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山梨ジュエリーミュージアムに行ってきました!

こんにちは、地域活性化起業人の鈴木です。

もう9月になってしまいました。涼しい日もちらほら出てきてなんだか秋の香りが…。ありがたい限りです。

小江戸甲府の夏祭りも残念ながら中止になってしまい、「熱い夏」を体感することは叶わずでしたが、今年も十分すぎるほど「暑い夏」ではありました。

仕事終わって家に帰ると室温34度なんて日も…サウナか???

たまらず冷水シャワーで整いにかかります。

この冷水シャワーを浴びている時と、クーラー全開でアイス食べながら甲子園見てる時だけは夏も悪くないなと思います。笑

最近のサウナブームはすごいものがありますが、昇仙峡の方でもアウトドアサウナ体験を不定期で実施していますのでサウナーの方はチェックしてみてくださいね。

そして体験といえば、山梨ならではの産業に触れ、体験できる施設が甲府駅至近にも1つ。

それが今回ご紹介する「山梨ジュエリーミュージアム」です!

以前の記事でも少し触れましたが、山梨は実は宝飾産業が世界的に見ても盛んな地域。かつて昇仙峡より北の山々からは水晶が産出され、水晶のみならず宝石加工や貴金属加工の職人さんも集まるなど産業に関わる様々な職業の方が多く集まっていることから、集積産地と言われたりもします。

ミュージアムではそんな山梨とジュエリーの歴史などを学べたり、職人の方々があ作った展示作品を見たりすることが出来ます。

最後の映像コーナーではひとつの作品ができるまでをクローズアップ、職人さんの卓越した手さばきにただただ驚くばかり…!

それでは行ってみましょう!
※今回は取材のため、特別な許可を得て写真を撮影していますが、通常は撮影禁止です。

水晶のタイムラインをたどる

まずは水晶が人々の暮らしの中でどのように使用されてきたのかを時代ごとにたどる展示室。

少なくとも紀元前から山梨で水晶がとれたことが確認されているそうで、縄文時代には真ん中の矢じりのように加工されたものがすでにあったそうです。

実物を見ると分かるのですがきれいな形に加工・成形されていて、当時はまだ鉄もなく道具もそれほどそろっていなかったはずなのに、硬い水晶を原石からどのようにしてここまで仕上げたのか…とても気になります。

その後、水晶などの石を使った装身具の歴史は飛鳥時代ごろを境に一度途絶え、それ以降は権力などの象徴として位の高い人たちのものになっていきました。

江戸時代は水晶の自由採掘は禁止され、災害や雨など自然現象で露出したものについて許可をとり、加工をしていたんだとか。徐々に産業として発展し始め、明治初期の廃刀令によって仕事を失った業者なども県外から山梨に職を求めてやってきて、もともと持っていた技術をいかして金属加工などに従事したそう。

ちなみにもともと山梨には「甲州かんざし」があり、貴金属加工を行う職人さんもいたようです。

やがて自由採掘が解禁された明治期には大量に私人による採掘がおこなわれ、大正期にはブラジルからの輸入に切り替わっていきますが、山梨のジュエリー産業は発展を続けます。そして昭和56年には国内唯一の公立の宝石専門学校として「山梨県立宝石美術専門学校」が誕生し、その道を歩もうとする若者たちを毎年輩出しています。

職人技によって支えられている側面もある分、後継者育成などはやはり大変なようなのですが…ぜひとも山梨の風土から発展していった産業を絶やすことなく今後も伸ばしていってほしいですね!

水晶のトリビア

続いては山梨県内で産出した水晶などが展示されている展示室へ。

これらの水晶は「日本式双晶」と呼ばれる水晶で、とある決まりがあってこう呼ばれているそうなのですが、何だと思いますか?

双晶だから双子の水晶で、日本でとれたもの?ではないんです。

正解は…2つの水晶が結合し、かつ面と面が作る角度が84.33度になっていること!

…??

何じゃその微妙な数値は。なぜかは分かりませんが、自然に結合する際に条件が揃うとこの角度になるのでしょうか。うーん、自然の力って不思議。

角度さえ84.33度になっていればよいそうなので、日本国外でとれたものでも日本式双晶と呼ぶそう。ますます不思議ですが、明治期の乙女鉱山でこの形の水晶が多く産出したことに由来するんだそうです。

ハート型に見えるものも多く、日本ではベタに夫婦水晶とも言われます。誰かに話したい豆知識が増えましたね!

「日本式双晶は必ず面と面で84.33度の角度ができるんだって!」

「…は?」「まず日本式双晶って何?」ってなって終わりますね、はい。
そこで興味を持ちそうな方がいたらぜひともジュエリーミュージアムに連れて行ってあげてください。

道具展示コーナー

続いては職人さんが使用する道具類の展示。


宝石研磨と宝石彫刻の作業で使用する道具類が、各工程ごろに実際の石と一緒に並んでいます。

宝石研磨では平面研磨盤と研磨剤を使って原石の形を整えつつ、磨いていきます。

最初は粗めの研磨材を使い、後半になるにつれてきめ細かい研磨剤を使っています。

研磨盤に石を押し当てているときなどは実際に削っている面は職人さんからは見えないわけで、自分の手先の感覚、経験を頼りに作っていくということですね。ただただ「凄い」の一言に尽きます…!

ちなみに最終工程の「艶出し」の工程で使用する「酸化クロム(青粉)」と呼ばれる研磨剤はとっても細かく、指紋に入り込んでしまってなかなかとれないのだそう…街中で指先が緑色の人を見かけたら宝石研磨の職人さんかもしれません。笑

宝石彫刻は原石に線を引いておおよその形をイメージしながら石を削っていく「欠き込み」に始まり、その後も研磨剤を使って少しずつ石を削り、磨き、徐々に象ができていきます。

いや、もう最初の欠き込みの段階でだいぶ難しそうなんですが…。


最後の磨き上げではまたしても「青粉」が登場。これでピカピカ透明な、きれいな水晶彫刻が仕上がります!

象は鼻の部分など曲線も多く、いかにも手先の繊細な感覚が要求されそうですが、ボディラインはとても滑らかで、きれいな象の形になっています! マジですごい。

実際の工程と作品を見てみると、研磨、そして彫刻のどちらも細かく細かく石を削ったり磨いたりして、微妙な調整を重ねながら作品を作り上げていく様子がよく分かります。

職人さんの「手」なくしては成り立たない、まさに「職人芸」ですね。

ちなみに職人さんはその作業過程の中で爪が勝手に削れていくので爪切りという行為をしない、だとか、長年携わっている方だと手が少し変形してしまっている、なんていうのも職人あるあるなんだそう。

また、作業に使うノミや彫刻に使うコマなどは大小さまざまなサイズがあり、適宜使い分けながら作品を作り出していきます。

原石展示や企画展も

続いては原石の展示です。初めての方でも一番なじみやすい展示室かもしれないですね。



名前を聞いたことがあるような宝石の原石が多数並んでいますが、私たちが普段ジュエリーなどで目にするのはいずれも研磨加工された後のもの。

原石を見るとその石本来の天然の色や形、光沢などがよく分かりますよ。

そして、期間限定の企画展も現在は複数開催中!

10月17日(月)まで「ジュエリーをたのしむ5 ー誕生石ー」
9月12日(月)まで「第12回水晶彫刻若手作品展」

が開催中です。(「第12回水晶彫刻若手作品展」の展示室は9月17日からは「レトロでモダンなジュエリーたち」という展示になります。)

誕生石はご自身の月の色を覚えている方もいるかもしれませんが、実際に展示を見てみると思っている色とは別の色のものがあったりといろんな発見がありますので、ぜひこちらも立ち寄ってみてください。

「若手作品展」(9/12までです!)では子どもが喜びそうなドラゴンの作品や、シンプルながらも丁寧にモチーフをかたどった水晶の作品が見られます。

最後は映像が見られる展示室。

今回は「宝飾品ができるまで(ジュエリーができるまで)」の映像を見させていただきました。

デザイナーの方、宝石加工野方、貴金属加工の方の3人がそれぞれの知恵と技術を結集させ、作品を作っていきます。

そして完成したのがこのペンダント。

制作過程はぜひ映像で見てみてください…! 職人さんの技術や作業の細かさ、デザインの緻密さに驚くこと間違い無しです。

ちなみにこのペンダントでいうと、作品を作り始める前にどういう作品にするかを絵で描き、デザインイメージを固めていく下地を作るのがデザイナーさん、ペンダント中央のアメジストを加工研磨するのが宝石加工職人さん、そしてアメジストの周りについている金色の葉っぱのモチーフを作り、つけていくのが貴金属加工の職人さんです。

そしてこちらは「神の手」をもついわれる清水幸雄さんの作品。

右下が完成作品ですが、玉にも見えるその作品はなんと正180面体!面の数が多すぎてほぼ玉です…。原石を正12面体にカットし、そこからさらに各面を15分割して作るのだそうですが、手作業で全ての面を均等にきれいにカットしていくのはもはや人間業ではありません。この180面体は「キキョウカット」と呼ばれるカットで、世界で唯一清水さんだけができる技なのだそう…!

ちなみに学芸員さんに聞いてみると、普通の方はサイコロ状にすることすら難しいと思います、とのことで、180面をご自身の手で精緻にカットする清水さんの神業っぷりたるや…。こちらの作品の制作過程も映像があるのでぜひチェックを。

「神の手」が生で見られるかも!?

ここまでで職人さんの凄さはお分かりいただけたかと思いますが、ジュエリーミュージアムでは土日祝日に工房で職人さんの作業風景を見学することもできちゃうんです。

中に職人さんがいれば、なんと工房の中に入って作業中の職人さんの隣でお話を聞くこともできるそう! これはすごい。

先ほどご紹介した清水さんが作業にいらっしゃることもあるそうで、神業を間近で見られるかも、と思うとわくわくしますね…! 土日祝日に来た方はここもお見逃しなきよう!

なんと無料なんです!

今回は取材ということで学芸員さんに案内や説明をしていただきましたが、団体の方など大勢での見学であれば同様のお願いもできるそうなので相談してみてくださいね(公式HPより要予約)。

そしてもちろん体験メニューも充実! こちらは有料になりますが、研磨体験と貴金属加工体験の2種類があり、特に研磨体験は他のミュージアムでもあまりない貴重なメニューなんだそうです。自分だけのオリジナル作品が簡単に作れますので、旅の記念やプチギフトなんかにも良いかもしれませんね!

こんな感じのができます!

さて、ここまでずらーっとミュージアム内を回った感想を書き連ねてきましたが…もうひとつ凄いのは、今回紹介した展示(企画展含む)は全て無料で見られるということ!

いや、行ったら分かります。「え?無料なのにこんなボリュームあるの?職人さんの作業も見れるの?本当に?」ってなります。見終わったら「…これ本当に無料?」ってなります。

ジュエリーと聞くと高価でなかなか手の出しづらいものというイメージがあるかもしれませんが、体験工房で直に宝石に触れて作業をしてみたり、展示をみたりしてみるとグッとその距離が縮まるはず! 何より展示は「無料」なので入りやすいです。

いや本当にね…これが無料なのはすごいです、まじで。(しつこい)
甲府駅付近で時間を持て余してしまった方にもおすすめです!

山梨ならではの展示と体験が盛り沢山なので、この機会にぜひジュエリーに触れてみてくださいね。






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