がありました,実子と相続権のない養子とで差ができてしまうような仕組みというのは,やはり養子の立場からすると余りよろしくないのではないかと,むしろ実親との間での相続を否定するという方向性で考えるべきなのかなと思います。ただ,実親が仮に非常に財産をたくさん持っているような場合に,養子からすれば,実親の財産を取るのか養親による養育を取るのかという,そんな選択を迫られるようなことになるのであれば,何となくそれも落ち着きが悪いだろうという感じがあって,いろいろとこの辺り,懸念があるところです。
 それから,16ページの点ですが,養子縁組がされたとしても,実親がなお扶養義務,養育費の支払い義務を負い続けるのかどうかということだと思うのですけれども,現状,実務で養子縁組がされたからといって,必ずしも実親の養育費の支払い義務がゼロになるというわけでもないと思うのです。養親の生活水準と実親の生活水準を,離婚した場合を想定して非親権者を実親といいますけれども,その双方を比べて,なお養育費を支払わせるという場面もなくはないところですので,第1順位と付けるのはいいとしても,養親の資力が不足する場合に限って実親が支払い義務を負うとなると,今の実務も変わってきてしまうのではないかという懸念が少しあります。ですから,両者を比べて子どもの利益になるように結論を導いていくという柔軟なところも残しておいた方がいいのではないかと考えます。

○大村部会長 ありがとうございます。15ページの先ほど来問題になっています相続権については,余りニーズがないのではないか,むしろ弊害が多いのではないかという御指摘を頂いたのだろうと思います。それから,16ページの扶養義務については,順位を整理することはいいとして,義務者の資力が不足する場合に限りというのは少し柔軟さに欠けるのではないかという御指摘を頂いたと受け止めました。ありがとうございます。
 そのほか,第4から第6について何か御意見がありますか。

○武田委員

 親子ネット,武田でございます。では,第4及び第6に関して若干,意見を述べさせていただければと思います。先ほど少し触れさせていただきましたとおり,私の個人的なステップファミリーにおける子育てに関する考え方といいましょうか,先ほど少しお話しさせていただきましたけれども,基本的には子どもの同居親と別居親が共同で子どもの養育に当たる努力をする,継親はそこに補助的に加わって,そこの共同親責任的な協力関係で進めていくのがよいのではなかろうかと,まず,このような考え方を持っております。
 今申し上げた基本的な考え方を受けまして,第4の12ページ,13ページにある課題については基本的に進めるべきだと思っております。①,検討を進めるべきだと思います。②,当然,子の福祉に反する妨害をする者と,これもあり得る話かと思います,排除をする規律も必要と,このように考えます。③,④も含めて,検討を進めるべきでなかろうかと思います。特に,この④の再離婚時の規律化についても,ここはより大きな問題のような気がしておりまして,恐らく国内で数字はないと思うのですけれども,再婚後の離婚率,初婚よりも間違いなく高かろうと思っています。海外事例でもそのような報告がされていると思います。お子さんに対して複数回にわたり,こういった喪失感を含めて,苦しめることは避けるべきと考えております。
 ⑤は,どちらかというと(注4)ですかね,親権者死亡の場合,生存親に親権を再付与ということに関してですけれども,これは是非検討していただきたいと思っています。1点気になるのが,(注4)には双方死亡という前提で語られているような気がいたします。親権者である同居している実親が死亡して養親が生存する場合,養親単独親権だけが選択肢ということになるのでしょうかというのが問題提起としてございます。当然,養親,非親権者である実親,それぞれの養育に関わる意欲,当然子どもの意見,考慮要素はあるかと思いますが,親権者である実親死亡の場合の検討も必要ではなかろうかと考えております。基本的には,大きくこの6つの課題については,より一歩進めた検討をすべきと考えております。
 第6,扶養義務に関して,今,誰が一義的な扶養義務を負うのかという問題提起がされていると思っています。私は少し皆さんと恐らく考え方が違いまして,双方の実親が第1順位の扶養義務を負い続けるべきという考え方です。そこに対して養親の扶養義務が二義的に付いてくる,このような考え方を基本的な考え方にすべきではなかろうかと,このように考えております。 
 第4,第6に関して,以上でございます。

○大村部会長 ありがとうございます。第4については,12ページから13ページに挙げられている課題について,基本的にこの方向で検討すべきではないか,(注4)が付いているところについては,少し広げた観点からの検討が必要ではないかという御指摘を頂いたかと思います。他方,16ページの扶養義務においては,課題が挙がっておりますけれども,実親の扶養義務の方を優先させるというお考えを示されたかと思います。これは,今まで出ているお考えと違うのではないかと武田委員自身がおっしゃいましたが,他の方々は,親権だとか,養育義務だとか,扶養義務というものについて,何らかの形で選択肢を認めていくという考え方で受け止めるかもしれない,そうしたお考えなのではないかと思って伺っておりました。御意見として伺わせていただくことにさせていただきたいと思います。
 そのほか,御発言いかがでしょうか。

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