婚活1日目

「それではみなさん大変お待たせ致しました!今回は二組のマッチングが成立しました。皆さん拍手をお願いします!」
ここは都内のある某婚活パーティー開場。個室形式と言われるパーティーが開催され男性8名女性6名の参加者がお洒落な服装に身を包みボールペンとプロフィールカードの端を掴みながら結果を待ち望んでいた。
男性達は真剣な眼差しで自分の番号を呼ばれる事を心待ちにしており、
女性達は一部緊張をしている者もいるが、退屈そうに結果を持つ人も、既に結果が分かってると言わんばかりに今すぐにでも出るような様子をしている人もいる。

「1組目の発表です!男性番号3番!女性番号4番!おめでとうございます。皆さん拍手をお願いします!」
館内には数人の拍手の音が微かに聞こえる。マッチングしていない人たちにとっては嬉しくもないから当然の喝采であった。

「続いて2組目!男性番号8番!女性番号!6番です!」
2度目の小さな喝采が起きた。
マッチングしたペアは二人で館内の通路で立ち話をしながら連絡先を交換。
その後は本人たちの自由である。

しかし、婚活パーティーはここで終わっていない。
会場終了のアナウンスがあった後、荷物をまとめ会場を出て駅まで行くまでの道のりが男性にとって勝負である。
いわゆる、出待ち(ハイエナ)と呼ぶ行為。
男性は参加費が5000円 女性は500円が一般的に相場と言われている。
男性としてはせっかくの費用5000円を払って参加しているため、爪痕一つ残さずに帰る事はできない。マッチングしなかった女性に声をかけ、連絡先の交換を要望したり、お食事のお誘いをする機会を伺っている者たちがいた。

マッチングした勝者とマッチングしなかった敗者の姿は明らかに歴然であり、司会者はこの光景を何度も目の当たりにしていた。

マッチングしなかった女性たちが駅へと向かうとその中にまぎれ1人の女性もスマホを片手に駅の経路を検索し、トップ画面に両親と三人で映る姿を見て心の中で呟いた。
『お父ちゃん!お母ちゃん!今日もダメだったよ!』
彼女の名前は瑠璃。4か月前に両親を交通事故で亡くし、35歳から婚活パーティーに初参加をした婚活女子である。
しかし、8回目のパーティーに参加してもマッチングはおろか中間投票すら入れられていない。いわゆる落ちこぼれ婚活女子であった。


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