見出し画像

法制審家族法制部会第5回会議議事録3~畑委員・今津幹事・杉山幹事

昨日の共同親権訴訟Dayは期日傍聴も満席集会も盛会となった

さっそく記事になっている

選挙応援していかないとね、という一体感で包まれていく

集会レポも反響多くありがたい

国賠期日の余韻も冷めない

でも、法制審議事録読み進めまーす 10月5日ウェビナーまでそんなにないと、気づく・・・一応間に合わせていく!

○畑委員 

 畑でございます。手続法の観点から若干コメントしておきたいと思います。直前に水野委員がおっしゃった新しいアイデアにつきましては,直ちにコメントする用意がございませんので,また考えてみたいと思っております。
 資料の順番でいきますと,13ページにADRのことが書いてありまして,何人かの方から既に議論が出ております。私もADRの活用でうまく問題が解決されるというのは非常に望ましいと思っておりますが,ただ,これは原田委員がおっしゃったのでしょうか,それを,例えばADR前置というふうなことになると,またなかなか問題も,かえって手続が長引くというふうなこともありますので,その辺りの制度設計はいろいろ考える必要があるかなと思いました。
 それから,13ページの(注)にありますように,ADRの結果を債務名義化するということについては,現在,別の部会で議論がされておりますので,そこについても我々としても注意を払っていくということになるのかなと思いました。なお,13ページの(注)の2行目の執行手続を経るというのは,執行決定を経る,であろうかと思います。
 それから,14ページの,これも先ほどから言及があります住基ネット等の話でありますが,確かに住基ネットがいいのか,原田委員がおっしゃったような戸籍の附票を取り入れるのがいいのかという辺りは,どちらが便利かという辺りは私には判断できませんが,この種の仕組みというのはあり得ると思います。ただ,取り分け①で扱われている問題というのは非常に一般的な問題で,相手がどこにいるか分からなくて困るというのは非常に一般的な問題ですので,一般的な問題として解決するということもあり得ますが,今回我々が扱っているような問題に即して何か手当てを考えるとした場合,どの範囲かというのはなかなか難しいところがあるかなと思っております。
 ①は子の監護に関する手続となっていて,②の方は養育費に関するとなっていて,この二つで微妙に範囲が資料上,異なっておりまして,ここも少し考え所かなと思っております。取り分けやはり特別扱いというのは養育費の関係かなというふうな感触もありますが,現時点での感触ということです。それから,②の公示送達につきましては,これも原田委員からの御紹介にありましたけれども,実際上は相手方に分からない間に裁判なりがされてしまうという面がありますので,債務名義の形成ということに当たっては少し慎重に考える必要もあるかなとは思っております。後々かえって紛争を生じるというふうなこともあり得るかとも思われます。元々この公示送達において申立人にいろいろな負担が掛かるというのも,法律でそう書いてあるというわけではなくて,解釈,運用の問題ですので,一律にこの場合はこうと法律で書いてしまうというよりは,解釈,運用によって問題をある程度解消するということも考えられるのかなという気はしております。
 それから,15ページの養育費に関する審理の話です。具体的に挙がっているのは,①が調査嘱託等です。調査嘱託等につきまして応じる義務があるというふうなことは,多くのものの本に書いてありますので,明文化するということは考えられるとは思いますが,これも非常に一般的な問題の一環でありますので,ここで子の監護に関しては義務があるという規定を置くというのは,かえって少し妙ではないかという気もするので,もし何か規定を置くとすれば,書き方は少し注意を要するかと思います。それから,何か書くとしても,一般的に言われているのは,恐らく正当な事由がない限りは応じる義務があるとか,そういうふうなことが多くの文献に書かれているのではないかと思い,書くとしてもそういうことかなと思われますが,そうすると,また正当な事由とは何かといった解釈問題は残ることにはなると思いますが,書くとしてもそのぐらいが限度かなという気がしております。
 それから,その下の②の養育費の算定の話ですが,これが手続の問題なのか実体の問題なのかというのもよく分からないところがあり,これも感触だけですが,取り分け資料の開示に消極的な側がいる場合に,何かしら一定の,資料が少ない中でも認定するというふうなことは,直感的にはあり得るかなとは思っております。
 それから,16ページに面会交流の暫定的な実施のようなことが書いてあります。これも手続プロパーの問題としては,こういう制度を設けるということはできるだろうと思うのですが,これに伴って実際上どういうメリット,デメリットがあるのかという辺りは,私としては何とも言えないというところであります。
 それから,17ページの執行の辺りの話でありますが,①,②辺り,これも立法ですから,こういう仕組みを設けるということは考えられるようには思います。ただ,一方当事者に対する非常にきめ細かいサービスというふうなことがここでは必要になってきているように思われまして,これも確たるイメージがあるわけではないですが,事柄の性質としては,むしろ行政的なサポートのようなことも考えられるかなというふうな気はしております。行政がサポートするという考え方を延長していくと,その下の(注1)にあるような立替え払いとか強制徴収とかいった話につながるのだろうとは思いますけれども,そういうことも考えられるかなという気はしております。
 それから,その次の③の履行勧告,履行命令でありますが,これもあり得るとは思うのですが,取り分け履行命令は少し中途半端な制度になっているというところがあるように思います。強制執行と履行勧告との間にあって,やや中途半端な制度になっているような気がいたしまして,これを過料の額を多少引き上げるということでそれほど効果が変わるのかなというのは,少しよく分からないような気はしております。最後に,19ページの③に,面会交流についてのより強力な強制執行のようなことの可能性というふうなことが書かれております。私も一般的に言えばそういうことはあり得ると思いますし,例えば,適切に定められた審判の内容というものは実現されるということは基本的には望ましいとは思っております。ただ,これも従来指摘されてきているところですが,やはりうまくいかないと非常に弊害を生じやすいというところがありますので,そういうことが生じないような手当てが当然ながら同時に必要になってくるということを改めて一応申し上げておくということであります。
 長くなりまして恐縮ですが,以上です。
○大村部会長 ありがとうございました。手続全般につきまして多数の御指摘を頂きました。そのうち面会交流に係る部分につきましては,また後で御議論を頂こうと思っておりますので,そのときにも御発言を頂ければと思います。その他の点につきましては,ADRについては既に出ている前置や債務名義の問題について,なお考える必要があるであろうということ,それから,住基ネットや公示送達,調査嘱託については,ここでの問題と一般
的な問題との関係をどう考えるのかといった御指摘がございました。それから,履行勧告制度,履行命令制度等について,現在のものについての評価に係る御発言を頂きました。
 それから,行政の方でやるべき問題もあるのではないかといった御指摘も頂いたところかと思います。
 予定していた時刻を過ぎておりますけれども,手続に関わる問題で,今津幹事と杉山幹事からお手が挙がっておりますので,今の畑委員の御発言と重複しない問題につきまして,簡潔に御指摘を頂ければと思います。


○今津幹事

 東北大の今津です。3点ほど発言させていただければと思います。
 まず,13ページに言及されている仲裁法制部会での議論との関係で,そちらでも債務名義の種類を増やすという意味で,調停にも執行力付与を認めてはどうかという議論が出ているということを伺っております。そこでの部会の議論では,少なくとも養育費に関しては執行力付与という方向で見ていいのではないかという議論が出ていたように思います。
 私自身もそういうふうに思っております。逆に言えば,面会交流の方はこういった,より広い形での執行力の付与ということになりますと,執行してしまった後の取り返しが付くかどうかというところで,少し金銭の支払とは異なる側面もありますので,方向としては,養育費には少なくとも債務名義化を拡大する方向でいいのではないかという印象を持っております。
 それから,資料の16ページ以下で,執行の実効性の確保に向けたいろいろ御提案をしていただいているところですけれども,たとえ債務名義があっても,それが使えないと意味がないわけですので,方向性としては非常に,この部会でもきちんと議論をしていきたいと思っております。執行手続がきちんとしているということが前提になれば,任意の履行が促されるという効果もあると思いますので,非常に重要な議論だと思っております。
 ただ,気になる点として,執行するということの前提に,権利があるからそれを実現するという考え方があると思うのですけれども,問題は,その権利があるということがはっきりしているかどうかというと,現状ではなかなか,養育費にせよ,面会交流にせよ,誰の権利かというところでいろいろな議論があったりしますので,権利がきちんとあるのだということがはっきりした上で,ではそれを実際に確実に履行しましょうという,そういった裏付けがあれば,執行の実効性確保というところにも議論が進みやすいと思いますので,実体的な権利の部分についても部会できちんと議論ができればと思っております。
 それから,もう1点ですけれども,既に議論が出ている裁判所の夜間,休日にやってもらいたいとか,オンラインでやってもらいたいとかいう点ですけれども,これは畑先生からも御指摘があったように,この場面に限らず,恐らく一般的にそういうニーズはあるのだろうと思います。それをこの場面でなぜ特別扱いするのかという,そういった議論は当然出てくるかと思うのですけれども,そこはやはり,権利者に対して権利をより強化するというか,手助けをするということではなく,子どものためのものであると考えれば,一方当事者に肩入れしているというようなことではなく,最終的に子どもの利益を実現するために後見的な関与をするのだと,そういった方向での正当化は可能であろうと考えますので,国家は,あるいは法は家庭には立ち入らないのですよという時代では,もうないのではないかと私自身は思いますので,そういった方向で議論ができればと思っております。
○大村部会長 ありがとうございます。

○杉山幹事

 なるべく重ならないようにということでありますけれども,私自身,水野委員がおっしゃったように,養育費についての債務名義の作成から回収に至るまで,なるべく簡易にできる手続を設けるのは望ましいと思って,ただ,そのような制度をゼロから作るというよりは,現行の裁判手続ないしは執行手続を,なるべく申立ての回数を減らして,迅速な審理を可能にするという形で実現していくというのが一つの方向性としてあり得るのではないかと思います。少なくとも取決めに関しては,自動算定の話はございますけれども,裁判所ないしはADR機関,しかも適正なADR機関が介入するのが望ましく,さらには,ADR機関での判断に執行力を付与する方向性で議論していくということが望ましいと思います。今のように裁判外での取決めを債務名義にするために,裁判所で即決和解ないしは調停を求めるというのでは,裁判所でどのような審査をしていいのかが明らかではなく,執行力を付与したうえで執行決定という形で裁判所が関与していく制度を構築していくのが望ましいと思います。
 14ページ,15ページにありますような,相手方の住所,送達先が分からない,ないしは収入が分からないゆえに調停や審判が進まないという問題は,できる限り裁判所による職権の手続で解消すべきと思いますので,方向性は賛成をいたします。ただ,ほかの手続にも影響を与える可能性はありますが,養育費の問題に限っての特則としての手続を用意する方向で検討していくことがよいのではないかと思います。
 執行手続との関係でも,何回も申立てをしなければならないという問題があります。現在は情報取得のための制度もございますけれども,その都度申立てをしなければならないという負担がございますので,なるべく1回の包括的な申立てを可能として,その後,裁判所が主導して手続を進めていくということが望ましいと思います。ただ,17ページの①,②についてですが,相手方から自動的に取得することができる情報が少し広すぎるような印象も抱いておりますので,もう少しこの辺りはバランスを図っていく必要性はあろうかと思います。
 最後に,もしかしたら面会交流とも関わるかもしれませんけれども,18ページの(注3)にあるように,養育費の不払い等があった場合の制裁の制度についてです。17ページに書かれているように,履行命令の過料の引き上げなどは考えられると思いますし,民事執行ですと間接強制の制度,強制金の支払いを命ずる制度もございますけれども,それ以外にも,例えば間接強制の別の強制の仕方として金銭の支払い以外の何か別のペナルティを課す制度を考えていくこともあり得るのではないかと思っております。
簡単ではございますけれども,以上です。
○大村部会長 ありがとうございます。今津幹事,杉山幹事からもたくさん御指摘を頂きましたけれども,畑委員の御指摘との関係で言うと,子どものためにということで他の手続と区別して特別な扱いができることがあるのではないかという御指摘,あるいは,全体として申立ての回数を減らすという方向で考えるべきだというような御指摘を頂きました。
 それから,今までに出ていないところで申しますと,最後に杉山幹事が触れられた制裁の問題などもあるという御指摘もあったかと思います。
 急がせてしまって申し訳ないのですけれども,御発言はまだあろうかと思いますけれども,養育費の問題につきましては今回はこの程度で打ち切らせていただきまして,次の機会にさらに御議論を頂きたいと思います。
 それで,次は面会交流ですけれども,1時間ほどたちましたので,ここで10分ほど,今,14時28分ですので,14時40分まで休憩いたしまして,その後,面会交流の議論をしたいと思います。
では,休憩をいたします。
(休 憩)

親子に優しい世界に向かって,日々発信しています☆ サポートいただけると励みになります!!いただいたサポートは,恩送りとして,さらに強化した知恵と工夫のお届けに役立たせていただきます!