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フン、イ更、くそ

誰かと何かを語るときに、言い換えて謎の共通言語を作ることにより、親密度と距離感を縮めている
のだと思う
のだと思う、と言うのはそれが往々にして意図的ではなく無意識だからだ

パーソナルトレーナーがクライアントの腸内環境に気を配るのは当たり前だとして
「最近、便秘はどうですか?出てます?」
なんて私的には味も素っ気もなくてつまんないから
「最近の芸術活動」
で生み出された
「アート作品」
の話として
「創作活動」
を後押しする

花も恥じらう女性のクライアントも
「なかなかすっきり便が出なくって」
と申告するより
「一応作品制作はしているんですが、満足行く作品ではないですね」
の方が言いやすかろう
でアタイが
「潰しましょう!そんな作品、窯に入れて焼く前に、潰してこねなおしましょう!」
とか激昂し始めて、賢いクライアントが
『出た、ヤバ、何言ってんだコイツ』
って顔になりながらも
これはなんのメタファーなんや?と必死で私式のパーソナルトレーニングに喰らいついて来るって寸法だ

しばらく芸術活動にいそしんでいないクライアントと話す時もアタイは手厳しい

「ジップロックってわかります?」
「えっ?!」
「ジップロック」
「あ…はぁ」
「アレに、パンパンにうんちを(アート作品ちゃうんかい)詰めるじゃないですか」
「…えっ?」
「仮に、ですよ、ジップロックにパンパンに詰めます」
「はぁ…」
「それを、ロンシャンだか、ロエベだか、プラダだか、とにかくご自身のおカバンに入れて1日持ち歩いてくださいって言われたら…漏れませんっ!漏れませんよ、もちろん!ジップロックですから!匂いも一切しません!でも、次の日も、また次の日もジップロックに入れたうんこがカバンの中に増えていったら、いやですよね」
「…はぁ」
「誰も知りません、漏れません、匂いもしません、でも、嫌ですよね?!」
「…は、はぃ」
「でもね!じゃあね!お鞄なら嫌で、自分のお腹で同じ事をやってるのに何でそれはいいの、って話なんですよ!!」
決まった!どや!じゃないのよ
大して良いことも言ってないし、含蓄があるわけでもないし

だが情熱は伝わるのだ
ただただ
「あ〜便秘なんですねぇ、なるべく気にかけてお水飲んで食物繊維採って解消できるといいですけどねぇ」
なんて言ってて人の心が動くかよ
、と
否である

くだらぬ長口上をぶちかましてでも、その時は
『ヤバ、なんコイツ』
とクライアントに引かれてでも

「便秘、許すまじ」

「便秘に甘んじるは愚の骨頂」

「意志あるところに糞は通ず」

「腸ごころあればクソごころあり」

という強硬姿勢は前面に打ち出し、ハッキリとした指針を示さねばならぬ
それが大勢を幸せに導く宗教家としての勤めなのである!!
便秘解消、快腸は、目的ではない!クライアントに、より良き人生を歩んでいただくための手段、ピースにしか過ぎないのだ!


とかなんとかゆってる雑魚キャラのオラ氏、

入  院  し  て  7  日  間  で  1  個  し  か  う  ん  こ  出  ね  ぇ  の w  w  w  w  w  

ださー
どーすんだよ、廃業じゃねーか

何が便意というウィスパーヴォイスに耳を傾けろ、だよw

まじで便秘最悪だわぁ

ほんで加えてオイラは便秘薬大ッ嫌い
アンチ便秘薬
前回の記事の睡眠導入剤大嫌いに輪をかけて大嫌い
それもあっての、芸術活動完全停止
太鼓がやんだ
才能が枯渇した

ザコい
雑魚過ぎる

しかし、カバンの中はジップロック6個である
さすがに“マグミット”(酸化マグネシウム)という薬を服み始める

こちらは、私の大嫌いな、腸をギリギリ絞り散らかす様な乱暴な薬ではなく、お通じの水分を保つ役割をしてくれるお薬である

出ない
ジップロックが増える
イップス
クソイップス
クスィッッップス

次なる手段
腸を絞り散らかす系についに手を出した
“ピコスルファート”とやらだ
初めまして

こいつは目薬みたいなサイズ感と見た目の、液体状のお薬で、何滴か飲み物等に垂らして服用する

私の100か0かの極端な性格は、今までも私をあらゆるピンチに引き込んで来たのだと今振り返れば思う

「10!どーせなら!キリよく、
10滴いっちゃいましょー!」

…致死量だった

12時間後の翌昼、私が出したのはフンでも便でもなく、脂汗と断末魔の叫び声であった

4人部屋の他の3人に迷惑を掛けぬよう以前から好んで通っていた病棟のハズレの多機能トイレとその前の廊下を行ったり来たりしながらスランプだったアーティストは生みの苦しみに耐えた

命の灯火が消えかけた瞬間、新たな作品が誕生した

そして、その時の経験が後の入院生活で活かされることになった

『ピコスルファートの私の適量は4滴』



因みに、冒頭の
誰かと何かを語るときに、言い換えて謎の共通言語を作ることにより、親密度と距離感を縮めている
のだと思う

という話に戻るが
うちのスタジオでは

『おりものシートの座位』

『血溜まりストレッチ』

『定着期』

『大人食い』
等々

オリジナリティー溢れる言語で指導がなされている為、定期的に私が作った言葉、もしくは本来のではない意味で使っている言葉だとお伝えしないと、我がクライアント勢は、大好きなトレーナーに教えてもらった、効果的なメンテナンス法を会社の方々とシェアハピしたい善良な方々なので

「“おりものシートの座り方”して“血溜まりストレッチ”すれば、“大人食い”を意識するだけですぐに“定着期”が終るわよ」

などと仰り



という雰囲気のお昼休みにしてはならんので、トレーナーも意外と大変なのである











             




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