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強さと弱さは隣同士_ドッグマン

#ネタバレあります


私の第一次映画ハマり期は高校受験が終わって高校入学手前くらいの時だったと思う。
当時ツタヤみたいなところで旧作が100円とか、6本か7本借りて500円みたいなシステムがあってとにかく借りて返してを繰り返していた。

夏に親が離婚してただでさえ多感な頃、受験勉強もあるし友達とは上手くいかないし、当時自覚してなかったと思うけどかなり行き詰まっていたと思う。
寝る間も惜しんで観てた。眠くもならないし、それしかできなかったんだと思う。

借りる作品はテレビでちょろっと見たことあるけどちゃんとみせてもらえなかった伊丹十三作品とジャケットが悍ましいスプラッタホラーが殆どで、家で一人の時間だからこそ観れるものばかり、それに飽きた頃に手に取ったのがリュックベッソンのレオンとニキータ、グランブルー。

確かその年にフィフスエレメントを劇場で観て、感動してなけなしのお小遣いでパンフまで買っていたのでリュックベッソンという名前を覚えていたからだ。


フィフスエレメントで当時最先端のCGとゴルチエの衣装、ぶっ飛んだ未来を描いた作品を先に見てからのグランブルーはある意味衝撃だった。笑


当時の私に強く刺さったことがある。
どの作品も強さと弱さの距離が近くて、強さだけではどうにもならないもどかしさを強く感じる。
愛すべき存在のために自分の強さは犠牲にすることでしか役に立たない葛藤。
そして不器用。これである。

大人になった今だと、無理ゲーじゃん。八方塞がりじゃん。その性格じゃあ仕方ない。
って言葉で片付いちゃうんだけど

リュックベッソン監督作品はジャンヌダルク以降そこまで気にして観ていなかったけど、ドックマンの予告を観た時、ニキータやレオンと通じるものがあるんじゃないかとワクワクした。で、観に行った。

結論から言うと、レオンやニキータに近いっちゃ近い。
ただ主人公と犬の関係性や生い立ち、人との繋がり、関係性の描写は30年経ってるもんなー、と感じた。(監督も私も時代も)

展開もまず色々事件が起こってから、拘置所で医者のイブリンと過去を振り返ることがメインになっているのでソワソワハラハラはそこまでしない。
犬が見事すぎて「そんなうまくいくもんか!?」ってなるし犬カワイイ。


希望から奈落に落ちた様はあまり共感はできず
育った環境が極端で狭い世界だったからこうなっちゃうのかなあなんて思ったりもしたんだけど。
ダグラスを思うサルマの気持ちは分かるし、離れてから再会するまでにサルマの環境が華やかに変化しているのはダグラスは知っているはずだから
何を期待してんだよ!!!!
って思ってしまう。
しかもサルマ察しちゃってるし、気を使わせるんじゃないわよ。
まあ、、サルマのような人なら、、なんて自分も期待はしちゃってたけど。

そこからまた色々ねじれるけどダグラスは新たな希望や楽しみを見つけていく
それが良いか悪いかは別として彼なりに楽しく過ごせている
ここが良いところ。ホアキン版ジョーカーだとこうはいかなかったもんね。
しゃあないな、もうジョーカーになるしかないな!とはならない。

世直し、セルフ鼠小僧みたいな生活をして自分の生きる意味やステージに立ち自分を表現し楽しみを見つけていく。
という時間は永遠ではありません。と言うのは序盤に分かっているのでレオンやニキータのようなドン、ドン、どーーーーン!と観る人の心を抉って叩きつけるようなことはありません。(そこがレオンとニキータのいい部分ではあるのだけど)


ダグラスは全てに絶望していなくて、過酷な環境の中でも前を向く、
どんな生活をしているか知らないはずのイブリンにも「強く生きなさいよ!」と投げかけるようなところもまた良くて(犬も)。
その優しさの大半はサルマが影響していると考えるとしんどいが。


スカッとするアクションシーンも期待していたより少ないし、物足りなさは感じるもの
ラストは観て良かった!と満足していた。
なんだろね、ツッコミどころはあるもののトータルだと良い。だるい、無駄と感じる部分がないからかな。

エディットピアフの曲が素晴らしかったな。
ステージデビューのシーンに使われた曲は昨年末に観たトークトゥーミーでも使われていて、それもそれですごく良かった(若者たちが憑依ゲームにハマって楽しんでいるシーン)
そしてラスト、すごく良かった。

ケイレブランドリージョーンズはどこかヒースレジャーを彷彿とさせるし
クリストファーナデムはサイモンペッグ感あるけど最初のショットから多分嫌なやつだ!って感じ。
キャストも良かったな。
ケイレブさんはほんと良かった。

私も人に期待しがち。
勝手に期待し、その期待が変な方向にいって、無理な期待になり、勝手に絶望してる。
勝手に寄り添って勝手に手のひらを返す。
誰も知らないところで繰り返してる。
子供の頃から、40歳になっても変わらない。

潜めている勝手な期待が、いつかどうしようもない絶望になったら…



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