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法制審議会家族法制部会第35回会議議事録読む4~落合委員・畑委員・柿本委員

朝から嬉しいお届け物

チーム国賠である

フレンドリーペアレントルール見抜く

共同親権の向こう側へ ようやく

シンポジウム素晴らしかった

思い出を振り返りながら

議事録読みが大事である
新家族法の使い方が書いてあるのは議事録

○落合委員

 ありがとうございます。委員の落合です。DV、虐待というようなことに最初から皆さん非常に関心を持ってきましたので、この要綱案の中に一貫してそれが取り上げられているのかということに注目しながら、見直しをしてみました。そのことについて少し意見を述べたいと思います。
 この第2の1と2、それから第4という辺りに特に関係してくると思うのですけれども、第2の1の場合は、(1)のウの急迫の事情というところで皆さんお話しされているところだと思います。しかし、ここではDV、虐待というようなことを、明示されているわけではありませんね。かつ、ここでは子の利益のためというふうになっていまして、配偶者間の暴力ということは二の次に回るのではないかというような懸念を持ってしまいます。
 最初に言っておくべきことだったのですけれども、DV、虐待ということとの関連を再検討するというところで、私が気になっていますことは、一つはDV法との一貫性です。これについては二通り考えがあると思いまして、一貫するのがいいのか、完全に一致しない方がいいのではないかというのと両方あると思うんですね。赤石委員がおっしゃっていたように、DV法の方はそちらで目的があるわけですから、その定義をそのまま持ってくるのがよいのか悪いのか、それはきちんとここで考えておかねばならないことだと思っています。ちょうど要綱案の全体がまとまってきましたので、この機会にその目で見直したいと思います。
 もう1点、全体について見るべきことは、こどもに対する暴力なのか、それとも配偶者間の暴力ということも十分問題にしていくかというところに、揺れがあるように思うのです。配偶者間の暴力ということも非常に深刻なことですので、様々なことを実施する上で関わってくることですので、それを見落とさないようにしたいというのが、私が気になっていることです。その面で、第2の1のウ、この急迫の事情というところを見直しますと、DV等ということが明言されていないということと、子の利益のためということが全面化していまして、例えばこどもの利益のためはともかく、一緒に親権を共同して行っていると、相手への暴力を行ってしまうというようなケースがあったときに、これを排除できるのかというところに少々懸念を持ちます。
 では、第2の2なのですけれども、第2の2の(1)のキは、一番DV等に対する懸念が一番はっきり文章化されたところですね。その点は私も評価するのですけれども、この①と②というのの書きぶりの一貫性がないと思うのですよね。①はこどもに対する暴力等ですね。②は配偶者間の暴力等ですね。その場合に、文章表現などが対応する、もっと対応するべきなのではないか。①の方ですと、「心身に害悪」というような表現になっている。②の方ですと、「身体に対する暴力」がまず特記されていて、それからその他心身ということになっておりますね。これも既に指摘のあったことなのですけれども、この②で「身体に対する暴力」というのを特筆するということはどのぐらい重要なのでしょうか。①と②の書き方の一貫性ということが気になります。
 先ほどのところに戻りますと、②が書かれている配偶者間での暴力というものが書かれているのであれば、先ほどの第2の1の急迫の事情というようなところも、「子の利益のため」というふうに明示されているために、この配偶者間というのが落ちてしまっているわけですよね。そこは何かの形でそれを、配偶者間で問題を起こすような人も、やはり親権の共同行使は難しいということで加えるべきなのではないかと考えます。
 それから、第4の親子交流のところでも、DVというようなことが非常に大きな関心事なのですけれども、それがはっきり見えないような形になっているのがちょっと心配なところです。
 1は父母の婚姻中の親子交流、2は試行的実施についてですよね。一般的に実施している親子交流については項目が立っていないのですけれども、それでいいのですか。一般的な項目が立つとしたら、その中で、DV的なことがある場合は、それを止めるとか実施しないというようなことが明記されるべきであろうと思うのですね。かつそれに付随して婚姻中の親子交流や試行的実施の場合にも。そのような構成になっていないところが、親子交流に関して心配しているところです。
○大村部会長 ありがとうございました。落合委員からは、DVや虐待に対する対応を図るという観点から、全体としての規律の整合性をチェックするということが必要ではないかという総論的な御判断に基づいて、三つの点について具体的な御意見を頂いたものと受け止めました。
 一つ目が、急迫というところで、先ほどからほかの委員からも出ているところですけれども、DV・虐待の問題が見えにくいのではないかという御指摘だったかと思います。
 二つ目が、第2の2の(1)の①、②とが整合性がとれていないのではないかといった御指摘だったかと思います。おっしゃったことはよく分かるのですけれども、他方、①、②は多分、案としては現行法の他の規定と整合性をとるという形で、このようなものが置かれていると思いますので、この中での整合性をどうするのかということと、外部の他の規定との整合性をどうするのかということを併せて考える必要があるのかと思って伺いました。
 それからもう一つ、最後に、第4についてですね。親子交流のところについても、DVに対する配慮がこれで大丈夫だろうかという御指摘を頂いたと受け止めさせていただきました。
○落合委員 一つだけ付け加えさせてください。第2の1の急迫の事情についてのところで、配偶者間の暴力についての記載がないということも申したつもりです。
○大村部会長 はい、分かりました。これでは配偶者に対するものが入らないのではないかという懸念を示されたということでよろしいでしょうか。
○落合委員 はい。よろしくお願いします。
○大村部会長 はい、分かりました。

DV対策するなら共同監護計画策定必須にしないと、って気づいたよ

○畑委員

 畑でございます。私からは、第3の2の法定養育費のところで書かれていることについて、2点だけ申し上げます。
 まず、1点目は、先ほどから少し話題に出ておりますが、法定養育費の(1)のただし書というのでしょうか、全部又は一部の支払拒絶の話です。
  先ほど最高裁からもお話がありましたように、私も執行手続における審理、決定手続における審理というのが余り複雑困難なことになるというのは適当ではないだろうという感じは持っております。ただ、全部の支払拒絶か一部の支払拒絶かというのは、ちょっとそういう面では程度問題というところもあるような気もいたします。それからまた、もしこのような実体法ができるのだとすれば、それについて、取り分け決定手続において余り複雑困難なことにならないような解釈適用を考えていただくということも考えられるかなと思いましたし、こういう実体法を作るのであれば、そういう解釈適用は許容されるということになるのではないかとも考えているところです。
 若干付言いたしますと、このただし書というのは、もしできれば、ある種の延期的抗弁みたいなものになるのではないか。すなわち、訴訟法的には権利抗弁などと呼んだりするものになりそうでありまして、恐らくこれは債務者の側が出てきて、こういうことを主張してきたときに初めて問題になるということになるのではないかと考えております。
 それから、もう1点、5ページの一番下の(注2)でありますが、債務者の審尋ということが書かれております。恐らくこれは、今まで債務者側の手続保障について何らかの手当てが必要ではないかということが議論されてきたことの一つのまとめかなと思っております。
 私としては、今までも発言したことがあったと思うのですが、法律のレベルの話ではなくて、恐らく裁判所規則の問題なので、この審議会の直接の対象ではないと思いますが、債務者に対する手続的な教示について、現在、一定の規定が置かれておりますけれども、取り分け一般先取特権の実行ということになると、債務者の側から見てもかなり複雑という面もございますので、手続的な教示をもう少し充実させるということも、もしこういう立法がされるのであれば考えてしかるべきかなという感じはしております。
○大村部会長 ありがとうございます。畑委員からは、第3の2の法定養育費について2点御意見を頂いたかと思います。
 一つ目は、【P】が付いているところについて、全部又は一部ということで、全部に限るべきだという御意見もあったけれども、全部、一部はある意味では程度問題であって、立法がなされれば適切な運用で対応していただくということも可能なのではないかという御意見だったかと思います。
 もう一つは、(注2)に関連する形で、手続的な教示というものを進めていくということも考えられてしかるべきではないかという御意見を頂戴したかと思います。
 まだ手を挙げてられる方いらっしゃいますけれども、ちょうど頃よいところなので、休憩させていただいて、更に御意見を頂戴したいと思います。ただいま14時48分ですので、10分ほど休憩いたしまして、15時に再開したいと思います。休憩いたします。
 
          (休     憩)
 
○大村部会長 それでは、再開したいと思いますので、お願いいたします。
 休憩前に、第2から第7までについて御意見を頂戴しておりましたけれども、引き続き第2から第7までについて御意見を頂きたいと思います。御発言ある方は挙手をお願いできればと思います。

法定養育費も手続は複雑なの?

○柿本委員

 柿本でございます。私からは、3点ございます。
 先ほどの落合委員と重なるところもありますが、意見を述べさせていただきます。
 まず1点、第2の1の(1)というか、1全般についてでございますが、こどもの安全、こどもの利益を守るためには実際に監護する親の安全と安心の保障も重要であると考えます。これは、法律家ではない、市民の感覚でございます。
 そして、その急迫の事情について必要性とか相当性など、具体的にどのような場合を指すのかは、ブレがないように定義しておくべきと考えます。
 それから、2点目でございますが、2のクのところでございます。当該協議の経過を考慮するに当たって、いろいろなことが挙げられておりますが、これの例えば裁判外紛争手続(ADR)などについて、以前、ある弁護士の方が、裁判外紛争解決手続を手段として挙げていらっしゃったのを取り下げたこともあったように記憶しております。ですから、いろいろな事情を勘案するというふうに書いていただいているのですけれども、それぞれ情報として足りるようなものが用意できるかどうかというのが私には疑問です。
 3点目は、法定養育費のところでございます。著しく窮迫したことを証明したときは、全部又は一部の支払を拒むことができるというところ、私は一部が入っていてもよいのではないかと考えます。
○大村部会長 ありがとうございます。柿本委員から3点御指摘いただきました。
 第1点は、急迫の事情についてですね。落合委員の御発言に言及されましたけれども、親の安心・安全ということが重要だという御指摘を頂きました。
 それから、3点目の法定養育費については、【P】になっている部分、一部というのが入った方がいいのではないかという御意見を頂戴しました。
 間の2番目の御意見なのですけれども、第2の2のクについて御意見を頂いたと思うのですけれども、ここで不十分だといった御指摘されたのは、具体的には……
○柿本委員 ごめんなさい。ADR手続とかそれ以外のものも、利用の促進に関する法律などはできていても、現時点では実効性のあるものなのかどうか不明であるということでございます。
○大村部会長 ここで挙がっている第三者が関与する手続の実効性を確保する必要があるのではないかという御意見として承りました。
 ほかにはいかがでございましょうか。
 では、石綿幹事、それから佐野幹事ですね。

結局要綱案反対意見になったんだっけ?

○石綿幹事

 幹事の石綿です。基本的にゴシックには賛成で、解釈のレベルの話で五つ、細かいですが、指摘させていただければと思います。
 まず、今日、問題になっている第2の1の(1)のウの急迫の事情ですが、この点については前回の沖野委員の御発言の整理のように理解しておりまして、協議をしているということでは時間的に間に合わない、そのことは比較的広く解し得るのではないかというふうに前回、沖野委員の御発言もあったかと思いますし、私もその理解に立っておりますので、現状の文言でよろしいのではないかなというふうに理解をしています。
 それに関連して、2点目が、先ほど赤石委員からも出た、一方が単独で行ってしまった場合の扱いについてです。繰り返し申し上げている気がしますが、現状、民法第825条がありますが、それは共同名義でした場合ということですので、それ以外の場合はどうなるのか。特に規律を設けないということがこのゴシックの方針だと思いますので、規律を設けないのであれば、解釈論的にどのような対応方法があり得るのかということは、現状の学説の議論も含めて整理をしていただければ有り難いと思います。それが2点目です。
 3点目が、第2の2の(1)のエの認知についてです。これも赤石委員の御指摘にあった、現状、未成年の子の認知は父が単独でできてしまうということとの関係です。ここでは認知制度の改正には踏み込まないということかと思いますが、私自身はその御懸念の点、父が一方的に認知をしてしまったというような事情は、キの部分で父、父母と子との関係や父と母との関係というところで考慮し得るのだということ、そこでこどもや母の意に反した認知があったという事情は十分に考慮され得るのではないかというふうに解しておりますが、そのような解釈で問題ないのかということは御確認いただけると有り難いなと思います。それが3点目でございます。
 4点目が、第3の2の法定養育費の(1)のエについてで、法定養育費の終期ですが、請求者が子の監護を主として行わなくなったときとは、これは誰との比較なのかということが気になっております。基本的に請求者と相手方の関係なのだと思いますが、部会資料35-2の12ページの下から2段落目ですかね、「なお」からのところにあるように、養子縁組した場合を終期とすることも考えられ得るというような考え方が出ていますが、いわゆる連れ子養子縁組をしたような場合というのが、このエに当たり得る可能性があるのか、あるいはそれは別途なのかといったようなことは、解釈論上整理をしておいた方がよいのかなと思います。それが4点目です。
 最後、5で養子縁組に関する規律、第5の2の【P】というところ、2の(1)はこのような規律の形で設けていただくということが好ましいかと思います。
 細かく分けると二つ指摘がありまして、一つ目は、向井幹事がおっしゃった「特に必要がある」を明確にする、関心を失った場合どうなるのかということです。このような規律が設けられる趣旨というのは、補足説明によると、従前から監護をしていた人が監護できなくなるというようなことを防ぐというのがそもそもあって、それとの関係、バランス等を考えると、養育に関心を失っているような場合というのは、特に必要があると認められる場合に入るのではないかと私は個人的には考えておりますが、その辺りも整理していただければと思います。
 それに併せまして、2の(1)のような規律が入るのであれば、補足説明の方の24から25ページにかけて記述があるように、監護者が指定されている場合についても監護者が同意をしていなくても養子縁組ができるための調整の制度を設けること、つまり、同意に代わる審判をするという規律を設けるというのがバランスのとれたものになるかと思いますので、これの規律の新設も御検討いただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございました。石綿幹事からは、ゴシックの部分については基本的に賛成であるという御意見を頂いた上で、5点について個別の御意見、解釈に関する御意見を頂戴しました。
 まず最初は、急迫の事情というので、これは広く解し得るという前回だったでしょうか、沖野委員の発言に賛成であって、そのように解し得るのではないかということですね。
 それから、2番目、3番目が、先ほどの赤石委員御指摘の点と関わりますけれども、第825条との関係で調整を要する、解釈が必要なのではないかという御指摘と、認知の問題は、ここでは対象外だと申し上げましたけれども、ここでの問題との関係でいうと、キの解釈の中に反映させることができると考えられるのではないかという解釈を示されたということですね。
 そして、4番目、5番目は養子関係でしたけれども、4番目は法定養育費のところの2の(1)のエに連れ子養子のような場合が含まれるのかどうなのかということを明らかにする必要があるのではないか。そして、5番目は、第5の2の【P】になっているところで、先ほど向井幹事から出ていた関心を失ったといったケースはこれに当たるのではないかという御意見を頂きました。あわせて、補足説明の方に出てくる監護者が指定されている場合についても、ここの提案と平仄を合わせる規定を置いた方がいいのではないかという御意見を頂戴しました。これで漏れていないでしょうか。

一方的な認知はたしかにできるけど、かといって父子関係あるのに、母の意向で父子関係を否定
みたいなこともできないよね???

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