僕が鉄砲を構えるまでに。~衝動の狩猟免許~

僕は鉄砲を構える前に、獲物を見つけた。

獲物を見つける前に、猟場に行った。

猟場に行く、前に、狩猟者登録をした。

狩猟者登録をする前に、猟銃等所持許可証を取得した。

猟銃等所持許可証を取得する前に、狩猟免許を取得した。

猟師=狩猟免許!とただひたすらに突っ走っていた僕は、まずは狩猟免許を取得しようと画策していた。

狩猟免許には、第一種銃猟免許、第二種銃猟免許、罠猟免許、網猟免許の4種類がある。

第一種は装薬(火薬を使用した)銃と空気銃の両方が、第二種は空気銃が使える。

罠猟は箱罠やくくり罠が設置できて、網猟は無双網や投げ網猟ができる。

取得する免許を考える。

まずは何で猟をしたいのか。

何で、というよりも僕は全部の免許を取得するつもりでいた。

特に何も考えてなかったとも言える。

ただとりあえず猟師=鉄砲というイメージは(当たり前だけど)あったので、銃猟免許はまず取得しようと思った。

第一種は装薬銃と空気銃が使えて、第二種は空気銃のみ。

じゃあ当然第一種しかないじゃないか。

あとは何となく罠かなぁ。

網とか良く分からないし。

これくらいのゆるい考えで、とりあえず第一種銃猟免許と、罠猟免許を取得しようと思った。

ちなみに取得して5年くらい経つが、未だに罠猟は一度もしていない。

試験に臨む。

試験の日時とか、必要な書類とか、その辺はもう記憶が曖昧なので割愛する。

ネットとかで簡単に調べられるし。

狩猟免許の試験には、事前講習と本試験の2つがある。

事前講習は別に受けても受けなくても良いよ、っていうもの。

僕が受けたときは、受ければテキストただであげるよ、みたいな触れ込みだったが、講習料が掛かっているので、よく考えたらこれがテキスト代だったのではなかろうか。

ただ、①多分事前講習を受けなければ僕は本試験に受からなかった、②事前講習と本試験は同じ会場にすべき、この2点だけは言いたい。

事前講習では、講習という名の試験問題の暴露や、実技試験の練習を嫌というほどやらせてくれる。

筆記試験は別に問題を知らされてなくても、テキスト買ってやり込めばいけるだろうけれど、模擬銃を用いての分解組み立て、隊列の組み方や銃の受け渡しの方法、罠の架設なんかはどう考えても一人じゃ無理だった。

講習料ケチらなくて良かった。

あと、実技試験の中に距離の目測というものがあって、ここからあそこまで何m?みたいな試験なんだけれど、事前講習の時に、そこの試験会場にあるものを目印に距離を教えてくれるんだよね。

ここからあのビニールハウスまでが何m、あの電柱までが何m、このまま試験に出るからね、って。

事前講習と試験会場を別の場所にしてた人がいて、詰んでた。

まぁ、目測の距離なんてだいたいで分かるのかもしれないけれど。

あとはひたすらテキスト見てた。

もともと生き物の百科事典なんかを見るのはすごく好きだったので、テキストを見るのは苦痛ではなかった。

法令関係は面倒だったけれど。

狩猟鳥獣を覚えるのはすごく楽しかった。

試験を受ける。

この辺はもう全然覚えてない。

筆記試験受けた。

事前講習で教わったことが、ほぼそのまま出題された。

落ちた人いるんかな?と思ったらいた。

続いて身体測定。

運動機能や視覚、聴覚が一定の基準に満たない人は、狩猟免許の取得ができない。

ただ、この一定の基準というのも、よっぽどだ。

身体測定の部屋に入ろうとしたら、「ぶおー」という大きな音が聞こえてびっくりした。

この音が1mくらいの距離で聴こえなかったらアウトだそうだ。

これが聴こえなかったら、そもそも日常生活も不便だろう。

あとは手を伸ばしたり曲げたり、足を伸ばしたり曲げたり。

運動の前の軽いストレッチの前の軽いストレッチと言えば良いのか。

これも普通にクリア。

後は視力検査。

健康診断の時みたいな視力検査の機械でやったような気がする。

余裕だと思ってたら「視力が満たないので、狩猟の際は眼鏡かけてくださいね」。

普通に引っかかった。

ちゃんと狩猟の時も射撃の時も眼鏡かけてるけど、結構邪魔なんだよね眼鏡。

でもコンタクトもめんどくさい。

実技試験も事前講習そのまんま。

緊張したけどそのままやったら合格した。

つまり僕は狩猟免許を取得できたのだ。

後は猟銃の所持許可を取れば、晴れて猟師の仲間入りだ。

最後に、それとなく教官の人に聞いた。

狩猟免許と所持許可証ってどっちを先に取るのが正解なんですかね?って。

「所持許可証に決まってるでしょ。狩猟免許取って銃の許可下りなかったらどうするの?」

それもそうか。

え、てことはみんなもう所持許可証持ってるの??

本当に???




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