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おかえりモネ・気象情報編

「気象はね、未来が分かるんだよ」

故郷の島が津波に襲われた時そこにいなくて、近しい人たちが大変な思いをしている時に役立つ事が出来なかった百音は、「誰かの役にたちたい」という想いを強く持っていた。

未来は平等に誰も分からない。
でも気象は分かる。
今頭の上で起きている気象現象は数日前に南の海や北の大陸で起きた現象に必ず起因している。それらを科学に基づきデータを集積し分析すれば未来に起きる事を予測できる。
未来に起きる危険が予測出来れば誰かを助ける事が出来る。

百音の「誰かの役に立ちたい」という想いを具現化してくれるのが気象であり、気象予報士という仕事だった。


「気象情報は未来をよくするためにある」

これは「おかえりモネ」という物語はなかなか複雑だ。いくつものテーマが同時に流れて終盤に向けまとまり様はまるでいくつもの川が海にながれるようだ。
その中でも気象は重要なテーマの1つだ。

百音の師匠である朝岡は
「気象情報はいずれ水や電気やインターネットと同じくらい人々の生活に欠かせないライフラインになる」
と言った。

大震災をはじめ過去に自然災害が起きた時に命を分けるのは、いかに情報を得て、いかに活用するかだ。
NHKの検証番組でも放送されていたが、警報が発令されても「自分は大丈夫だろう」「ここは大丈夫だろう」と勝手な自己判断で避難しなかった人は災害に巻き込まれ、いち早く非難した人は命が助かるという例は多々ある。
災害において「絶対に安全」ということ無いという。
自分で情報を得て的確な判断する。的確な判断をして行動すれば周りにも良い影響を与えることがある。そうすれば自分だけでなく周りの人の事を守ることになる。

近い将来気候変動によって地球環境はより過酷になると言われている。
この先気象情報は重要なライフラインとなり命を分ける物になるかもしれない。

気象情報は守るだけでなく成功をつかむこともできる。
すでにトップクラスのスポーツでは気象情報を戦略・戦術に組み込んでいるし、ビジネスの世界でも気象情報によって大きな利益を得たり損失を回避したりしている。

気象情報の活用が大きな成功を生み、喜びや幸せが手に入れられることがある。


もちろん気象情報は万能では無い。
環境の変化によって過去のデータや予測を裏切ることもある。
正確な情報を発信しても伝えることの難しさ、伝わってから行動に移すまでのタイムラグ。

朝岡は言う
「祈る事しかできないという経験を私たちは何度もしています」
これも冷徹な事実なのだろう。

これが気象予報士を主人公にしたこの物語が伝えたいことの1つだ。
おそらくドラマの気象考証を担当した斉田季実治さんはじめ多くの気象予報士の想いが反映されているのだろう。

そして情報と並んでもう1つ大切なのが「知識」だ。
斉田氏が著書で、気象情報を生かすには受け取る側にもある程度の知識が必要だと書いている。
直接気象とは関係ないが物語で菅波先生が
「知識は武器です。持っているだけでは何の意味もないし使い方も難しい。ですが持っているに越したことはありません」と言っている。

この「おかえりモネ」という素晴らしい物語に出会い気象予報士という職業を知った者として、気象情報を得る「感度」とそれを生かすある程度の「知識」を持ち、自分だけは大丈夫という「意識」を変えていこうと思っている。


そしてこれは「気象」だけでなく、全ての「情報」当てはまる。

我々は普段から情報を活用し生活している。
簡単な例としては、どこかへ行く場合、電車に乗るならスマホなどで時刻表を確認するし、車や歩きなら地図を使う。
受験なら過去問題などを調べるし、営業活動なら相手の事や同業他社の事を調べる。
様々な場面で情報を活用し成功しているし、時には活用できず失敗している。

気象情報に近いところでは昨今のパンデミック。
新型コロナウイルスやワクチンなど関連する様々な情報が洪水のように氾濫している。
その中から正しく必要な情報を得て、的確な行動が出来るか?
世間を見ていると見事なほど情報を生かしていない事が多々あるように見える。


「おかえりモネ」という素晴らしい物語に出会い情報の大切さを改めて知った者として、情報を得る「感度」とそれを生かすある程度の「知識」を持ち、自分だけは大丈夫という「意識」を変えていかなければならないと思っている。