民法754条~ハピマリ重説

民法754条は、「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」と定める。


これ。


2018年7月15日、読売新聞の報道によれば、政府が、離婚後の共同親権を選択できるように検討すとあり、民法(家族法)改正の兆しを示した。そんな動きがある中で、以前から悪名高く、削除論もあったのに全く話題になることもないのが、これ、夫婦間の契約取消権。


法律婚を選択し、夫婦となられた方々に問いたい。夫婦間契約取消権があることを知って婚姻していますか?

婚姻中であれば、夫婦の一方が、夫婦間の契約を、いつでも取り消せる。チャラにできる。約束を破れる。夫婦ってそういうもの。。。そういうもの???

細かいことは目をつぶり、すべて寛容に都度決めるまでなのさ、それが夫婦の愛ってものさ、なのか。ものの解説によれば、趣旨としては、司法が夫婦に介入することをよしとしないことによる、らしいけど。

「婚姻中」の意味を限定して、戸籍上の夫婦関係が続いていたとしても、実質的に破綻をしていれば、取消を制限する運用になっており、いよいよ空文化している制度である。もはや無理の極みで、破綻に来している。

夫婦円満中は、どんなささいな約束も守っていくことが期待されるし、不意に約束が守られない事態が生じても、誠意と寛容が相まって解決され、取消の効果、ひいては、元々の約束の履行について問題となることにはならない。

「あの約束守ってよ!」と、履行を求め、「取り消したので履行しない」という争いがあるとき、取り消しの効果が問題になるが、そういう争いになる場面というのは、もはや実質的に夫婦が破綻しているとの評価により、結局、取消ができず、約束の有効性に基づき、不履行に対しては非難=離婚事由の一端になるだろう。

夫婦間契約の取消権が発動される場面はないことになる。

それでも理念として掲げられている意義はあるのだろうか。

夫婦関係においては、愛情や支配から、契約が締結されることがあり、履行を強制することがふさわしくないという理解がある。

そうはいっても、「夫婦になっても、約束は守る」もの、というのが、結婚する場合に想定するものではないだろうか。「約束を守る人」とだから、添い遂げたい、という関係に至るというか。。。

そうすると、婚姻届を提出し、戸籍上の夫婦になるってどういうことだろうか。

わざわざと、「選択的夫婦別姓制度」を求めた訴訟活動も熱心なご時世であるが、別姓婚はすでに選択できることについて、それは、法律婚の恩恵を享受しない事実婚にすぎないからといって忌避される。


では、法律婚の恩恵とは、空文化した夫婦間契約取消権なのか。

親権の問題は、婚姻外共同親権の導入すら実現しそうな兆しの中で、ますます課題を克服している。別姓婚選択者で未成年子を養育している夫婦は、すでに、単独親権制度下でも、共同養育を実践して、特に困っていないのだ。

あとは、むしろ法律婚特有の相続時の配慮に向けて改正がなされたが、それはかえって、夫婦間で対等に協議して、生前から公正に財産を構築することで、対処できる場面のように思う。相続の問題全般が、遺言によってある程度は元々解消できるのだ。

活発な訴訟活動を横目に、不意に登場した離婚後共同親権制度は、外圧の賜物とも語られるが、もはや、別姓婚の選択が実現し、戸籍制度の解体という正面突破を避けながらも、マイナンバー等を軸にした新しい個人単位での登録管理制度の確立で、自ずと旧来の家制度の名残が残る戸籍制度と自然と距離をおいていくことになる未来を予想する。

そのように描かれる未来を前にして、婚姻届を出すことの意味は何があるのだろう。

国家が夫婦であることを公的に認証したからといって、その関係が永続することを保障するものではない。いくらでも破綻しゴチャゴチャすることの混乱を避けるべく、淡々と真相を管理することにとどまるものにすぎない。その真相といっても、客観的真実を全て詳らかに記録するものではない。人間の人生の全てが記録されるものではないし、その必要もなかったりする。

夫婦であることの認証も必ずしも必要もない。むしろ、すでに空文化した夫婦間契約取消権との決裂を宣言する方が、ふたりにとって愛のある関係に感じる。

約束を守る、と。生涯添い遂げる誓いは、婚姻届を提出しなくても(あるいは、しない方が?)為せるのである。

婚姻届の提出の有無は問わない。出しても、出さなくても、成熟したふたりの熟慮したカタチをサポートする。それが、ハピマリである。

離婚後子育て応援弁護士古賀礼子は、ハピマリをサポートします。

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