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法制審議会家族法制部会第31回会議議事録読む10~原田委員・水野委員・棚村委員・北村幹事・赤石委員・落合委員・棚村委員・久保野幹事

リニューアルあれこれ

描いたとおりの未来になってる実感よ

今年のハイライト

法制審案大丈夫そうよね

さぁ、もっと声をあげて!

年末入りだけど、一応平日な金曜日?

あああ、もういよいよ年の瀬ー
議事録読んで終わります~

○原田委員 

今の件では、この未成年者の利益を損なうような養子縁組をさせないためには、全件家裁にするという意見があったのだけれども、それでは問題がないものも全部しなければいけなくて、問題ではないかというところで、そこが消えたという形になっているのではないかと思うのです。今回、私はこの前まとめていただいたパブリック・コメントを調べてみたら、未成年養子に対して意見を出した41団体のうち26団体が全件家裁という意見を出していたので、ここは消さなくてもいいのではないかと思いました。
○窪田部会長代理 ありがとうございました。御意見として伺ったという扱いにさせて頂きたいと思います。

全件家裁というか廃止をしてもいいくらい

○水野委員

 委員の水野でございます。第6の財産分与に関する規律についてです。これは平成8年の改正要綱の延長線上にある改正案だと思いますので、少し説明させていただきます。
 現行法は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情という文言になっているのを、これだけ膨らませていただいたのですが、これは相当、平成8年のときの議論を受けての条文化だろうと思います。戦後改正で立法された民法第768条は、当時GHQが、これは夫婦財産制の清算だというイメージで、当事者双方がその協力によって得た財産の額というのを書かせようとし、そして、離婚後の扶養の方は、彼らは離婚後扶養はアリモニーだと思っていたので、それはここに入りませんでした。一方、日本人の起草委員は、この当時はサラリーマン家庭はまだマイノリティーでしたから、自営業の家業を営んでいる家で、これで半分取られてしまうと、というので、それで慌ててその他一切の事情を考慮できる文言を付けて、この現行法になっているわけです。立法後、実際の実務は日本人的な手切れ金的な感覚で、たんすと水屋だけしかもらえないような財産分与がありました。次第に、サラリーマン家庭が増えた高度成長期に、主婦の寄与分が認められるようになって、それでも当初はパーセンテージが少なかったのですが、やがて実務が現存財産の2分の1という水準でかなり機械的に計算をするようになりました。そういう実務になっていたところで平成8年改正要綱の議論を致しました。
 あのときは、現存財産の2分の1という基準だと、夫が離婚後も毎月100万円の収入がある一方、奥さんの方はパートでやっと10万円だというときに、現存財産を2分の1に分けても、これは不公平だろうと、そういう場合にもう少し奥さんが取れるようにしたいという要請が一つです。もう一つは、条文は男女平等に書かなければいけないのですけれども、社会には実際に男女差別が存在するので、そこのところを配慮する必要があります。100万円と10万円の差の件もそうなのですけれども、逆にまた、例えば女医さんが奥さんで、夫の方は働きも家事も何もしないで彼女にぶら下がって遊んできたというようなケースだったときに、それで彼が財産分与をたくさん取れるというのはおかしいだろうと、そういう場合には彼の請求権は制限したいというのももう一つの要請でした。そういう表に出ていない男と女の違いみたいなものが配慮できるような条文にしたいというのも要請の一つでした。
 その関連で少し、先ほどの法定養育費の問題に戻ってしまって恐縮なのですが、武田委員が例を挙げて言われましたように、生活が著しく窮迫するという要件は、私は自動的に、例えば、こどもを育てているのは父親の方で、収入がそれなりにあって、そして、こどもを育てられない病身の母親が、いきなり法定養育費だからといって決められた額を取られてしまうという類型を防ぐための要件だと読んでおりました。そういうふうに、どう読むかということは、現実の社会状況を配慮しながら解釈する必要があると思います。この長い民法第768条の条文の中にいろいろな配慮がこもっていて、その御苦労の結果、長くはなっておりますけれども、平成8年改正のときに議論をした要素はこれでかなうのではないかと思いながら拝読しております。多少まだ手が入る可能性はあるのかもしれませんが、私のそのときのメンバーとしての記憶から見て、これだけ書き込んでいただければ、そのときの議論の要請は果たせているように思いました。賛成ですという趣旨の発言です。ありがとうございました。
○窪田部会長代理 ありがとうございました。いろいろな点から御発言いただきましたが、基本的にはこの第6で示された考慮要素の明確化という部分については、平成8年の議論を十分に踏まえたものとして、それを受けた上でこういうふうに詳細に書かれたという理解が可能ではないかという水野委員の御認識を示していただいたものかと思いますし、また、その上でこれについて賛成の意見をおっしゃっていただいたものだと認識しております。

女性の稼働力が変わってきたよね
めっちゃ男女差別全開なこと言ってる

○棚村委員

 私もこの財産分与の考慮要素の明確化、第6の1のところは御提案どおりで賛成です。ただ、私も幾つか部会に入って要綱案をまとめさせていただいたときも、最終的には内閣法制局というプロがいまして、ほかの法文、条文との整合性とかというので、ブラッシュアップというのですか、いろいろ修正が出たりしますので、最終的にはこういう提案で御了解をし、若干の字句の修正等を事務局に委ねるというのですかね、法制局とかほかのところとの調整ということでお願いできればと思っております。
○窪田部会長代理 どうもありがとうございました。基本的には財産分与についての考慮要素の明確化ということについての賛成の御意見を伺ったものと思います。
 ほかに御発言はございますでしょうか。

最後は内閣法制局?

○原田委員

 委員の原田です。期間制限の問題で、それと所要の整備というところとの関連なのですけれども、例としては裁判手続や戸籍等に関する事項となっておりますが、年金分割についても同様に考えられるでしょうか、というか、考える必要があるのではないかと思っているのですけれども。
○窪田部会長代理 その点については、事務当局からお答えいただけますでしょうか。

年金分割も伸ばしたい!

○北村幹事

 年金分割につきましては、まず財産分与についての検討を所管の部局の方が推移を見守っていらっしゃる、その上でこちらの議論が決まれば、対応が必要ということであれば対応を御検討されるということになろうかと思います。
○原田委員 ので、年金分割についても延ばしてほしいという意見を申します。
○窪田部会長代理 明確な意見ということで、ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。

年金分割も長くなる?

○赤石委員

 しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石です。度々ありがとうございます。それで、原田委員がおっしゃった年金分割、少しだけ意見は言わせていただきます。私どもも年間何件か、やはり年金分割が、もう調停は出たのに手続を忘れていました、みたいな方が御相談に来ることがございますので、私も延びることには賛成でございます。
 第7の所要の整備というところで、言わずもがなのことを一応申し上げておきます。昨年の11月15日だったかと思いますが、4名の委員で、この民事法制が変わるときには支援制度が必要であるという意見書を提出させていただきました。これについてはここで議論することではないですよねという話になりつつも、この支援制度の充実が必要であるということは各委員のほとんどの方が御賛成の発言をしてくださったように私は、記憶しておるところでございます。ですので、ぜひこの要綱のたたき台が出てきたときに、やはり先ほども、いろいろな各所に支援の制度の必要性ということが、第三者機関のところもそうなのでございますが、各所にあるし、法テラスでの無料での相談の拡充ですとか、いろいろなこともございます。ぜひそこが並行して実現することを望んでおりますということを、しつこく言わせていただきたいと思います。
○窪田部会長代理 ありがとうございました。所要の整備という中に、他の省庁が管轄する支援制度との連携も必要不可欠だというのは多分。
○赤石委員 法務省の管轄のものも当然ございます。
○窪田部会長代理 それも含めて連携していく必要があるということ自体は多分、皆共通の認識としてあるのだろうと思います。その上で、法務省のこの審議会でできることとできないことはあるとしても、相手方のあることではありますから、当然ここで決めれば決まるというわけではないのですけれども、それについて連携していくという形で作業をお願いしたいというのは、こちらからも法務省にお願いしたいと思いますし、先ほどもこども家庭庁の方で進めている作業との連携ということも御指摘がありましたので、そうした点についても法務省で十分に踏まえつつ進めていっていただければと思います。
○赤石委員 ありがとうございます。今日は民事局長さんもいらしていることでございますし、ぜひ進めていただきたいと思います。
○窪田部会長代理 ほかに御発言はございますか。

その他でアピール

○落合委員 

少し前のところを蒸し返すのですけれども、認知をした場合の養育料の話なのですけれども、赤石委員と棚村委員のおっしゃったことは、原則そうあるべきだと思うのですけれども、でも、そうすることによって認知をしなくなるのではないかという、認知が遅れるようになるのではないかという、その心配もありまして、ということだけ一言言いたいと思いました。

認知ねぇ

○棚村委員

 法律的な条文だと、法的な親子関係が婚姻外のこどもとお父さんとの間で成立するためには、任意認知届出を出すか、裁判認知、強制認知、それをした後の親子関係の中で民法788条は、認知後の子の監護に関する事項の定めをしており、この監護費用が定められているのです。それのつなぎとしての法定養育費という仕組みなのです。
○落合委員 つなぎの話ですね、分かりました。
○棚村委員 ですから、親子関係が認められた後のこどもの生活を守るための費用の問題と。それのつなぎも、必要性ではやはり相当大きいのではないかということで申し上げました。
○落合委員 すみません、そういうことでしたら、よく分かりました。
○窪田部会長代理 もう司会の手を離れているようですが。
○棚村委員 申し訳ありません。
○窪田部会長代理 いずれにしても、認知後の扶養料については重要な問題であることはもう間違いないと思うのですが、いずれにしても離婚後の扶養料の問題を解決した上で、それをそこまで及ぼして考えるかどうかという、多分問題の立て方になると思いますので、取りあえず第一段階のところをクリアした上での検討課題ということになるのだろうと思います。
 それ以外に御発言はございますでしょうか。

司会を置き去りにして認知の話

○久保野幹事

 ありがとうございます。第5、養子に関する規律の(注)のところに関してです。私は、方向性としましては、この問題はやはり親権喪失や親権停止を正面から使っていくことや、先ほど御指摘の出ました養子の離縁をどのように可能としていくかという方向で考えるのが筋ではないかという印象を持っております。
 その際、十分に整理できていないのですが、先ほど池田委員から御指摘がありましたとおり、第811条の離縁の協議の当事者の今後の解釈や、離婚後共同親権との関係でどのような法改正があり得るかということや、それと連動して第815条の離縁の訴えを提起できる人は誰かということを考えてみる必要があるわけでして、その点と関連して、第5の1(2)で方向性が既に打ち出されている、養親の配偶者であり実父母の一人であるという人が親権を持つということについて、明確に言えないのですが、養子縁組の前と後で同じ親権なのか、いや、こういう場合の親権というのは、同じ実父母が持つ親権であっても、養子縁組によって性質を変えた親権と見るのかといったことと関係するように思います。仮に養子縁組によって何かしら性質が変わるといったような解釈をするなら、少し突飛かもしれませんけれども、離縁に関わる問題の解釈へも影響するかと思います。言いたいことは、この場面における実父母の一方の親権というものの性質なども考えてみて、離縁について何か工夫する、修正する可能性がないかといったことも考えた上で対処するというのがあり得るのだと思います。このように考えますと、これらの検討を今回の審議で行うのかということが課題になるという御指摘も先ほど出たのだと思いますので、その御意見に賛成です。
○窪田部会長代理 ありがとうございました。久保野幹事からは、養親の親権をめぐる問題については、例えば養親の親権喪失、あるいは離縁という方向で考えていくのが基本的な筋ではないかということを御指摘いただいた上で、多分法的な観点、法律学の観点からすごく大事な御指摘であったのが、第5の1(2)で、子の父母であって養親の配偶者である者についての親権というのは、これは元々親権を持っていたわけですが、その親権がそのまま継続してあるのか、そうではなくて、養親の親権に言わば付随するとか、派生するとか、由来するといったような形での、同じ親権であったとしても、新しく養親との関係で基礎づけられる親権と考えるのかというのが、先ほどの池田委員から御提案があった問題との関係でも重要なポイントとなるのではないかということの御指摘であったかと思います。久保野幹事からは、今これについて事務当局はどう考えるのかということを答えてほしいとか、そういう趣旨ではないと理解しているのですが、それでよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。
 大変に急かす形になって申し訳なかったのですけれども、一応第5、第6、第7についても御意見を伺ったという形にさせていただければと思います。先ほどから繰り返しておりますとおり、本日の段階では意見の集約を図るという必要はございませんので、事務当局から示されたたたき台に対して賛成の意見、また、一定の配慮が必要だといった御意見等もございましたけれども、それらの意見を含めて事務当局で検討してもらって、要綱案のたたき台を更にブラッシュアップしていただくという方向で対応させていただければと思います。
 大変恐縮でした。大村部会長の議事進行の方が安心感があるということを再認識しつつ、手際はよくなかったですが、最後まで御協力を頂いて、何とかたどり着くことができました。本日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。
 次回のスケジュール等について、事務当局から御説明をしていただきます。お願いします。

養親の親権はもっと議論深いはず

○北村幹事

 事務当局でございます。次回の会議は、令和5年10月31日火曜日、午後1時30分から午後5時30分までで開催させていただきたいと思います。場所は改めて御連絡いたします。今、部会長代理からも御指示いただきましたけれども、どのような資料を御用意させていただくかにつきましては、部会長、部会長代理と十分御相談をさせていただいた上で、事務当局の方で検討させていただければと思います。
○窪田部会長代理 それでは、法制審議会家族法制部会の第31回会議を閉会させていただきます。
 本日も熱心な御審議を賜りまして、どうもありがとうございました。
-了-

こうやって、ひととおりの検討が済んだわけね


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