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法制審議会家族法制部会第35回会議議事録読む2~大石委員・戒能委員・北村幹事

非公式レポは下書きにて記録中

これにはびっくりしたけど

パブコメ検証しないとなー

とりあえず議事録を読むー

○大石委員 

委員の大石です。ありがとうございます。前回、欠席してしまいましたので、今回、意見を申し述べたいと思います。
 2点あります。第1は、第2の1(1)ウの急迫の事情についてです。もう一つは、先ほど事務局からお示しいただいた法定養育費に関して【P】が付いていて、全部又は一部といったところに関しての意見となります。
 初めに、急迫の事情について、修正若しくは考慮してほしいというつもりで意見を申し述べたいと思います。
 まず、前回の議事録をいろいろ読ませていただいたのですが、急迫の事情の内容について、法律専門家の委員の御説明では賃貸借の例に言及されておりました。しかし、例えばトイレが故障して、大家さんによる修繕を待っていたのでは、即日から生活に重大な支障が生じるというようなケースと、DVや児童虐待から逃れるために、こどもの学期末や学年末まで待って、しっかり準備してから逃げるというのとではタイムホライズンがやはり異なりますし、民法の概念として、これだけタイムホライズンが違うものが同等に扱われているのかどうかということ、私は専門家ではないのでよく存じないのですが、疑問に思ったというところです。
 また、今、私が例示したように、準備してから逃げるようなケースというのを、裁判所は急迫に該当すると適切に判断するかどうかという点についても、現時点では私は大きな懸念を持っております。さらに、前回、数名の委員からも懸念が示されておりまして、原田委員からは、必要性、相当性という用語を使えないということであれば、仮の提案として、父母の協議や裁判所の判断を経ていては子の利益を害するおそれがある場合というように具体的に書いてはどうかという提案がなされていました。
 また、落合委員からは、DVや児童虐待や家庭内暴力などのリスクがある場合というのを条文の中に明示してはどうかという御提案がありました。さらに、武田委員からは、要綱案に対してもう少し丁寧に、今、逃げないで、きちんと準備してから避難するというのも急迫の事情に当然入る、せめて補足説明でこういったケースが急迫の事情に該当するということをもう少し丁寧に書いていくのがよかろうという御提案がありました。
 以上については、私も全く同意するところでありまして、要綱案の中に具体的に盛り込むことが望ましいと考えております。また、そうできない場合に、多くの委員が補足説明にということをおっしゃっているのですが、本部会の答申というか、出す要綱案としては、このゴシック体の要綱案だけが出るという御説明があったかと思うのですが、その補足説明というものが作られる可能性があるのか、作られるとしたら、それは本部会からの答申の一部として扱われるのか、その法的な位置づけを事務局にお尋ねしたいと思います。
 それからもう一つは、法定養育費、5ページの「全部又は一部」というところでございます。そちらの方は、子の最低限度の生活を維持するためにという目的で設けるものですので、それをまた全部又は一部減額というのを可能といたしますと、いってみれば、最低賃金の減額を認め、実際の最低賃金では、ちょっと特殊な場合は最低賃金以下の賃金もオーケーとなっているのですが、それは別の話としまして、最低のそのまた減額を認めるというのもやや違和感があると思いまして、やはり最低限度の額として設定されるのであれば、その一部というものを取り込むのは余りふさわしくないのではないかなというように考えております。
○大村部会長 ありがとうございました。2点御意見を頂戴いたしました。
 1点目は、前の池田委員も御指摘になっていた急迫の事情についてですね。文言を改めた方がいいという御意見と、それができない場合に補足説明の中で説明ということを要望したいけれども、その補足説明というものがどういうものかということについての御質問を頂いたかと思います。
 それから、2点目なのですが、資料5ページ、法定養育費の【P】の部分について御意見を頂戴いたしましたけれども、これは今、「全部又は一部の」というのが入っておりますけれども、大石委員の御意見は、そもそも支払を拒むことができるという、この規律に反対であるという御意見でしょうか。
○大石委員 証明したときは、支払を拒むことはですので、そうですね、拒むことは可能と思います、著しく窮迫している場合には。ただし、一部のということは、逆に言えば、一部支払うということになりますので、それは何といいますか、半分免除みたいなものを認める制度となりかねないので、望ましくないのではないかという、そういう意見です。
○大村部会長 分かりました。一部というのはない方がよろしいという御意見だということですね。
○大石委員 はい、そうです。
○大村部会長 分かりました。ありがとうございます。
 その他、いかがでございましょうか。

でも、急迫の事情は残ったね
この答え合わせな感じが楽しい作業

○戒能委員

 ありがとうございます。戒能です。
 私は、第2の、皆さん言及なさった点なのですが、第2の1の(1)のウの急迫の事情についてが、第1点です。そして、修正案を示したいと思っております。
 それからもう1点、2つ申し上げたいのですが、第2の2の(1)のキですね。キについて①と②ありますが、その点について、これもまた御提案を申し上げたいと考えております。
 急迫の事情というのは、今、大石委員も御指摘になりましたけれども、事務局からは、民法では多く、急迫の事情という文言を使っているという御説明が前にもあったとおりなのですが、賃借人の修繕が賃貸人ではなくて、急迫の事情がある場合はできるのだというような規定などを見ますと、それからまた、事務管理などにも出ておりました。そうすると、かなり建物などですと、それの修理をしないと、もう使えないというような事情というふうに読み取れますので、急迫の事情というのは切迫した状況というのが求められているのかなと思いました。
 それで、これもまた既に大石委員が御指摘なさいましたけれども、そうしますと、急迫の事情という文言が本当にふさわしいかどうか考える上で、ドメスティック・バイオレンスとか児童虐待のケースを考えますと、保護命令の審尋でも同様の司法の運用が行われておりますけれども、直前の生命、身体に対する危険が明確にあることという前提で審尋が行われているわけなのですが、それと同じことが展開するのではないかということが危惧されます。
 大石委員が一つ例を挙げられて、すぐには避難しない場合もあると、そういうときは対象に入るのかという点ですね。それと、こどもの利益ということを考えますと、大変大きいのが学校の学期末とか学年末とか、そういう区切りですよね、卒業とか。そういうところで避難するという場合が結構多いのですね。そういう場合も急迫の事情として解釈されるかどうかというのが大変懸念されます。
 それからもう1点、これは簡単に申し上げますけれども、避難の意味を、改めてDVや児童虐待ではきちんと位置づける必要があると、単に逃げるというふうにお考えになるかもしれませんが、これはジュディス・ハーマンという著名な精神医学者の「心的外傷と回復」という名著がございますが、それを見ますと、PTSDの症状などが現れてきて、そこから被害から回復するためには、まず安全を守らなければいけないと。そのために、DVの場合は、その手段として避難というのが非常に大きな意味を持つというようなことが精神医学の立場から書かれております。こどもも同様です。ですから、民法の財産法の方も大事かもしれませんが、それと同じ次元でちょっと考えられないのではないかと思っております。
 それで、第2の1の(1)のア、イ、ウと三つありますけれども、それに付け加えて、やはりエならエとしてドメスティック・バイオレンスや児童虐待があるとき又はそのおそれがあるときということで、明確に示すべきだと考えております。それが1点です。
 それからもう1点が、考慮事情で、2の「父母の離婚後等の親権者の定め」の(1)のキですね。これは、以前は(注)に記されていたものを、多くの委員から御意見があって、その意見が反映されて、それで本文にきちんと位置づけられたということは評価できることだと考えております。
 しかしながら、この①と②なんですね。それで、①と②も、両方とも子の利益を害すると認めるときは、父母の一方を単独親権としなければいけないと書いてあるわけなのですが、①は子への虐待というのが想定されると思うのですが、これ以下、その文言が「害悪」という文言になって、かなりインパクトの強い文言が使われていますし、害悪までいかないのではないかというような解釈の懸念があるということなのです。ですから、この辺を、①も②もDVとか児童虐待という文言を一切使わないで説明をしているのですが、これはきちんとドメスティック・バイオレンスとか児童虐待とか、きちんと明記をすべきだと考えております。そうしないと、一番危惧しているのは、支援の関係者とか行政が困惑するということ、あるいは弁護士の方もそうかもしれません。一番懸念されるのは、当事者自身なんですね。当事者自身が申告することを自己規制してしまわないかと、そこまでいかないのではないか、そういうふうに自分の被害が解釈されないのではないか、あるいは自分のこどもに対する被害が害悪とまではいえないのではないかというようなことも考えられます。
 そうしますと、これは被害が続行することにもなりますし、当然、こどもにも影響を与えるということです。
 それから、②の方は、文言はDV防止法の第1条を引用しているようなんですが、これは御存じのとおり改正されました。そして、第1条そのものの文言は変わりませんが、実質的には大きく変わりました。身体に対する暴力という言葉だけが出ており、それ以外はその他というふうになっておりますが、精神的なDVとか心理的DV、それから性的なDVも保護命令の申立理由となったわけですから、ここにはきちんと暴力について、精神的暴力と性的暴力とか列挙するというふうにしないと、これまで同じような状況が生まれるおそれがあるということです。
 それから、このキの項目では、父母間の問題を取り上げた②なのですが、協議が調わない理由その他の事情を考慮してと、そして共同親権を行うことが困難であると認められるときというところには、DVがあるわけではないけれども、高度の葛藤があって、その高度の葛藤の影響をこどもが受けて、こどもの心身に被害を及ぼすというようなことも含まれると解釈できるのではないかと考えております。
 ですから、ここももう少し具体的に、市民が理解できるように、被害を受けた親と子がきちんと理解できるような文言を明記していただければと思っております。ありがとうございました。
○大村部会長 ありがとうございます。戒能委員からは、先ほどから話題になっている急迫の事情という点と、それから第2の2の(1)のキの①、②について御意見を頂きました。いずれも、DVあるいは虐待ということがより明確に示されるような文言を用いた方がいいという御意見だったかと思います。
 解釈についても言及されたかと思いますので、解釈によることができるという場合もあるけれども、しかし、明示した方が望ましいのではないかという御意見として承りました。
 それで、一つ戻って、先ほど大石委員から質問がありましたけれども、これについて事務当局からお答えを頂くのを失念しておりましたが、お答えを頂ければと思います。要綱案そのものに補足説明というのが付くのかといった御趣旨の御質問だったかと思いますが。

D V ー
結局反対意見を貫いたということは、修正意見が通らなかったのかな

○北村幹事

 この部会において取りまとめていただくものとしては、ゴシック体のものということになります。そのほかに補足説明があるのかということにつきましては、今、直ちにお答えすることは難しいかなと思っております。補足説明につきまして、いろいろ御質問、御意見を頂戴してございますけれども、この補足説明自体は、飽くまでもこの部会における調査審議の御参考にしていただくということを前提に、事務当局の方の責任で作成しておるものでございます。
 この補足説明の記載それ自体が部会における取りまとめの対象というわけではございませんで、そのため答申の対象ではございません。そのため、ここの補足説明にあること、ないこと、それだけで何か解釈論を拘束するということを意図するというものではございません。補足説明だけでなく、むしろここの場で御議論いただいて、議事録に残っていること、今、戒能委員からもいろいろ解釈についての御発言もあったかと思いますけれども、この場において委員、幹事の方々の御発言された内容、その発言内容であるとか、補足説明に記載されて説明し、そこも含めて御議論いただいた内容が今後の解釈の指針となっていくけれども、それ自体何か強い拘束力はあるものではない。ただ、従前からお話しさせていただいているように、ここで御議論いただいたことは当然今後の運用解釈の指針となっていくものと理解しております。
 今後の会議資料の内容につきましては、本日の御議論を踏まえまして、補足説明資料を作るかどうかも含めて、なお検討させていただきたいと思います。
○大村部会長 ありがとうございます。ただいまの回答のうち、大石委員の御質問に対する直接の回答としては、最後の要綱案については補足説明というものは付かない答申の対象になるのはこの要綱案、今の資料でいうとゴシックの部分だけであるということかと思います。
 これまで、この部会で様々な議論をしてまいりましたけれども、その記録については議事録という形で残っておりますし、その時々に提出された資料に補足説明が付いております。これらは、この先の解釈運用について参考にされることはあるだろう、しかし、何か公的な解釈を示すものではないという趣旨だと承りました。これで一応のお答えとさせていただきます。最高裁、向井幹事でしょうか、手が挙がっていますか。それから、すみません、菅原委員も挙がっていますか。向井幹事、菅原委員という順番でお願いします。

議事録読み大事

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