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法制審家族法制部会第19回会議議事録9~武田委員・棚村委員・戒能委員・赤石委員

身体的暴力さえなければDVではないってわけではないと思うのだ

議論が沸くけど、議事録を読んでいこう!

○武田委員


 中身に関しては少し、今後の進め方というところの御検討を一旦引き取っていただいた後ということなので、余り個別の細かいこと、一応、部会資料19-1と部会資料19-2を読んできましたが、そこは具体的には次回見てというふうにさせていただきたいと思います。ただ、少し分かりにくいというところに関して、私が今、説明していて気付くところだけお話を差し上げたいと思います。
 やはり中間試案という表題が付いていますので、この中間試案の個々の論点でなくて、要はこの中間試案そのものに反対みたいな声ってやはり私に聞こえてくるのです。多分、分からないと思いますけれども、あれだけパターンがあるのに、例えば甲①案は賛成、甲②案は反対でもいいのですが、本来そういう論点ごとに意見があってしかるべきというふうに、私は当事者に説明していて、すごく感じる部分がありまして、やはり冒頭、この中間試案の位置付けですよね、なぜこういうふうな整理になったのか、パブコメに付するに当たって、そこの前提を多分きちんと御説明する工夫がまずは必要なのではなかろうかというところが私が思っているところです。
 なので、1点それと、あと、個別の話で言いますと、やはり監護権が非常に分かりづらい、非常に私は説明しづらいというのがあります。具体的な、ではどうしようというところに関しては、私も個別に今週、来週に掛けて、一般の当事者向けに説明会をやりますので、その意見も踏まえて、分かりやすくという観点であればどうできるかというのは、私なりに考えてまいりたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。具体的な御意見としては、やはり中間試案というものの性質についての説明が必要なのではないかという御意見を頂戴をいたしました。また個別の点につきましては、次回にと思います。

監護者指定廃止論を言ってくれればわかりやすいのに

○棚村委員

 先ほど小粥委員が確認したことにも関連しますけれども、基本的に法制審は法務大臣から諮問を受けて、一定の事項について、それに対して公正中立な立場で調査審議をして答申を出すという使命をもっておりますから、そういう意味では、それを貫くということを改めて確認をさせていただきたいと思います。そして、今後の進行とかいろいろなことでも、予定を大幅に変えるとか、内容を大幅に見直すとか、仕切り直すということはやめてほしいと思います。なぜかというと、また一からやり直すような修正を加え、せっかくの議論を蒸し返したりいろいろなことをすれば、せっかく積み重ねて絞ってまとめようとした努力が水の泡に帰す可能性があります。繰り返しますが、法制審の部会の存立の意義みたいなもの、役割みたいなものがいま問われており、これを認めてしまいますと、ほかの審議会、部会にも重大な影響を与えると思うので、申し訳ないのですが、先ほど言ったように、表現の仕方とか、それから、分かりにくさというのもどのレベルかというのはもちろんあると思いますけれども、原田委員もおっしゃっていたとおり、基本的な内容とか、それから進行も含めて、大幅に変えるのであれば、その理由とか根拠をきちんと示さないといけません。また、今日も、戒能委員からも出ていたと思いますけれども、報道で、ある政党の部会が了承しないから取りまとめができなかったというのではなくて、こういうふうに法制審の今の私たちの立場とか考えというものをやはりきちんと示す意味で、議論をしていくことで、私たちが自律的に決めた結果であることを示すことが大切だと思います。本日は、たまたま時間的にはなかなか取りまとめまでは行かなかったというのが、私たちの本日の議論でして、外の力で何かが決定されたというのはあってはならないことではないかと思うのです。
 そのところを確認した上で、今後どうするかということですけれども、これまでこれだけ時間を割いて慎重にかつ公正に、この部会での審議調査は進んできたと思います。そのことを否定することにならないように、また誰かが何か外部の人が言ったから、それが振出しに戻るとか仕切り直しになるということは、せめて、私たちの委員の間ではそういうことではないということを了解した上で、今後どういうふうに進めていくか、それから事務当局にも、こういう形でお願いしたいというようなことは出していただいて、拙速に何か進めるというわけではありませんけれども、逆に言うと、この機会を利用して、ではもう一回仕切り直しをして何かをやろうということになると、もう本当に先が見えなくなってしまって、かえって国民の方々に対して失礼なことになると思うのです。ここまでいろいろ議論をして、こういうふうに進んでいるのだということ毎回を示しておきながら、誰かの一声とか何かがあると振出しに戻るというのでは、国民のみなさんから、余りにも私たちとしての責任が果たせていないのではないかという不信感も招くと思います。ですから、私は字句とか表現とか、それから順番が分かりにくいというのであれば、そういうものを変えるということについてはやるべきだと思いますけれども、むしろ中間試案という形にして、議論の経過を早く国民に示した上で、国民の皆さんの意見をきちんと聴くべきだという思いです。
 できれば井上委員とか原田委員がおっしゃったような形で進められればよかったのですけれども、結果的には今日、いろいろな進行とか手続とか、今回の事態自体の客観的な状況の把握が今日になっていますから、たまたま、時間切れというと失礼な話なのですけれども、そうならざるを得ないという気持ちです。だからといって、今後予定をしていた進行とか内容とかというのをもう一回見直す必要は、私はないと思いますし、やるべきではないと思います。そんなことをやれば、事務当局も含めて、私たちが法制審議会家族法制部会として何をやっていたのか、これから何をすればいいかということも、外部の一声で左右されてしまうというのは、独立性とか私たちの責任を放棄していることになるのではないかと懸念します。そういう意味では、細かい議論というよりも、それを確認した上で今後どうするかということを部会として決めていきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。振出しに戻ってということは実際上あり得ないことだろうと思っております。皆さんの御意見もそういうことは想定していない、現在のものを十分に尊重して、その実質を損なわない形で更に改善できないかという工夫するというのが多くの方々の御意見だったのではないかと思っております。細かい議論よりも、そのスタンスを確認して進むべきではないかという御指摘だったと思いますが、ただ、まだ手が挙がっている方がいますので、まずお伺いしいと思います。

いろいろ反省は必要な気がする


○戒能委員


 では、短く。今、棚村委員のおっしゃったとおりだと私も思っております。何よりも大事なのは、研究者だけではなくて実務家、それから各方面の方々が集って、それで真摯に議論を重ねてきたということが大事であって、そこを大事にする。その際に、外部からの圧力による偏りがないかとか、中立性の確保ということが一番大事なことだと思っております。ですから、そういうこの部会としての基本的な姿勢を確認するという御提案には、全くそのとおりだと思っております。
 それで、細かいところということではないのですが、事務局へのお願いなのですが、ずっと変遷してきましたよね、最近だと18があって、そして19があってということで、そこに、これは字句の問題だけではなくて、共同親権という仕組みにした場合に監護権を決めるべきかどうかという議論のところなのですけれども、そこの表現が少し質的な転換をしてしまっているのではないかという危惧があるのです。最初は選択の自由というのがあった、それがいつの間にか、べきであるになって、補足説明のところを見たら、禁止するという表現になっているのです。ですから、そういうところのチェックを事務局で、論理的な整合性がきちんとあるのかということをパブコメの前にはきちんと見ていただきたい。私の誤解かもしれませんので、その辺、そういう誤解をする人がいないとも限りませんので、何かおかしいなとならないように、チェックは重々にしていただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からの御指摘もありましたので、補足説明の方も全体として見直していただくということになろうかと思いますが、100ページに及ぶ説明を夏の間にお書きになるのは大変なことだったと思います。それをまた新たな観点を加えて、より分かりやすくするためにはどうしたらよいかということでレビューしていただくということになりますので、なかなか大変な作業をお願いするということになるだろうと思います。その枠内で御要望にできるだけこたえていただくようにお願いをさせていただきたいと思います。
 そのほか、御発言があれば伺いたいと思います。

監護者指定禁止が盛り込まれている?!

○赤石委員


 ありがとうございます。しんぐるまざあず・ふぉーらむの赤石でございます。先ほど池田委員もおっしゃったところなのですけれども、見え消し版の3ページ、3(2)アのところです。私は法律知識がないひとり親の支援団体の者なのですけれども、民法の820条から823条までというのが括弧書きの中にあるのですけれども、身上監護に関する権利義務、後ろに注記をしていただいてありがとうございました、意見を一部取り入れていただいているとは思うのですけれども、タイトルだけでも820条から823条まで入れていただくことはできないのかなと私は思っております。確かに身上監護のところが結局、教育というような文言があっても、ほかの内容についてはタイトルにないので、かえって誤解を生むという思いもおありなのかなと思いつつ、でも、何もないと本当に分からなくて、当事者の方が読んでこれを分かるという人はかなり高度な方なのではないかと思っております。ここら辺がすごく大事なところでもありますので、工夫いただけたら有り難いです。取りあえずは、そういうことでございます。
○大村部会長 ありがとうございます。赤石委員からも先ほどの池田委員の御指摘と重なる形で、表現上の改善について御意見を頂きましたので、少し御検討を頂ければと思います。
 ほかに何か今日のところで御発言はございますでしょうか。

法律家は困っていないとは思う





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