私の税理士事務所敗戦記EPISODE9 事業を起こすための第7感とは?
前回最後に書いた、新しい事業に向けてドライブをかける最初の一撃について書いてみたいと思います。
これは下記に紹介している、「超、思考法」という中に答えが書かれています。めちゃくちゃ良い本なのですが、残念なタイトルのせいであまり売れていないように思います。
原題は、「The seventh sense」つまり第7感ですが、どうしてそのままタイトルにこれを使わなかったのか非常にもったいないと思います。
わたしも、翻訳してますが、タイトルはなかなか自分では決められないんです。
第6感のことをこの本では、直感と書いています。
例えば、私の知り合いのエアコンメーカーに長年務める方は、エアコンの音を聞いたらだいだい故障箇所がわかるらしいです。
ベテランの刑事は、容疑者の言動から、なんか臭いと思ったりします。
これらは、スピリチュアルなものではなく、脳の記憶が目の前の現象によって呼び出されるものです。
一方第7感とは、全く関連のない記憶が結びついて新しいものを生み出すことを言います。
スターバックスコーヒーを現在の形にした、ハワード・シュルツが例として挙げられています。
スターバックスはもともと6店舗で高級コーヒー豆を売る会社でした。シュルツは見本市で什器を仕入れるためにミラノに行きました。
翌朝、会場まで歩く道すがら、コーヒーの良い香りが漂ってきました。エスプレッソやカプチーノを提供するコーヒーバーからのものでした。
そのとき「心がざわつきはじめた」そうです。
「もし、イタリアのコーヒーバーの文化をスターバックスにとりいれたら?」
この目覚めを著者は第7感と呼んでいます。
他の例だと、ゼロックスの研究所の見学中、ある青年は、マウスで操作するワークステーションを見て、
「これが、もし普通の家庭のデスクに1台あれば」
そこから後のマッキントッシュが生まれました。その青年は勿論スティーブ・ジョブズです。
戦後の焼け野原の闇市の屋台に行列する人にヒントを得て後にチキンラーメンを発明する安藤百福など、このような例は枚挙に暇がありません。
私の顧問先さんでも、ゴルフの中古クラブを韓国に輸出していた関係で、韓国によくいき現地の若者が豚肉の焼き肉をよく食べていることにヒントを得て、サムギョプサル店をオープンし、その後牛かつチェーンを作り上げた社長。
廃業寸前の和傘店のあとを継ぎ、和傘を照明設備に応用したことで成功した社長もいました。
身も蓋もない話ですがこれらの、「心のざわつき」は、全て偶然の産物です。いくら起業セミナーで勉強したり、ラテラル・シンキングを学んだところで生まれるものではありません。ましてや会議室のブレストからは絶対に生まれません。
実は、この目覚めをDreamと呼び、それを起こす方法論をセミナーにしようとしたのが、私の師匠である、マイケルEガーバーです。
そのセミナーは、Dreaming Roomと名付けられ私はそのファシリテーターをやっていました。
私は、彼の本を翻訳したことで、彼がやりたかったことに気づくと同時に
「それは、無理やろ!」
と、ちょっと悲しい気持ちになりました。
予測したとおり、そのセミナーは終わってしまいました。
それぐらい、この第7感を起こすことは難しいですが、成功した起業家は、多かれ少なかれみんな経験していると思います。
一方、儲け話を探して放浪するひとが、うまくいかない理由はここにあります。その瞬間をパスしてるわけですから。
スティーブ・ジョブズが、点と点は未来で結びつくと言っているように、一見全然違う経験が何かのきっかけで結びつく偶然の産物ですが、
その偶然を起こしやすくするのは、ピンチで追い込まれること、環境を変えること、特に異国での経験が大きいように思います。
もっと根本的に大事なのは、「心のざわつき」に気づく素直さではないかと思います。
心の中に真っ白なキャンバスがあるような人でないかなと思います。
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