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感覚統合を理解すると子どもへのアプローチ方法が変わる

教室に顔を出したら、一冊の本が置いてありました。
なんとなく手に取り読み始めました。

「育てにくい子にはわけがある」(著:木村順)

作業療法士の先生が書かれた本で、感覚統合について分かりやすく書かれていました。感覚器は、「自律神経系」や「情緒や情動」に大きな影響を与えています。そのため、感覚器からの情報がうまく脳に伝達されなかったり、脳がうまくその情報を処理できなかったりしたら、落ち着きがなかったり、暴れたり、不安な気持ちになったりします。だから、行動そのものに目を向けるのではなくて、その行動を起こしている原因となりうるものに目を向けましょう。そのヒントとして、感覚統合という考え方ががある。というような内容でした。

しかし、この感覚統合的なアプローチで一番難しいのは、どのような刺激をどの程度与えれば良いかが分からないと言うことです。そのため、本書では、初学者の心得として

子どもが「その活動を楽しんで」取り組んでおり、また、表情やしぐさから「感じたよ!」というメッセージが返ってくるようならば合格、とお考えいただいて結構かと思います。

と書かれていました。まずは、子どもに無理矢理やらせるのではなく、子どもが楽しく感覚遊びに取り組む工夫をするのがよいのでしょう。

さて、本書で私にとって一番印象的だったのは、"「親」の役割と「職員」の役割"という部分でした。要約すると、

「親」にとって、子育ては「義務」(逃れることが基本できない)である。「職員」にとって、仕事(療育・教育)はいつでも辞める「権利」がある。故に、「親」には「楽しい」子育てをする「権利」があるし、「職員」には「正しい」保育・教育・療育をする「義務」がある。

という感じです。

私たちは、親が楽しく子育てをする権利を保障するために奮闘するべきということです。こちらにも思いがあるため、「ああしてください」「こうしてください」と言いたくなります。でも、あくまで、私たちがやるべきことは「支援」です。親が、「それ、やってみよう」と思えるようにアプローチしていく必要があります。これを実現するためには、私たちは、子どもたちの諸処の行動に対して、「原因の説明」「見通しの説明」「対処法の説明」ができる力量を身につけていく必要があります。そして、親にとって、わかりやすくて、お金も労力もかからなくて、すぐにできて、効果が高いことが理想です。

これらを実践するのは凄く難しいことです。でも、これは大切なことであると心のどこかに置いておく必要があるんだろうなと思います。

最後に、「職人芸」ではなく「専門職」としての技術として昇華することの大切さも説かれていました。療育・教育の世界では、「カン・コツ」「センス」という切り口で語られることが多いですが、それだとなかなか人材が育ちません。なんとか「カン・コツ」「センス」を言葉に換えて、たくさんの仲間と共有していくことで、療育・教育の業界をより発展させていければと思います。

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