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養育費

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国会での共同親権議論が深まっていく

補足説明の養育費も読んでみよう


第3 養育費等に関する規律
1 養育費等の請求権の実効性向上(先取特権の付与)
⑴ 次に掲げる義務に係る確定期限の定めのある定期金債権を有する者は、 各期の定期金のうち子の監護に要する費用として相当な額(標準的な世 帯の必要生計費、当該定期金により扶養を受けるべき子の数その他の事 情を勘案して政省令で定める。)について、債務者の総財産について先取 特権を有するものとする(注1、2)。
ア 民法第752条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
イ 民法第760条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
ウ 民法第766条(同法第749条、第771条及び第788条におい て準用する場合を含む。)の規定による子の監護に関する義務
エ 民法第877条から第880条までの規定による扶養の義務
⑵ 上記⑴の先取特権の順位については、雇用関係の先取特権(民法第30 6条第2号参照)に次ぐものとする。
(注1)養育費等の請求権に先取特権を付与するに当たっては、執行手続における債務者の 手続保障の観点から所要の整備をする必要があるとの考え方がある。
(注2)養育費等の請求権に先取特権を付与するものとした場合には、当該先取特権を有す ることを証する文書を提出した債権者が債務者の給与債権に係る情報の取得の申立て (民事執行法第206条参照)をすることができるようにするものとする考え方がある。



(補足説明)
1 部会資料30-1の第3の1と同様に、養育費等に関する請求権(なお、この部会資料では、第3の1⑴に掲げる債権を総称して「養育費」と呼称しているものであり、「養育費」という名称の新たな類型の債権を設けることを提案するものではない。)に政省令で定める一定額につき一般先取特権を付与することを提示している(注1)。
2 なお、これまでの部会においては、養育費等に関する債権に一般先取特権を付与した場合には、債務者の手続保障等に与える影響の観点からの検討を要する旨を指摘する意見があったところであり、この部会資料でも、そのような観点から所要の整備をする必要があるとの考え方を維持している(注2、3)。
(注1)養育費等に関する請求権に一般先取特権を付与した場合における雇用関係の先取特権との優先関係(順位)については、第31回会議の議論で、両者の競合が生じるのが、債務者が個人事業者である場合であることを念頭に、養育費等の先取特権を優先さ せることも検討すべきであるとの意見が述べられた。もっとも、給料等の請求権は、労働者の労働が使用者の一般財産の増殖に寄与するという意味で共益性を有するとも考えられることや、一般に(個人事業者の)養育費等の算定においても給料等の債権が経費として考慮され、それらを控除した額から生活費をまかなうものと考えられている ことからすると、慎重な考え方もあり得る。
(注2)一般先取特権に基づく債権差押えの手続において、債務者は、執行抗告の手続にお いて、一般先取特権の対象となっている権利の実体的な不存在又は消滅を主張するこ とができる点で、事後的な手続保障が補充されている(民事執行法第10条、第182 条、第193条第2項)。また、債務者は、その生活の状況(例えば、養育費の取決め をした後に収入が大幅に減少して生活が困窮していることなど)を理由として差押禁止債権の範囲変更の申立てをすることにより、差押えからの解放を裁判所に求めることもできる(同法第153条、第193条第2項)。債務者の手続保障の観点からの法整備の要否を検討するに当たっては、これらの既存の仕組みによって対応することの可否も含めて検討する必要があると思われる。
(注3)養育費等の債権に一般先取特権を付与した場合には、債務名義作成のための裁判手続等を経ることなく、担保権実行により債権等の差押えがされる可能性があることか ら、部会のこれまでの議論においては、担保権実行における債務者の手続保障等に配慮するための方策が必要ではないかとの指摘があった。これまでの会議では、そのような方策の一つとして、養育費の請求に関する執行手続において、差押命令の発令に先立って、裁判所が債務者に対して支払の催告をするような仕組みを講ずることも一案ではないかとの意見もあった。また、通常の債権差押えの手続においては債務者審尋を経ずに差押命令が発令される点を見直し、差押命令の発令の段階で必要に応じて債務者に反論の機会を与えることとしてはどうかとの考え方があり得る。もっとも、これらの考え方について検討する上では、執行手続の密行性の要請や債務者による財産隠匿の防止の必要性にも留意すべきであるとも考えられる。このほか、担保権実行としての債権差押えに対する不服申立ての方法が執行抗告(高等裁判所の判断を求める手続であり、 申立期間の制限がある。)である点を見直し、より簡易な不服申立て方法を可能としてはどうかとの考え方などもあり得る。なお、このような方策を講ずるのであれば、その対象をどのように設定するかについて、例えば、①先取特権に基づく担保権実行に限定するか、債務名義に基づく強制執行をも含むか、②法定養育費の請求に限定するか、協 議又は裁判で定められる養育費をも含むかなどが問題となり得る。

先取特権は、きょうこそにちよう(司法試験ネタ)しかわからないw


2 法定養育費

父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく協議上の離婚をした場合に対応するための仕組み

として、一定の要件の下で、離婚の時から一定の期間にわたり、父母の一方が他の一方に対して法定養育費の請求をすることができるものとする。ただし、当該他の一方が、支払能力を欠くためにその支払をすることができず、又はその支払をすることによってその生活が著しく窮迫する【ことを証明した】ときは、この限りでないものとする。
(注1)法定養育費の請求権者や要件及び効果については、例えば、父母の一方であって離婚の時から引き続き【子の養育を主として行うもの/子と同居するもの】が、他の 一方【(子と別居する者)】に対し、離婚の日から、子が成年に達した時又は父母がそ の協議により子の監護に要する費用の分担について定め若しくは家庭裁判所がこれを定めた時までの間、毎月、子の最低限度の生活を維持するために分担すべき子の監護に要する費用として政省令で定める額の支払を請求することができるものとするとの考え方がある。
(注2)家庭裁判所は、子の監護に関する処分の裁判をする場合において、支払義務を負う者の支払能力を考慮して、その支払義務の免除若しくは減額又は支払の猶予その他相当な処分を命ずることができるものとする考え方がある。
(注3)法定養育費の請求権についても、上記1の先取特権の対象に含めるものとする考え方がある。
(注4)父母が協議上の離婚をした場合だけでなく、子の認知後についても、法定養育費の請求を認めるべきものとする考え方がある。


(補足説明)
1 法定養育費請求権の法的性質と位置付けについて
⑴ この資料では、部会資料30の第3の2と同様に、法定養育費の請求権に関する規律を新設することを提示している。
⑵ これまでの部会の議論では、父母の協議による定めがない場面を補完す るための任意規定として法定養育費の規定を設けることは民法の他の規律 とも整合するものであるとの指摘がある一方、法定養育費の正当化根拠を 検討するに当たっては、義務者側の収入や資力が乏しいケースも想定され ることを踏まえた議論が必要であるとの意見もあった(注1、2)。
第31回会議の議論では、法定養育費の考え方を支持する意見が多数あった一方、法定養育費制度はその具体的な要件効果によっては離婚時の人々の行動を規定するインセンティブ機能を持つ可能性があるといった観点から、なお慎重な検討が必要であることを指摘する意見もあった。 以上のような議論を踏まえると、法定養育費の請求権に関する規律を新設することについては、なお十分な検討が必要と思われる。
2 法定養育費請求権の要件及び効果
法定養育費請求権については、上記1のとおり、その法的な位置付けや正当 化根拠を含めて更に検討すべき点もあるものの、この資料のゴシック体の記 載の注1及び注3では、仮にこのような制度を設けるとした場合に考えられる要件及び効果並びに法定養育費請求権への先取特権の付与について、部会資料30-1の第3の2注1及び注3と同様の案を提示している(注3)(なお、父が子を認知した場合の子の監護に関する規律は、父母が離婚する場合の子の監護に関する規律を準用することとしている(民法第788条)。そこで、 本文のような考え方に基づく規律を設ける場合には、父が子を認知した場合にも準用されるとの考え方がある。)。
(注1)この資料のゴシック体のただし書に関し、民事執行法第167条の15第1項は、 扶養義務に係る金銭債権についての間接強制につき「債務者が、支払能力を欠くため にその金銭債権に係る債務を弁済することができないとき、又はその債務を弁済することによつてその生活が著しく窮迫するとき」を消極的要件としている。この要件は、債務者の資力がないため金銭債務の弁済をすることができないとき、又はその債務を弁済することによって債務者が最低限度の生活水準をも維持することができなくなるときをいうものと解されている。この判断は、債務者の資力、収入及び支出と債務の額を考慮して、具体的な個々の事例に即して行われるものであるが、債務者だけでなく、債務者と生計を同じくする家族の収入等も考慮する必要があるとされている。
(注2)このような考え方に対して、第31回会議では、生活保護基準を満たしていても生活保護を受給していない世帯があることなどを踏まえれば、債務者が支払不能であ ることを理由に法定養育費の支払を免れることができるものとするべきではないとの意見や、「生活が著しく窮迫する」との基準は具体性に乏しく、少なくとも、債務者の支払能力が法定養育費を支払うことによってその生活が著しく窮迫する程度にとどまる場合には、法定養育費の支払を免れることができるものとするべきではないとの意見が述べられた。 しかし、この部会で議論されてきた法定養育費の制度は、養育費は父母双方の収入等を踏まえた協議や審判によって具体的な金額が定められることによってはじめて請求することができるようになるという従来の考え方を維持した上で、父母の協議による定めがない場面を補完する趣旨で、このような定めがされるまでの期間に限って、債権者は法令で定められた一定額を請求することができるものとするもので ある。したがって、法定養育費制度は、(その後に定められる)相当な養育費の下限を設定するものではないし、債務者に法定養育費を支払う負担能力があるとみなすものでもなく、生活保持義務の観点に則って相当な養育費を算定しても、法定養育費 の額を下回る場合も生じ得ると考えられる。法定養育費の制度も、当事者の経済的事情に即して養育費の金額が定められるという大枠の中で捉えられる必要があり、法令で定められる一定額(法定養育費の金額)をどのようにするかの考慮と併せて、上記のとおり補完的に位置付けられる法定養育費の支払により、債務者が最低限度の生活水準を維持することができなくなる場合への配慮も必要であると考えられる。
(注3)これまでの部会での議論では、養育費等の請求権を優先的債権と扱うべきであるの は、それがまさに子のための権利であるからであり、養育費等の請求権の強化を図る 場合には、民法において子を請求権の主体と位置付けるための検討が必要であるとする意見があった一方、その理念に共鳴しつつ、上記のような位置づけをすることの法技術的な困難性を指摘する意見もあった。この部会資料では、法定養育費の行為主体を(子ではなく)父母としているが、これは飽くまで上記の議論を踏まえた結果であり、法定養育費の行使主体となる父母の一方に、子の監護を離れて一定額の給付を得させることを政策的意図とするものではない。

法技術的には一筋縄ではいかない感じがしている

3 裁判手続における情報開示義務
⑴ 家庭裁判所は、次に掲げる審判事件又は調停事件において、必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、当事者に対し、その収入【や財産】の状況に関する情報を開示することを命ずることができるものとする。
ア 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判事件又は調停事件
イ 婚姻費用の分担に関する処分の審判事件又は調停事件
ウ 子の監護に関する処分の審判事件又は調停事件(子の監護に要する費用の分担に関する処分の審判事件又は調停事件に限る。) エ 扶養の程度又は方法についての決定及びその決定の変更又は取消しの審判事件又は調停事件
⑵ 上記⑴の規定により情報の開示を命じられた当事者が、正当な理由なくその情報を開示せず、又は虚偽の情報を開示した場合について、制裁の規定を設けるものとする。
⑶ 離婚の訴え等における附帯処分として子の監護に関する処分(子の監護に要する費用の分担に関する処分に限る。)の申立てがされている場合についても、上記⑴及び⑵と同様の規律を設けるものとする。


(補足説明)
部会資料30の1の第3の3と同様に、養育費等に関する裁判手続における 情報の開示義務に関する規律を提示している(なお、人事訴訟の附帯処分の申立ての対象は審判事項であり、家庭裁判所が請求認容判決をする際にはその申立てに対する判断が必要になるから、ここでいう養育費等に関する裁判手続には、 人事訴訟の附帯処分として子の監護に要する費用の分担に関する処分が申し立 てられた場合を含むものとするのが相当であると考える(注1)。)(注2)。
(注1)これに対して、夫婦関係調整(離婚)調停事件においては、当事者が離婚に合意することができなければ当該事件で子の監護に要する費用の分担について取り決める前提を欠くこととなるため、このような規律を設ける必要があるかについては慎重な検討が必要であるように思われる。
(注2)裁判所から収入や財産の状況に関する情報の開示を命じられた当事者が情報開示に応じない場合や虚偽の情報を開示した場合の制裁について、この資料では、部会資料 30の1の第3の3と同様に一定の制裁の規定を設けることを提示しており、この制裁の具体的な内容としては、例えば、試案第5の2の注2で提示したように、過料の制裁を設けるものとする考え方がある。これに対して、これまでの部会での議論では、当事者が収入を有していることが認められるにもかかわらず、その具体的内容等を明らかにしない場合等への対応としては、その当事者に不利益な事実認定をすることがで きるとした方が事件の進行を促進する上でも効果的ではないかとの意見も述べられたが、このような事実認定は、現行法の下でも、審判手続の全趣旨に基づきすることができるとの考え方もある。このような考え方を前提とすれば、この資料のゴシック体の⑴ のような規律が設けられた場合に、裁判所から収入や財産の状況に関する情報の開示を命じられた当事者が情報開示に応じないときには、裁判所は、そのような経過も審判 手続の全趣旨として考慮し、当該当事者に不利益な事実認定をすることができるものと考えられる。

子どもに関心がない、会いに来ない相手対策と思えば、ちゃんと詰めないとね


4 執行手続における債権者の負担軽減
民事執行法第151条の2第1項各号に掲げる夫婦間の協力及び扶助の義務、婚姻から生ずる費用の分担の義務、子の監護に関する義務並びに扶養の義務に係る請求権についての民事執行手続において、債権者が反対の意思を表示しない限り、1回の申立てにより、財産開示手続、第三者からの情報取得手続及びこれらの手続により判明した財産に対する強制執行又は担保権実行の手続が順次申し立てられたものとみなすなどの仕組みを設ける ものとする。


(補足説明) 部会資料30の第3の4と同様に、執行手続における債権者の手続負担を軽減するための方策を提示している(対象となる財産の範囲や、複数の財産が判明 した場合の対応等については、なお検討を要する。)。

今でも割と執行はしやすいようだけど


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