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法制審議会家族法制部会第32回会議議事録読む9~原田委員・小粥委員・大石委員・落合委員・北村幹事

夫婦別姓の前進にもなる共同親権民法改正


 人質司法の恐ろしさよ

家裁は、変わってきているのか

ポロポロ本音が発見されていく

今日で議事録読み一区切り
さて

○原田委員


 今、御報告にもあった情報開示の手続の問題で、これは訴えだけになっておりますけれども、やはり夫婦関係調整調停でも実務上は非常に問題になるところです。もちろん夫婦関係調整といっても円満調停の場合があったり、離婚の場合があったり、あるいは離婚自体に合意ができていないから、それ以上は要らないというような場合、いろいろな場合があることはありますが、しかし、やはり養育費が決まらないと離婚できないというケースも結構ありますので、別に申立てをするということになりますと、その間ブランクがあることになって、法定養育費という制度があったにしても、多い少ないという問題がありますし、それから、婚姻費用が決まっているというか、債務名義として決まっていなくても事実上婚姻費用が払われているという場合に、一旦離婚してしまいますと、それはなくなるということもありますので、やはり一度で解決できるという点では、夫婦関係調整調停にも入れていただきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。制度の範囲についての御意見を頂戴いたしました。
 そのほか、いかがでしょうか。

婚費地獄じゃなければ早く決まったりして

○小粥委員

 枝葉のことになるのですけれども、第1や第2、特に第2の制度、もし首尾よく制度ができるということになりますと、この法定養育費、金額として確定して債権になりますと、もはや一身専属権でもないということになって、代位弁済とかそういうことが可能になると思うのです。つまり、行政による取立て制度などを設けるための民事法制上の準備というのはもうできている状況ではないかと思うということを言っておきたいということだけです。
○大村部会長 ありがとうございます。法定養育費というものが持つ意味についての御指摘を頂いたかと思います。
 ほかにはいかがでしょうか。

行政による取立て制度に繋がる?!

○大石委員

 委員の大石です。ありがとうございます。先ほどの監護権の所在の話とも関わるのですけれども、やはり監護に要する費用の分担ということで、ここでいう監護の範囲ということについて、もう少しきちんと議論する必要があるのではないかと思っています。
 それから、例えば共同親権あるいは共同養育をしている場合に、父母双方に、例えばそれぞれこども部屋を用意するといった費用が発生するかもしれないわけで、そういう場合において法定養育費というものをどのように設定していけばいいのか、誰が誰に払うのかといったところについての議論がまだ十分に行われていないように考えておりますので、もう少し詰めていただきたいというのが希望です。
 それから、一方が支払能力を欠くためにという、生活が著しく窮迫するというところについてですけれども、そのレベルについてどのようにして証明するというのでしょうか、要件をやはりもう少ししっかり書き込んでいかないといけないのではないかと思いまして、例えば海外の事例とかを見ておりますと、長期的な疾病であるとか、あるいはDV被害者であるとか、そういった要件が出ている場合もあります。そういう判断について、ある程度具体性ある記述が必要ではないかと思います。
 それから、生活のひっ迫度ということなのですけれども、やはり免除というか、支払わなくてもよいとする基準に関してはある程度、生活保護水準ですとか、具体的に生活保護を受給することであるかとか、何らかの具体的な指標がないといけないのではないかともいます。単なる低所得ということになりますと、収入というのは操作できてしまうという面もありますから。生活保護ということになりますと、それは公的扶助を受けているということですから、公費で生計を立てているということになると、やはりそのぐらいであれば免除される水準になると思います。また、生活保護を受けるということについては貯金ができないとか、いろいろな制約がある中で暮らすということになりますから、あえてそれでも生活保護を受給しているということでハードルが上がります。ただ、恐らく現役世代で生活保護を受給できるということは、基本的には疾病であるといった事情があると推測されます。現役世代はそう簡単に生活保護を受給できるものではありませんから、かなり厳しい状況にある人ということで、当然にその場合は法定養育費の支払は免除されるといったこともあってもよいのではないかと私自身は考えています。ただ、それと併せて、そういうケースであれば何らかの形でこどもの生活をサポートするような公的な別のシステムというものが構築されるべきだとも考えております。
○大村部会長 ありがとうございます。大石委員からは、法定養育費、ゴシックの部分でいうと本文の部分とただし書の部分の双方について、基準をより明確にする必要があるのではないかという方向の御意見を頂戴したと理解を致しました。ただし書について幾つかのことを御指摘いただいたのですけれども、それらについてどのように判断するのかという問題は確かにあるのだろうと思います。それとは別に、本文の方の子の監護に要する費用について、これは事務当局の方から子の監護に要する費用ということをどういう前提で考えているのか、大石委員からは具体的な費用を念頭に置かれて、こういうものが入るのか、入らないのかといったことを考える必要があるのではないかという御質問を頂いたかと思いますけれども、家裁実務などをベースにして考えたときに、子の監護に要する費用を今までどのように考えてきたのかということについて、少し補足的に説明をしていただいた方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 次回にしますか。分かりました。それでは、今の点については議論の前提にも関わりますので、次回、補足の説明をしていただくということにしたいと思います。
 ほかに何かありますか。

共同監護のときの監護費用の分担は課題よね

○落合委員 

委員の落合です。今、大石委員がおっしゃったことに関連してなのですけれども、監護者指定をしていない場合で、これから協力して監護をしていきましょうというような取決めをした場合、この費用は半額になるのでしょうか一方が監護をフルにしているということで、この法定養育費というのを決めるとすると、共同親権にして監護も協力してやってきますというときは、支払は半額になるわけですかね、それとも、両方とも監護に関わるから支払なしということになるのでしょうか、という辺りが少し連動してくるかなと思いました。
 あと、今の生活保護などの基準を設けるということに私も賛成でして、特に賛成なのはその後おっしゃったことで、それで免除されるときには、社会保障的な枠組みか、何か別の枠組みで、その法定養育費に当たるような費用がきちんとこどもに渡るようにする仕組みが必要だということを付け加えておきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。落合委員の御指摘は、2点目は大石委員もおっしゃっていたことで、私人間の民法上の問題として処理できない問題が残るので、公的な対応が必要だという御意見として承りました。1点目は、ベースになる監護費用の分担ということについてどのように考えるのかと、それが法定養育費とどのように関わってくるのかということなので、これもやはり前提になっているところについて少し、併せて御説明していただき、その上で議論するというのがよいかと思います。

自分で監護しているときは当然分担しているしねー

○北村幹事

 事務当局でございます。前提の議論を補足させていただければと思います。既に皆さん御理解の上と思いますけれども、飽くまでこの法定養育費については、父母間で養育費についての合意ができない場合の補完的なものということでの議論を頂いてございました。通常、監護について様々な合意をするのであれば養育費についても合意ができるというのを前提に、それであれば、合意した部分については一定額の先取特権を付すという形で養育費の権利を強くする、さらに、合意ができないような場合について何らかの手当ができないかということで御議論いただいていたというものでございます。そういうものを前提に御議論いただければと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。今の御議論は、法定養育費というものの位置づけについてなのですけれども、そもそも監護費用というのが何であって、その分担について現在どういう考え方が採られているのかということについて、少し確認をした方がよいかと思いますので、それは次回に送らせていただくということにしたいと思います。
 そのことも含めた上で、更にこの第3については皆さんの方から御意見というのもあるのではないかと思いますので、もし今日のうちにという御発言がないのであれば、今日のところはここまでということにして、次回、第3について継続して議論するということにしたいと思います。何か今日のうちにという御発言があれば承りますが、いかがでしょうか。まだ多少時間があります。
 今日のところはよろしいでしょうか。事務当局、そういうことでいいですか。
 それでは、第3については、次回、さらに御意見があれば頂戴するというにさせていただきたいと思います。
 それでは、本日の審議はここまでということにさせていただきまして、次回のスケジュール等について事務当局の方から御説明を頂きたいと思います。
○北村幹事 事務当局でございます。次回の会議は、令和5年11月14日火曜日午後1時30分から午後5時30分までで開催したいと思います。場所は改めて御連絡いたします。
 次回も引き続き、部会資料32-1の第3の残りの部分というか、御意見のある方からお伺いしてという形で御議論をお願いしたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。次回、少し時間が近接しておりますけれども、11月14日ということでお願いを申し上げます。
 それでは、法制審議会家族法制部会の第32回会議を閉会させていただきます。
 本日も熱心な御審議を賜りましてありがとうございました。閉会いたします。
-了-

結局養育計画合意になっていくのではなかろうか


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